2011年1月19日水曜日




動物園のペンギンコーナーで、こんな説明パネルを見つけました。
















そもそも、なんで海鳥のウンチが肥料になるのか? なんですが・・・

深い深〜い海のソコのほうには太陽が届かないので、光合成したい植物プランクトンが生息しにくいってぇことで、チッ素・リン・カリウムなどなどの肥料になる無機ミネラルが食べられないまんま蓄積されてるそうです。















んで、ペルー沿いの海の海流は、たまたま深海からこの肥料ミネラルをぐわわっと海面近くに押しあげてくれる流れになっていて、ココで育つプランクトンをモリモリ食べて育つ魚を、これまたバクバク食べてる海鳥たちのフンには、まわりまわって肥料ミネラルが豊富になるんだそうです。なので、こういう環境になってる海でないと「グアノ」ってのは、できにくいんですねー。


そしてその昔、「グアノ」がヨーロッパを中心に大流行したあげく、戦争にまで発展しちゃった!!! というバックリとした流れですが、


13世紀、南米のペルーやボリビアなどで栄えた「インカ帝国」の繁栄をささえたのが「黄金」と、「フアヌ」今でいう「グアノ」だったそうです。そもそも「グアノ」ってぇのは、「肥料成分が豊富な海鳥のウンチ」なんですが、13世紀には「肥料」というアイデアがなかったので、「フアヌを畑にまくと、ジャガイモもトウモロコシもたっっっくさん実るね! こりゃあ、神様の贈り物だー!!!」と、重宝されていたそうです。

その後の17世紀頃に、ドイツの冒険家「フンボルトさん」が「グアノ」の肥料効果のすごさを再発見して、そこからヨーロッパで流行が始まったのはいいんですが、ついには国どうしの「グアノ戦争」まで起きちゃうほどの「グアノラッシュ」が起こったあげく、アメリカで「リン鉱石」が見つかるとともに、グアノフィーバーは盛り下がっていったっつーことで、それからは「肥料を制するものは食糧を制し、世界を制する」的な「 硝石やカリ鉱石なんかの肥料鉱石の争奪戦争時代 」につながっていったようです。

そして昨今の「オーガニック栽培」の盛り上がりとともに「数少ないオーガニック由来のリン肥料」として「グアノ」に再び注目が集まりました。

というのも現在売られてる「リン酸肥料」のホトンドは「リン鉱石」を強酸で溶かしてから、さらに精製してできたものだからです。





「鉱石」ももちろん大自然がはぐくんだ天然ミネラルなので「リン鉱石」由来の「リン酸肥料」も、ある意味「ナチュラル」なんですが、オーガニック・ガーデナーがイメージする「有機肥料」とは、ちょっと違うし、どの国でも「有機肥料」というカテゴリーには入らないので、多くの国で「オーガニック肥料」にカテゴライズされてる「グアノ」がピックアップされたのかな? と思います。

「グアノ」以外の天然「リン酸肥料」といえば「骨粉/こっぷん」で、家畜の骨を高温で焼いたものです。「骨」ってぇのは「リン酸とカルシウムがくっついたリン酸カルシウム」だからなんですが、例の「BSE/狂牛病」で「骨粉」の安全性にハテナ?マークがついてしまったようで「動物由来のリン酸は使用していません!」なんていう文句も、たまぁ〜に海外の肥料の注意書きに書かれたりしてます。
「狂牛病」の原因と考えられてる「プリオン」は、高温で焼いても分解されずに残ってるってことで、「骨粉」が毛嫌いされてしまったみたいですが、今日本で売られてる「粉骨粉のリン酸肥料」は、もちろんBSE感染してない家畜の骨を使ってるので安心して使ってください。


ちなみに「グアノ」には「チッ素質グアノ」と「リン酸質グアノ」の種類があって、速効性のある水溶性リン酸は「チッ素質グアノ」のほうが多いんだそうです。

「リン酸質グアノ」に含まれるリン酸のほとんどは、ク溶性か不溶性なので「じ〜っくり、ゆ〜っくり効くリン酸」なんだそうで。





「リン酸」はさみしがり屋なタチらしく、土壌のなかで鉄とかカルシウムとかアルミニウムとかと、すぐにくっついちゃいます。くっつく相手によって根っこに吸われやすい・吸われにくいが変わるんですが、火山島国の日本の土壌は「酸性」なことが多いので「鉄」とか「アルミ」がイオンになってウヨウヨしてるんで、植物に吸わせようと「水溶性リン酸」を土にまいても、あっという間に固まっちまうそうです。(土壌の質や工夫によって、固まりにくくもなります。)

そこで、人間様よりもはるかに昔から進化を続けてきた「植物たち」は、根っこに「菌根菌」を飼って、菌たちに「糖分」をあげる代わりに「リン酸」を菌に溶かしてもらって共生してるんだそうです。ヨコにそれますが「菌根菌」は、リン酸や微量ミネラルを溶かしてくれるだけじゃなくって「ヤサイや果物の味がおいしくなるタンパク質」ってのも分泌してくれるそうです。なので「不耕起栽培」の田んぼや畑のお米やヤサイは、不耕起を続ければ続けるほど、収穫物がドンドンオイシくなっていくんだそうです。

最後に、イチゴなんかの「なりもの野菜」は花が咲いてくるとエネルギー補充のために「リンカリ肥料=PK肥料」をプラスしたりしますが、「リン酸」をあんまりにもドカドカあげすぎちゃうと、とくに培養土などで「鉄」が吸えなくなって不足してしまいます。

「PK肥料」は効果があるんですが、やっぱしあげすぎには注意したほうがヨサゲです。「過ぎたるは、なんとやら・・・」ですね。