2011年2月25日金曜日

植物たちのタクミな「ニンゲン操縦法」

強い風が、春を連れてきてくれたようで、今日は、5月なみのあたたかさだそうです。今朝は、いつもより歩いてるヒトが多かったです。やっぱ、ニンゲンも植物と同じく温度で動くんですね。


前回のステファノ・マキューゾ植物博士が、TEDでの講義でおハナシなすった内容は、「植物には、すぐれた感覚と知能がある。植物のもつ多才な能力をニンゲンが学び、有効に活用すれば、よい未来につながる優れたテクノロジーが開発できるにちがいありませんっ。」とのことでした。

毎日作物と真剣に向きあう生産者の方々はもちろん、花道家さん、庭師さん、植木職人さん、etc・・・はたまた「植物を育てるのがすきっ!」というホビーガーデナーさんたちまで、マキューゾ博士の言わんとすることは、かすかに・またはものすごく,よくお分かりになると思います。
特にニッポンの生産者の方々や職人さんがたは、植物の生長活動を実に豊かに表現されます。「根・芽・枝 が動く。葉が立つ。根を食いつかせる。苗を眠らせる・目覚めさせる。」などなどワタシが知る限りでは、英語で同じことを意味する表現は、もっとシンプルで少ないように思います。


そして、植物と日々ふれあってるヒトたちは多分、こんなふうにも感じてらっさるのではないでしょうか?
「あのコたちには、もちろん感情だってあるのよ・・・」
「ヤツらは、超能力さえ使えるんだ・・・」


ワタシが思うに、声や表情などを持たない植物たちは、見た目とか香りとかオイシさとか、あの手この手でワタシたちニンゲンをタクミに惹きつけ、トリコにさせ、教育し、交配・繁殖を成功させて、実は地球の生態系の頂点に立ちつづけているとしか思えませんっ!!!

そんな植物たちの発するフェロモントラップに、まんまとハマっちまった(?)偉大な方々が出版された著書を、かなり自己流にいくつかピッマクアップしてみました。


まず今日は、アカデミックにハマった方々の、おススメ著書です。
Book :1

「植物の生存戦略」


じっとしいてるという知恵に学ぶ


by


「植物の軸と情報」特定領域研究班





マキューゾ博士のおハナシに興味を感じるヒトや、植物のバイオ学なんかに興味があるヒトは、きっとオモシロく感じるかなと思います。最先端のバイオテクノロジー的な情報が、てんこ盛りです。眠れない夜にはピッタリだろうというような難解な内容が、とっても読みやすく・分かりやすく書いてくれてると思います。


Book:2

「植物改良への挑戦」


by


「鵜飼保雄」さん










この本はタイトルどおり、植物の品種改良の発展をバイオ的な観点から、まとめてくださった歴史書です。
園芸界で、ものすごく画期的な品種を生みだすをことを「バーバンクする」というそうです。以前もふれたようにバーバンクさんは、数々のミラクルな交配種を生み出した「カリスマ植物ブリーダー」でっす。「いつかはバーバンクしてみたい!!!」ってヒトには、品種改良技術の歴史的ナガレがわかる、この本がおススメです。


ハナシはそれますが、植物がニンゲンを夢中にするイチバンの目的とはズバリ!!!
「ヒトの手をかりて交配して、より強く優れた遺伝子を残す」
なんじゃあないかと、ものすごく勝手に信じてます。やりかねません、植物が昆虫や鳥なんかを花の香りと蜜で手招きする目的は、花粉を運んでもらうためだからです。
例えば、ニッポンの誇るべき文化の「茶道」の主役である「お茶の木」も、平安時代にお坊さまがたが、ワザワザ唐の国から遠路ハルバル命がけで種を持ってきてくれたのが始まりとのことですし、
主にルネッサンス以降に、オランダやフランスのセレブの間で大流行したバラの品種改良の大きな転機となったのは、ニッポン原産の「ノイバラ」だったんだそうです。それまでは、花は大きくても一輪咲きしかしなかったバラが、房咲きのノイバラとの交配で、はじめて大輪のままで房咲きするバラを生みだし「フロリバンダ」のベースとなったそうでっす。

この「植物改良への挑戦」では、どうやって植物が海の向こうへ渡っていったかというエピソードについてはあまり触れられてませんが、ニンゲンが船で海を越えたり、陸路をポツポツと進んで異国の地へとわざわざ運んでくれたから、お茶もバラも生育テリトリーをさらに広げることにマンマと成功したわけです。つまりニンゲンは、昆虫なんかよりも、はるかに効率よく植物のテリトリーを広げてくれるうえに、交配までしてくれるっつーわけです。生息する地域が遠いほど遺伝子のチガイが大きくなって、チガイが大きな遺伝子どうしほど交配すれば優秀なコドモができるってのは、有名なおハナシです。

と、いうことで食べ物にしたり、薬にしたり、見て楽しんだり、お金になったり、燃料になったり・・・ヒトサマの生活に密接にかかわってる植物たちほど、たくさん交配されて、たくさんの品種がつくられます。つまり、数多くの品種が存在する植物ほど、歴史的に見たら、ヒトサマとの共存に成功したってことになるし「文化発展貢献度の高い植物」とも、言えるんじゃあないかな???と思います。

・・・次回は「サブカルチャー的に、スピリチュアル的に、神の領域的に」植物のトラップに、はまっちまったスンバらしいヒトたちの本へとつづきます。