2011年5月31日火曜日

ピート? ピートモス? その1

今日でもう5月も終わりです。そしてとっとと梅雨に突入してます。














さて、ソイルレス・ミックスってのは、おもに施設や室内でのプランター栽培専用の「養液土耕栽培」の培地です。欧米では「Soil =ソイル(培土)」 とか「Potting Soil=ポッティング・ソイル(鉢植え用培土)」にカテゴライズされていますが、このソイルレス・ミックスは植物由来の有機培土をメインに使っているので、赤玉などの無機培養土も含む「Soil」と区別するために、「Organic Soil=オーガニック・ソイル(有機培土)」とも呼ばれます。

そもそも養液土耕栽培ってのは、施設栽培の土壌に合わせて調合した培養液をドリップして植物を育てる栽培方法なので、土壌そのものには元肥などの肥料を入れることは、あまりありません。でも欧米のソイルレス・ミックス栽培では、コンポストをはじめ、ミミズのフン、バッドグアノや骨粉、ケルプなどク溶性や可溶性の有機肥料を元肥にして、プラス培養液を与えるハイブリット的な養液土耕栽培が主流です。この方法ならば100%有機栽培ができるってことで人気が高いようです。


(ちなみに養液栽培ってのは、植物を植えた培地そのものには肥料を入れないで、水溶性肥料を希釈した培養液で植物をそだてる栽培方法ですが、水溶性肥料って?については詳しくはこちらで)
http://desktopfarmer.blogspot.com/2010/12/or.html

肥料を溶かした培養液メインで植物をそだてれば養液栽培にカテゴライズされるので、ハイドロポニックス・エアロポニックス・ココポニックス(ココ栽培)も養液栽培っていうことになります。

しかし、ココ栽培とソイルレス・ミックス栽培は、ハイドロポニックス・システムのように培養液をタンクにためたり循環させたりするのは、まっっったく向いてません。

自動ドリップシステムか、自分で定期的に培養液を水やりします。一見メンドクサそうですが、植物の繊維を培地にした有機質なので、有機成分や有用菌とも相性がよくって、酸素が豊富で、もし間違えてEC値が高い培養液をあげてしまっても、根っこへのクッションになってくれるのでハイドロよりも根傷みが起こりにくく、水溶性の有機肥料をつかえば、安心・安全な100%オーガニック栽培ができるっちゅ〜メリットもあります。


ならば、ココ栽培とソイルレス・ミックス栽培はなにが違うの?と思いますが、ココ栽培がさかんな欧米では、「バックリと分類すれば、ココ栽培はハイドロポニックスだよ。まぁ、細かく見てけば、ハイドロとの違いはイロイロあるんだけどさ。」とのことです。
例えばロックウール栽培だと培地が乾かないうちに、ほぼ毎日培養液をかけ流ししますが、ココ培地でもこの給水方法ができます。つまり、ココ培地はロックウール培地と同じように使えるよという認識です。

発芽培地にココをつかった、モチアワが発芽しました。














ところが、ソイルレス・ミックスロックウールのようには使えません。ソイルレス・ミックス栽培は土耕栽培に入る「養液土耕栽培」です。基本的には、ココ栽培のように培養液は毎回あげません。水やり2〜3回に、培養液1回のペースです。(生長段階によって変わります。)




そして、ソイルレス・ミックスにメインに配合されているベース素材は「ピート」という有機質の土です。「ピート」は「泥炭」とも「ピートモス」とも呼ばれますが、「ピートモス=ミズゴケ」ではありません。ピートモスは、スパグナム属にはいる200種類ほどのミズゴケだけから形成されたピートのことで、スパグナム・モス=ピートモスではないそうです。

一方、「ピート」とよばれてるほうには、このスパグナム属のミズゴケだけでなくアシやヨシなどの水生植物が含まれることも多々多々あるので、産地によってピートに含まれてる植物の種類がちょっとづつ違ってます。そして学術的にはピートピートモスは、植物資材ではなく「土壌」というカテゴリーに入ります。

本来は、植物の繊維質が腐植するなどで細かくなったものをひっくるめて「PEAT=ピート」と呼んでいるようです。なのでヤシガラを細かく粉砕したココ培地も「ココピート」とよぶので混乱しますが、ただたんに「ピート」といえば水生植物由来の土壌「ピート/ピートモス」のことという認識でOKなようです。

ところで、
ハモグリバエにやられた葉っぱを見つけました。


多少の食害なら、植物にとって免疫を強化する刺激になるので、放っときました。











このピート層ができ始めたのは、紀元前12000年頃の氷河期スタートだそうです。
ピートは、寒冷地にある湿地帯で枯れた水生植物たちが、寒さのため微生物に分解されずに残っていって、枯れた上に生える・・・生えて枯れる・・・枯れた上に生える・・・ってのをエンエンとくり返してできた地層です。

年月の経ったピートほど炭化がすすみ、腐植酸が分解されて酸度は中和されていて、燃えやすくなります。なので「Low Peat=低位泥炭」とよばれる低位にあるピート層のほうが、酸度が低く、ほとんど黒色に変色がすすみ石炭に近くなるとのことです。

となると、「High Peat=高位泥炭」とよばれる上位のほうにできた比較的新しいピート層は、色がまだ白く腐植がはじまって間もないので腐植酸などの有機酸がタップシ含まれていて酸度が強くなります。こんなふうに、ひとくちにピート層と言っても、下部・中部・上部でかなり性質が変わってきて、この辺の違いから植物の栽培にむいてるピートと、向いてないピートにも分かれてくるんですね〜。


長くなるので、つづきます。