2012年2月24日金曜日

ハイドロポニックス専用肥料。2パートor3パート???

日本では、ホビーガーデニングや植物工場でメジャーになった「ハイドロポニックス」というカテゴリーは、先進国の欧米だと、NFTやエアロポニックスやエアレーションなどなど・・・培養液でそだてるシステムすべてが、ひっくるめられて語られています。

それと日本でいう「養液栽培」そのものが、欧米では「ハイドロポニックス」なので、「ロックウール栽培」「ハイドロボール栽培」「ココ栽培」「スポンジ栽培」も・・・そしてピートモスがベースの養液土耕「ポッティング・ミックス栽培」さえも「ハイドロポニックス」にカテゴライズされることも、よくあります。

日本だと「それは水耕栽培じゃないのに、ハイドロポニックスになるの〜???」と疑問を感じることが多いのですが、それもこれも、1960年代に米国で現代的なハイドロポニックス農法技術が始まって以来、ハイドロポニックスが定着するにつれて、ガーデナーのニーズや流行、資材や技術の進化のおかげで、ハイドロポニックス用システムや培地の種類が自然と増えていったためで、

「いったいどれをチョイスしたらいいか、数が多すぎてわからない!!!」と、頭を抱え込んでしまうほど多種多様なハイドロ・システムや培地や肥料たちの種類の多さは、欧米における「ハイドロポニックス市場」の円熟度を示していると言えます。(チラ見によると、2011年に発表された米国の施設栽培だけにかぎっても、ハイドロポニックスの市場規模は一年で500億円! パッと見では、日本のケータイコミックとおなじくらいの市場規模です。)

ということで、おウチでハイドロポニックスを楽しむうえで「 ハイドロ用のベース肥料って、3本にわかれてる3パートが昔からの定番だけど、最近じゃ2パートが増えてきてるし、1パートだけのベース肥料もあるなぁ。どれを選べばいいの??? 」というお悩みを抱えたことがあるおヒトは少なくないと感じています。

ちなみに、市販されているハイドロポニックス専用複合肥料は、マックスな前提をふまえてつくられます。その前提とは・・・

「多量/中量各要素の「 N,P,K,Ca,Mg,S」と、微量要素の「Fe,Cu,Mn,Mo,Zn,B,Co」ゼンブを、植物が必要な分だけ、吸えるバランスで配合しないと、カンペキな培養液を植物に与えることはできない。しかも、必須要素を適当に入れちゃえばいいんじゃなくって、結合しやすい必須要素どうしを別々のボトルに入れるか、結合しないようにするためのスペシャルなノウハウが必要になるんだよね〜・・・」です。

で、1パート、2パート、3パートのベース肥料のどれがいいのか結論から申し上げますと・・・「好み」です。


つれないようですが、究極のチョイス基準は、ホントに「好み」といか言いようがないのですが、欧米で一般的にいわれている、各パート肥料のメリット・デメリットに、個人的な感想を織りまぜつつ・・・



まずは、3パート肥料のメリットとデメリットです。











まさにハイドロポニックスの黎明期に考案された3パート肥料は、
「Old School Nutrients」とか「Old School Formula」なんて呼ばれたりもする定番中の定番スタイルです。

当時、ベース肥料を3本に分けた大きな理由のひとつが、「カルシウムと硫酸は、なにがなんでも分けなきゃならない」ということでした。カルシウムと硫酸が結合すると、なかなか溶けない難容性の「硫酸カルシウム」・・・つまり石膏ができてしまうからです。カルシウムは硫酸以外にもリン酸とも結合しやすく、イロイロ問題がおきやすいので、必須要素を3本に分けて流通させれば、店頭にならんでいる期間が長くっても、肥料成分どうしが固まる心配はないので、ガーデナーはすべての必須要素を確実に植物へ与えることができます。

その上、3パート肥料は配合比率を変えて培養液をつくるので、生長期から開花期まで、すべての植物の生長段階に対応できちゃいます。

また、肥料の知識があるヒトや、植物の過不足症状を読めるヒトなら、各ボトルの比率を独自にアレンジできたりと、カスタマイズ度が高いので、上級ガーデナー向きともいわれます。とはいえ、3パート肥料の原則は、メーカーの推奨どおりにpH値やEC値を管理することが最大の注意事項なので、それさえ守れば、もちろんビギナーでも使いこなせます。

なので、3パート肥料のメリットは、肥料の過不足症状が起きにくいことと(レシピを守っていれば)、カスタマイズ度が高いことと、ビギナーから熟練者まで対応できるってことです。

反面、いつでも3種類を揃えなくちゃいけないのと、3種類を混ぜて培養液をつくる手間が、ジャマくさく感じるおヒトもいるかと思います。なので、植物の世話が苦にならない几帳面なおヒト向きとも言えます。

個人的な感想は、3パートはNPKの比率を変えやすいので、いろんな種類の植物や品種に細かく対応ができるってことと、肥料各成分の働きを知れば知るほど3パートに魅力を感じるってことです。

・・・次回は、2パート肥料のメリット、デメリットについてです。