2012年1月23日月曜日

室内栽培pH/ECトラブルのサイン「コバエ」

ムクムクと大きくなっているイチゴの「あかねっ娘」たちのグロウルームには、最近「コバエ」がブンブンと飛び回るようになりました。


ムムッ、これはココ培地のpH値かEC値のバランスが崩れてきてる合図です。
植物に、コバエやアブラムシがでる原因は、培地や培養液のpH値かEC値のバランスがくずれて、植物の樹液が酸性になりすぎてる時に、よく起こるように感じます。(ロックウール培地でも、おなじです。)


バッタやハムシなど、葉っぱをバリバリ食べやがる昆虫たちと違い、コバエやアブラムシ、そしてウドンコ病や炭疽病など葉っぱに症状がでる害虫や病気は、ちょとなら問題ないんですが、広がってしまう場合は、植物の栄養バランスが崩れてるサインかと思います。
















・・・コバエは、甘酸っぱい酸味臭がすきなので、うっかり黒く完熟させてしまったバナナなんかに、よく集まってきますよね。ココ栽培にコバエがたかってるってことは、ココ培地に酸がたまってpH値が下がりすぎてるんだと思います。

植物は、ある程度大きく育つと、根っこが老化して死んでいって、枯死した根っこは発酵分解して、有機酸がイッパイできたり、過剰なリン酸や硫酸がたまっていったりして、ココ培地や培養液のpH値が、3とか4とか、酸性になりすぎになっちまったりします。

で、なんで培地のpH値が5.0以下の酸性になるとよくないのかというと・・・

植物の根っこは、チッ素/リン酸/カリ/マグネシウム/カルシウム/・・・微量要素をひっくるめて必須要素を同時にズズーッと吸えてるわけじゃなくて、酸性の肥料を吸ったら体内のpH値が低くなるから、つぎはアルカリ性のカリウム・・・てなぐあいで、酸性/アルカリ性をバランスよく吸って、体内のpH値が弱酸性〜弱アルカリ性くらいになるように、バランスをとるんだそうです。

植物体内のpH値がベストな範囲に保たれていれば、元気で、はやく育つし、コバエやアブラムシやウドンコ病はでてきません。多少でてきても、抵抗力が強いので、オオゴトには、いたりません。
←ところが、このグラフを見るとpH値で、肥料ミネラル各成分の溶けやすさが分かるんですが、

培地のpH値が5.0より下がりすぎると、硝酸態窒素などばっかりがたくさん吸われすぎて、




カルシウム、カリウム、マグネシウムなどチッ素を同化してくれるミネラルが吸われなくなって、細胞壁が薄くなって、いろんな病害虫につけ込まれやすくなっちゃいます。



ということで、↓左イマイチなコンディションのココ栽培あかねっ娘と・・・↓右側よいコンディションのココ栽培あかねっ娘の、ココ培地のpH値とEC値をはかってみました。
測定方法は、「蒸留水50ccに1.5培地のココ培地サンプルを溶かして、pH値とEC値を計る1:1.5分析方法です。」











←イマイチなコンディションのイチゴのココ培地のpH値は4.8です。ココ培地のpH適正値は5.5〜6くらいです・・・やっぱしpH値が下がりすぎてます。

銅、マンガン、モリブデンなど、硝酸や亜硝酸を還元してくれる大事なミネラルが不足すると、人で言えば、食生活が乱れてるのとおんなじで、成人病まっしぐらです。

つぎに、EC値です。
ココ培地を濾した水で、EC値を測ってみました。
EC値は0.8mS/cmでした。

トマトなど肥料に強い植物なら、適正EC値は1.1〜1.3です。イチゴは肥料にビンカンなので、0.8ならば、まぁまぁ範囲内だと思います。



←つぎに、順調にそだってるほうのプラントです。
順調なプラントのココ培地のpH値は、4.9でした。
やっぱりpH値が下がりすぎてます。
イチゴを育てていて、いつも思うことですが、果実が大きくなることになると、ココ培地のpH値が下がりすぎてきます。やっぱし、根っこが酢酸発酵してるからかもしれません。





つぎに、EC値です。
順調なプラントのココ培地のEC値は、だいたい0.7mS/cmくらいでした。

不調なプラントのEC値が0.8mS/cmなので、元気に育ってるプラントの方が、やっぱし肥料をたくさん吸うということです。










で、じゃあココ培地のpH値が下がりすぎて、コバエとかアブラムシとかウドンコ病とかがでてきたら、どうしたらいいのか? なんですが、培地のpH値をアップせねばなりません。
水耕栽培用のpHアップ剤だけでつくった、pH値9くらいの培養液で、ひとまずココ培地をフラッシングします。

pHアップ剤の培養液でもいいんですが、私のお気に入りは「ケイ酸資材」です。
「ケイ酸」は、土の中にふんだんにある「ケイ素」に酸素と水素がくっついて弱酸性になったミネラルですが、細胞壁をつよくしてくれる「カルシウム」に似た効果があります。自然界にふんだんにあるし、水晶にもなる「二酸化ケイ素」は、ほとんど水に溶けないので、そのままでは植物は、とてもじゃないけど吸えません。



なので、農業や園芸用のケイ酸資材は、可溶性、ク溶性や水溶性になっています。





で、この「ケイ酸塩」のナニがいいのかと言えば、培養液や培地のpH値が下がりすぎる場合に、pH値をいいぐあいに調整するバランサーになってくれます。ケイ酸は、pH値が低すぎるときは過剰な水素イオンを吸着して、培養液のpH値があがってくると、つかまえてた水素イオンを放出してpH値のバランスをとってくれて、その上、リン酸や微量ミネラルなどを吸いやすくサポートもしてくれたり、細胞壁を丈夫にして病気知らずにしてくれたりします。


なので、ココ培地でアブラムシやハムシがでてきたら、水だけでケイ酸資材を希釈してpH値を9〜10くらいのアルカリ性培養液で、ジャバジャバッと流してます。酸っぱいニオイがなくなるからか、不思議と翌日には、ハムシやアブラムシが移動しています。(プラントが健康なら)

ハイドロ・システムでも、ケイ酸資材は効果があります。pH値バランサーなので、培養液のpH値変動を小さくできます。適正なpH値が続けば、植物の根っこは、どんどん肥料を吸うことができるようになります。植物は花が咲くと、アルカリ性が足りなくなるみたいなので、培養液をいくら取りかえても、翌日にはpH値が3〜4とかに、すぐ落ちちゃうことが多いと思います。

こんなときこそ「ケイ酸資材」が、なかなかGOODです。一口に「ケイ酸資材」といってもなかなか水に溶けない資材もあるので、「水溶性ケイ酸」がはいった資材がおススメです。水溶性ケイ酸は、ケイ酸資材の中で一番即効性があって、お値段もちょっと高くなります。

葉っぱにアブラムシやウドン粉病などが出てしまってるときは、この水溶性ケイ酸を薄めに希釈して、週に一度のペースで葉面スプレーすると、回復しやすくなります。


で、アルカリ性培養液でココ培地をフラッシングした翌朝。グロウルーム内は高湿度85%、すぐに外気を入れて、湿度をさげます。











まず、不調なイチゴのプラントは・・・


葉っぱのフチからちゃんと葉つゆがでてました。

根っこが動いてる証拠です。















つぎに調子がよいほうの、ココ栽培のイチゴです。

このココ培地も、昨日アルカリ性培養液でフラッシングしました。


やっぱし、ちゃあんと葉つゆがでてます。







なんとなく、果実がふくらんだような・・・?

なにより、茎がピンとたってます。
















元気なプラントは、茎と葉っぱがピーンと上を向きます。根っこが培養液をたくさん吸うからです。ゲンキな根っこは、内部にたくさん糖分を溜めこんでいるので浸透圧が高く、水分と肥料ミネラルをたくさん吸えるようになります。

逆に弱い根っこは、内部の浸透圧が低いので、ちょっと濃い肥料をあげると、根っこから水分の逆流がおきて肥料やけしやすいんですねぇ〜。

ということで、根っこの有機活力剤には、ほとんどで糖分が入ってて、強い根っこをつくるサポートをするってわけです。















そして、イチゴのグロウルームから、コバエが消えていました・・・と思ったら、となりのミニトマトのグロウルームや、観葉植物のまわりでただよっていました。ミニトマトもフラッシングしようかなと思いました。