2010年5月27日木曜日

健康なヤサイは、どこへ?

「雄性不稔〜ゆうせいふねん〜」、つまりオスの生殖能力がない奇形プラントを利用したF1交配は、米国カリフォルニアで花粉のでない赤タマネギがみつかったことがキッカケだったそうです。

花粉がでない赤タマネギと、健全な黄色のタマネギを交配させると、50:50の割合で赤と黄色のタマネギのタネができるんですが、その子どもたちは100%みーんな花粉がでない「雄性不稔」になります。
その子どもと、健全な黄色いタマネギを掛け合わせて・・・ということを何度かくり返していくと、色は完全に黄色だけど「雄性不稔」のタマネギが誕生します。こうしてF1品種に便利な雄性不稔の黄色いタマネギが大量にできてしまうというわけです。

米国では、こんなふうにトウモロコシとか、いろんなヤサイの「雄性不稔」のプラントを探し出して、F1品種の開発をすすめていったそうです。

そもそも花粉がでない「雄性不稔」の突然変異の植物は、どうやってできてしまうのでしょうか? 
それは

「遺伝子が活性酸素でキズついてしまうから」

だそうです。


しかもこの「異常な遺伝子」は父親からは引き継がれません。
植物でも動物でも、受精のときにオスの遺伝子は消滅してしまってメスの遺伝子だけが子どもに受け継がれるそうです。








なので、「雄性不稔」の異常な遺伝子をもつプラントと、正常なプラントを交配させると、子どもは100%異常な遺伝子をもった「雄性不稔」になってしまうということです。でも「雄性不稔」の異常プラントなんて、数千本にひとつでるかでないかという確率で、そうそうカンタンに見つかるものではないそうです。

でも、「雄性不稔」の親株がみつからないと、F1品種づくりはとても効率の悪いものになってしまいます。だからどうするかというと・・・

空気中のCO2をありえない濃度にあげると、普通なら交配なんてしない遺伝子がちがう異品種どうしが交配してしまうんだそうです。ちなみにワタシたちが呼吸している空気は、窒素が80%で、酸素が20%、そして二酸化炭素が0.03%=300ppmほどです。

その二酸化炭素濃度を5%=50000ppmまであげると、植物はあまりの異常事態におかしくなって「このさい誰でもいいから交配しちゃえ!」となってしまうそうです。この方法をつかえば、ダイコンの雄性不稔プラントと、正常なハクサイやキャベツが交配できてしまうので「雄性不稔」がゾクゾク! ということです。

そして50000ppmのCO2濃度では、ヒトや動物は昏睡状態になって、その後ご臨終となってしまうので、高濃度CO2でもヘッチャラな「ミツバチ」が交配に使われるそうです。

ヒトの細胞のなかの遺伝子=DNAは、活性酸素でキズついても修復機能がちゃんとあるので、ふつうならキチンと修復されて、また元気に細胞分裂を始めてくれます。が、大きなストレスを感じすぎたり紫外線をあびすぎたり発がん性物質なんかのせいで活性酸素が多すぎると、DNAが破壊されすぎて細胞分裂ができなくなっていって老化とか成人病など、いろんな病気へとつながっていってしまいます。植物はDNAが傷つかないように、アントシアニンとかカロテンとかの「抗酸化物質」をもっています。

なので「雄性不稔の女性化した」プラントには、ある意味で「破壊した遺伝子を修復する自己治癒力のないチカラがない」ってことにもなります。で、ワタシ達は食べ物の栄養素を吸収して細胞分裂なんかにつかっていくんですが、その食べ物のなかのDNAだってもちろん吸収してカラダをつくっています。

・・・ストレス社会といわれる現代では、ありとあらゆる健康法や美容法があります。そのほとんどで口をそろえて言われてることといえば「あなたの身体は食べるものからつくられています。」なんですよねぇ。