2012年11月30日金曜日

BottomFeeding V.S. Sodaponics

じつはエアロガーデンで育てていたパクチーたち。「だれだ? ウマそうなスイーツを食べてるのは? 」と、ふと見回してしまうほどバニラ風味のカスタードのような香りが部屋中にただよいます。(パクチー苦手なおヒトにとっては、どこがバニラだよ! と感じるそうです。)

バクチーは別名「コリアンダー」ともいいますよね。コリアンダーの種はインド料理をはじめエスニック料理には欠かせないスパイスのひとつです。
種苗屋さんでこの種をGETして撒くときに、ふと気がつきました。

ウチにはスパイスとしてのコリアンダーがタンマリ買ってあるので「それを撒いたらよかったんじゃないか?」
種を探しまわってる時は、そんなことこれっぽっちも頭に浮かびませんでした・・・







コリアンダーなどスパイスとして売られている種子が発芽しやすいかどうかはハテナですが、ウチにあった大豆やヒヨコ豆などの豆類は、撒けばぴたりと発芽してくれたので、コリアンダーやクミン、カルダモンなどの種子スパイスでも、新鮮で保存状態がよければ、わりと発芽するんじゃないかと思います・・・ただ、その植物が育てやすいかどうかは別です。



テキトーにとったラベンダーの挿し木・・・発根しました。

空気と水分がいっぱいのエアロポニックスは、挿し木とりの強い味方です。














室内栽培のトマトたち、いよいよ花や実がたくさんついて培地が乾くサイクルが早くなってきました。COCO培地とTERRA培土のトマトたちは、培養液を「Bottom Feeding = 底面給水で培養液を吸わせる方法」にチェンジしていこうと思ってます。


手前の黒いトレーは底面給水用トレーです。
まんなかの白いトレーは、IKEAの収納コンテナのフタです。





底面給水トレーは30cmX60cmサイズで、ちょっと小さなかな?と思いましたが、なんだかんだ都合がいいんだな、と使ってみて理解しました。













Bottom FeedingSelf-WateringとかAuto-Wateringともいわれるようですが、日本語ではズバリ「底面給水」です。

Bottom Feedingは、培養液や水をトレーに流し込んで、ポットの底面から吸収させる栽培方法で、欧米の多くのやり方ではトレーにたまってる培養液がなくなったら、イツ何時でも培養液がトロトロと勝手に補充されるシステムがほとんどです。

なので養水分吸収がつねに安定する反面、根っこが酸欠になりやすいので、布製のポットやスリットポットなど根域に酸素がたくさん入るポットでおこなうことが条件のひとつのようです。

かねてからCOCO培地とTERRA培土でトマトやホワイトセージをBottom Feedingで育てていて、なかなかいい結果がでているので、今回本格的にトライしてみます。ワタシの場合は、培養液が自動的にトレーに供給される方法ではなく、COCOやTERRAが乾くのを待ってから、トレーに培養液をそそぐことにしてみます。




ということで、手さぐり状態でトライしてる「Bottom Feeding」ですが、これから寒さがキビシくなる真冬には、すこし温かめの培養液を底面から吸わせてあげたりすれば、夏野菜のトマトたちの根っこには、とってもいいんじゃないでしょうか?











小麦の葉っぱで休む「アブラバチ」くん。こんなに小さいのでウッカリすると鼻から吸い込んでしまいそうになります。あと、つやつやベタベタのリップグロスも、アブラバチ君が唇にひっついてしまいそうでデンジャラスなので、それはそれは気を使います。












さて培養液を温めてから、グイグイ育ってるSodaponicsのトマトたちは、育ちかたのチガイらしきものが見えてきたような気がします。

COCO培地やTERRA培土のトマトたちよりも、下の葉っぱに水疱症が多く見られます。やっぱ水分の吸収が多いようです。

が!!!









Sodaponicsのレッド・オーレ。ひとつの花房につく花は13個あります。TERRAよりも多くノビノビとした実のつき方をしています。











こっちはTERRA培土のレッド・オーレ。果実の数は7個でSodaponicsの約半分です。
Sodapnocsよりも、約1ヶ月ほど早く定植させて栽培をスタートさせたので、もう果実はここまで大きくなってます。

果実の数は少ないのですが、そのぶんプリプリと肥大してます。








あとは味、テイストのチガイが楽しみです。はやく赤く熟さないかな〜!!! 

2012年11月26日月曜日

室内栽培〜開花期の管理〜


いよいよ冬がきた! といった寒さがつづきますが、セッセと歩けば暑くなるので、まだダウンは着たくない・・・というビミョ〜な季節です。


Secret Jardinのような密閉性が高いグロウルームは、ランプの熱が逃げないようにピッチリと閉め切れば、冬でも昼間の室温は24℃くらいまで上がります。


しかしプラントたちは光合成で室内のCO2を食べているので、たまに外気を入れないとCO2不足になったりします。

CO2を添加することができて、ランプ点灯時間帯にだいたい600〜800ppmほどに維持できるならグロウルームは締め切りでもOKです。(室内気温24℃、湿度40%〜80%ほど)








密閉性の高いグロウルームを閉めっぱなしにすると、昼間はほどよく湿度が維持できますが、夜間ものすごく湿度が上がります。夜間の湿気は苗を冷やしすぎたり、壁や床面に結露がたまり電化製品や電源プラグが危なすぎたりするので、ランプが消えている間もファンをまわして室内の空気に動きをつくってあげたほうがGoodです。

また、床面に水分がたまってしまうとカビが生える原因になるので、タオルなどを敷いたり、電源タップや安定器など水に弱い電化製品を、あらかじめグロウルームの外に設置するケアが、ものすごく大切になります。



そして、これから花が咲きすすんで果実が実って大きくなるのに合わせて、肥料濃度を段階的に濃くしていきます。ゼッタイにNGなのは、肥料濃度をいきなり濃くすることです。これをやると、根っこにものすごい負担をかけます。




夏野菜の代名詞のようなトマトは、今月になってから寒さのせいで、ちょっとしたトラブルがでてきました。

アイコの一番下の葉っぱには、細菌性の斑点病がでてきました。肥料が足りなくなってる目安でもあるそうです。3段目の花房がでてきたので、ソロソロ本格的に肥料濃度を濃くしていこうと思います。










冬の気温の影響をモロにうけるSodaponics循環システムのトマトたちは、培養液の入ったバケツの下に加温マットをあてて培養液を18℃くらいに暖かくしてから、ベックリするほどグングンと大きくなりました。

茎が太くなってガッチリしてきました。
根っこがダイレクトに培養液にふれる水耕栽培は、冬のあいだの培養液の水温管理が、ひっじょ〜に重要になることを改めて思い出しました。

植物は、水温が15℃以下の冷たい水にふれると、とたんに根っこが劣化します。そして30℃以上になると酸欠になってきます。





根っこに最適な水温は18℃〜22℃といわれてますが、室温が下がる冬は22℃以上にしても平気なんじゃないかと思います。


Sodaponics循環システムの培養液の水温は18℃、
pH値は5.3〜6.5ほどです。

1日1回10分間、培養液にCO2ガスを吹き込むだけで、pH値は6.5以上にならなくなってきました。








一方、EC値はどんどん下がるようになってきました。
4日前にEC値2.0mS/cm濃度の培養液にチェンジして今朝は1.87まで下がっていました。

トマト2株に対して培養液は6L〜8Lくらいで、だいたい10日に一度培養液を取りかえています。








ということで「培養液が、すぐ減るのか? なかなか減らないのか?」によっても根っこの元気度がわかる目安にもなるかと思います。花が咲くころになっても培養液があまり減らない、生長がおそい、という時も水温が冷たすぎてないかどうか、確認した方がいいと思います。



今のところ一番生長が早く果実も大きく育ってるTERRA培土栽培のミニトマト「イエローミミ」です。

花は4段目まで咲いてきたので、TERRA培土にはじめから配合されていた元肥は、本格的に切れてきたようです。








イエローミミの苗のトップの部分の茎が、細ぉ〜くなってきてしまいました。

いままでBioFlores有機肥料を500倍希釈して与えてましたが、次は300倍、その次には250倍まで、じょじょに濃くしていこうと思います。


TERRA培土で育てているミニトマトの「アイコ」です。数年前の夏、福島県のとあるカリスマ農家さんが作られた「アイコ」のうまさが、今だに忘れられず思わず育ててしまいました。

世界に誇るスペシャルな農業技術をお持ちのカリスマ農家さんがたくさんいらっしゃる福島県なので、きっときっとミゴトに畑を復活させるにチガイないと信じてやみません。




これもTERRA培土で育てている「レッド・オーレ」。

果実がプリプリしてます。イエローミミ、アイコと比べると、レッド・オーレは低温や肥料切れにも強くタフな品種のようです








・・・にしても育てやすさでは、去年育てていた「千果」はピカイチでした。「千果」の果実から枯れ落ちた種は、いまだに冬の空の下でボーボーと花を咲かせています。




蛍光灯からMHランプ400Wにチェンジしたあと、イチゴたちは次々に花が咲いて葉っぱが立ち上がるようになりました。葉が立つのは、根っこが元気に培養液を吸ってる目安です。














ワタアブラムシ駆除のためにGETした「アブラバチ」ですが、ちゃぁ〜んと働いてくれてました。アブラムシがいっぱいついてしまった葉っぱのウラっかわをよく見てみると、マミー化したアブラムシたちがポツポツと見つかります。



マミー(Mummy)というのは、ミイラという意味だそうで、アブラバチがタマゴを産みつけたアブラムシがアブラバチのコドモに寄生されている状態です。

とはいえ、アブラムシたちは実ったばかりのイチゴの果実にもワラワラついてしまいました。そこで50℃温水でイチゴの果実に直接スプレーしてみると、なんともキレイさっぱりいなくなります。








と、いうことで、今年はアブラバチと50℃温水の名コンビ?で、室内の無農薬栽培にトライしていきます。




2012年11月19日月曜日

花が咲いたり、根が出たり。

2週間前、ついつい手当たりしだいに、そのへんで育てている植物たちの挿し木をとってしまいました。
ホップとラベンダーとバラの混植な挿し木取りです。
ラベンダーは、植え方がヤッツケだと、ほぼ100%枯らしてしまいます。キリがないので挿し木でふやしておこうと思いました。

こんなんで、ホントに根っこが出るんでしょうか?





だいたい一週間たって、ホップのチヌークが一番乗りで発根しました。


ラベンダーとバラのような茎が木質化(=もくしつか)している挿し木は、発根までもう少し時間がかかりそうです。











アブラムシだらけの「あかねっ娘」たち、やっと葉っぱが大きくなってきました。一般的には、大きな葉っぱがつかないと、イチゴの果実も大きいのが実らないといわれています。














ふと葉っぱをガサガサとかき分けてみると、もう花が咲いてました。いつのまに・・・アブラムシに気を取られすぎてて、まったく気がつきませんでした。














木枯らし1号も吹いて寒さも本格的になってきたし、イチゴに花が咲いたので、蛍光灯タイプのグロウランプをMHランプ400ワットに変えました。
前々から思ってたのですが、イチゴはオレンジや赤色光のサンセット色をしたHPSランプよりも、青色光など短い波長をだすMHランプの方が好きなんじゃないかな?という気がしてなりません、

ということで今年はイチゴはMHランプ、トマトはHPSランプで育てます。








クールチューブリフレクターにファンの風を送り込んで、ランプの熱をガラス管からグロウルーム内に排出させて、室内温度を暖めています。

しかし昨日は突然寒くなって、一気に冬が来てしまったような日でした。寒いのが苦手なトマトたちは、朝ランプが点灯すると葉がだらんと萎れ気味になってしまいました。

MHやHPSランプのような光量も強いが熱もでるランプは、ランプが点灯した直後には、光があたった葉っぱの温度が急激に熱くなってしまいます。そこで葉っぱは、温度を下げようと急いで気孔から水分を蒸散させます。










ところが根っこの周辺温度は、まだ冷たいままなので(とくに水耕栽培)、根っこはさっぱり培養液を吸えずにいます。
そんな理由で、寒いのが苦手な夏野菜は、冬のあいだグロウランプが点灯すると、葉っぱがダラ〜ンと萎れてしまったりします。これを過ぎると、葉っぱが赤紫になる低温障害がでたりします。
グロウルーム内の室内は、基本的にランプ点灯時と消灯時で、温度差を5℃程度以内にキープしましょうね、といわれています。そして、ほとんどの植物に最適な育成温度が18℃〜24℃といわれてるので、ランプが消えた後の室温は、最低13℃〜15℃くらいあればGoodだね、ということです。

ということで、培養液が冷たくなりすぎてしまうSodaponis循環式ハイドロシステムは、培養液の入ったバケツの下に「ぴたり適温君」というペット用加温マットを敷いてあげました。最近では温度調節ができる「マルチパネルヒーター」という便利なものも登場しています。



ところで、だいたい2週間前にCOCO培地のトマトたちを6Lポットへ定植しました。これが2週間前の植えかえ直後の様子です。











なにがなんだか、さっぱり分からないと思いますが、中央の4株が植えかえたCOCO栽培トマトたちの今朝の様子です。

とおっっっても大きくなりました・・・今年のCOCO栽培トマトたちは、生長が遅いなと思っていましたが、原因は大きなポットに定植するのが遅すぎたからだったようです。









アブラムシを減らしてくれる天敵昆虫アブラバチのために撒いたバンカープラント「小麦」は、本命ではないのにスクスク育ってます。
よくよく調べてみると、アブラムシがつきやすいバンカープラントは「麦」ならなんでもOKだそうです。

ってことは、
←な状態でホームセンターでよく見かける「猫草」でも良かったわけです・・・(猫草は「えん麦」というオートミールになる麦です。)









2012年11月16日金曜日

ガイチュウ、エキチュウ、ハンショクチュウ。

やっとミカンを収穫しました。無農薬栽培だったからなのか、虫たちに皮をたべられまくりでした。マルカメムシの仕業かと思っていたら、テントウムシも犯人のうちのヒトリでした。カメラ目線でバリバリ食べてます。(ミカンは、ウマかったです。)














それはそれはウマそうにミカンの皮を召し上がってるテントウムシには申し訳なかったのですが、グロウルームでアブラムシだらけになってるイチゴたち担当責任者に人事異動してもらいました。アブラムシは、マクロレンズで見るべきではなかったと後悔しました。 ツブラな瞳が、かわいすぎるからです。











一方、待望の天敵農薬が届きました。

アブラムシたちに卵を産みつけて退治してくれる「アブラバチ」という昆虫です。天敵農薬は、農薬の散布にカウントされないので、無農薬栽培として認定してもらえる自然農薬です。

「マミー」というサナギの状態がほとんどで、成虫が数匹入ってました。









「 農薬といっても生き物だからさ、届いたらすぐさまフタを開けてアブラムシが繁殖してる場所に置いておいてね。土の上に置くとアリンコがサナギを持ってっちゃうから気をつけてね!!!」という意図の説明書が、なんともほほえましい・・・フタを開けてみましたが、アブラバチたちは、長旅の疲れがとれないようで、なかなか飛び立ちません。

















イチゴの葉っぱのすぐ下に容器を置いておくと、ひとりのアブラバチがプ〜ンッッッと飛びました。あ〜、このコは見たことがあるぞ〜! 















そういえば、葉っぱのウラにプツプツと丸いモノがくっついているのを何度も見たことがあります。なんとそれがアブラバチのサナギだったのですが、なんとなくジャマ臭くて、サナギを見つけ次第、手でこそげ落としていました。まさか益虫とはつゆ知らず、おもいっきり退治していたとは・・・とほほ。

「えっ? もしかしてアレかな?」と思い当たるおヒトは、

「アブラバチ マミー」

で画像検索してみてください。



ちなみに、アブラバチたちを栽培エリアに定着させるためには、エサになるアブラムシがつきやすい植物、つまりバンカープラントを栽培スペース内で育てておくといいそうです。ということで、早速アブラムシのベストなバンカープラント「小麦」をGETして発芽させてみると、オドロキの生長速度です。小麦についたアブラムシが死んでは困るので、小麦の種は無農薬のものにしました・・・ニンゲンって勝手ですね。














しかし、ここでひとつ大問題が・・・



天敵農薬は、害虫が出始めた初期でないとあまり効果がでないのです。ということで、アブラバチたちが卵を産みつける速度よりも、アブラムシが繁殖する速度の方がはやいので、ボ〜ッと見てると、イチゴのうらっかわが、再びアブラムシだらけになってしまいました。しかも、アブラムシたちが出すベタベタのおしっこに、アブラバチたちの羽が引っついて死亡してしまうハチも出はじめました。

ふたたび怒りがふつふつとわき上がりますが、50℃温水をスプレーすると、アブラバチたちが死んでしまいます。しかし、グッドアイデアが!!! 50℃のお湯に浸したティッシュや布巾で、アブラムシを拭きとることにしました。ひとまずこれで一件落着です。


ちなみに、手に負えないほど害虫がでているときは、50℃温水スプレー害虫駆除は日が当たる時間帯に1日に3回まで、やったほうが効果が高いようです。イチゴのアブラムシに気を取られていると、今度はバラがチュウレンバチ牧場と化していました。















早速、50℃温水スプレーしてみると、チュウレンバチの幼虫たちは、「熱い! なにすんのさ!!!」とでも言いたげにクニュッと丸まっては、ポタポタと地面に落下していきます。










ということで50℃温水スプレーは、バラについたチュウレンバチにも効果がありました。

が、地面に落下した幼虫たちを殺すか、別の場所に撤収しておかないと、ヤツらは驚くべき早さでバラによじ登り、ムダに浪費した体力を取りもどすかのような勢いで、葉っぱを食べまくります。







無農薬栽培・・・
やっぱ手がかかりますが、カマキリやアシナガバチなど、かわいい益虫がたくさん来てくれるのも、楽しみのひとつです。

2012年11月12日月曜日

ハイドロで起こる培養液の酸欠の恐怖!

TERRA培土のトマトたちは、咲いた花たちが次々と実っています。花たちは、勝手に咲いては勝手に実ってくれてます。受粉作業は、したことありません。(結実促進のホルモン剤もスプレーしたことありません。)














夏野菜たちは、せっかく待望の花を咲かせても、花を咲かせたり実るためのホルモンが不足していると、花が実らずポロッと落ちてしまったり、次の花がどんどん小さくなってしまい、大きな果実が穫れなくなってしまいます。
大きな花を咲かせたり、実らせたり、果実を大きくオイシくする方法はイロイロなテクがあるかと思いますが、大きなポイントとしては「チッ素過剰にしない」ってことは、大切だと思います。

ハイドロ用のベース肥料には、すべての必須肥料成分が、とっても吸収されやすい水溶性で配合されているので、普通だったら「チッ素だけ過剰になっちゃう」ってことは、あまりないと思われがちですが、実はわりと起こってます。

チッ素過多のせいで、花が実らず落ちてしまう原因には :

■培養液の水温やpH値が最適範囲からズレてる。
■光や炭素が不足して、デンプンが足りなくなってる。

ってこともありますが、

■根っこが酸欠になってる!

ってことも、割と起こってます・・・とくに、根っこがメイッパイ張ってきたときとか、NFTなどの列の最後などなど。





Sodapnoicsのトマトたちの培養液のpH値が、勝手に下がってくるようになりました。培養液のpH値が勝手に下がってくるようになったら、ベース肥料を Aqua VegaからAqua Floresにチェンジするタイミングです。














ということで、

【ハイドロで起こる培養液の酸欠の恐怖!】

についてですが、植物の根っこは、ワタシたちとおなじように「酸素呼吸」をしているので、培養液には、常に酸素がないとNGです。そして、一般的に水耕栽培の培養液には、溶存酸素量が8ppmあればGOODだね! って言われていて、培養液の肥料濃度が濃くなり水温が高くなるほど、メキメキと減ってしまいます。

↑このトマトたちを育ててるハイドロ・システムは、培養液を循環ポンプでくみ上げて再び根元にドリップする循環式システムです。培養液に溶けている酸素の量、つまり「溶存酸素量=Dissolve Oxygen」は、4.2ppmでした。



培養液の溶存酸素量をもうちょっと増やしたいな、と思いました。培養液の酸素量を増やすには、もっと大きな循環ポンプに取りかえるって方法もありますが、もっとカンタンな方法があります。
それは、単にタンク内の培養液の量を減らして、培養液が落ちる高低差を大きくするだけです。
ということで、11リットルのバケツのなかの培養液の量を8Lから5Lに減らしてみると・・・
溶けてる酸素の量は、1ppmくらいアップして5ppmほどになりました。

こんなアナログで地味な工夫が、積み重なって大きな結果につながっていくんだと思います。






(ちなみに、スプリンクラーで培養液をしぶき状にするエアロポニックス・システムでは、溶存酸素量は5.5ppmほどありました。エアロポニックスのほうが酸素量は多いようです。)

植物の根っこに必要な酸素量は、8ppmだとOKで、最低でも4〜5ppmはゼッタイ必要といわれてます。
ところが、培養液に溶けている酸素の量が1.5〜2.0ppm以下になると、まずリン酸とカリウムが吸えなくなり、吸収量がガクンッッッと落ちてしまいます。そしてその状態が長期間つづくようになると、今度はカルシウムとマグネシウムまで吸収できなくなってしまいます。

リン酸・カリウム・カルシウム・マグネシウムが不足すると、もちろんチッ素をアミノ酸やタンパク質へと同化できなくなって、チッ素が過剰になります。そのうえ、大きな花を次々に咲かせたり果実を実らせたりする植物ホルモンは、根っこでつくられてるので、根っこが酸欠になれば、もちろん植物ホルモンも足りなくなって花が落ちちゃったり、徒長しやすくなっちゃいます。




ということで、水の溶存酸素量を増やすには、まずバケツなどに汲んだ水を高いところから何度もバケツにうつしなおす・・・という手があります。

浄水器に通していない水道水をくんでおいて、4日ほどたった水です。水のなかには「花崗岩」や「備長炭」をいれて塩素を飛ばす工夫をしてます。この水の溶存酸素量は8.5ppmほどです。(水道水を汲んでおくと塩素は抜けますが、酸素も抜けてしまいます。)














この水を高いところからバケツにうつして、もどす・・・ということを2回ほどやって、溶存酸素量をふやしてみると9ppmになりました。これで、塩素が抜けて酸素はたっぷり、という理想的な水になりました。














水にベース肥料を溶かすと、溶存酸素量はあっというまに6ppmほどまで下がってしまいますが、培養液にしたあとに、バケツからバケツにうつしたり、噴霧器スプレーで高水圧で培養液タンクに注げば、溶存酸素量は7ppmほどまで上げられます。(ほんとアナログですが。)



ついでに、水道水の塩素=次亜塩素酸についてですが、植物にとって、塩素もいちお肥料なので、植物によっては、塩素不足というのも起きてきます。

ので、あまり神経質になりすぎなくてもいいとは思いますが、塩素を抜きたい場合は、水道水を汲んでおいて、4日目もすれば塩素は抜けてオルトトリジン液を入れても黄色くなりません。







このオルトトリジンを入れた水に、少しでも水道水を入れれば、あっというまに黄色になります。
(塩素が含まれていると、黄色に変色します。)

水道水を汲んでおいた場所が、せまかったり、無風だったりすると、塩素は抜けにくくなりますが、そんな場所でも、水にブクブクエアポンプを入れておくと塩素は抜けます。












あ〜と〜、培養液の酸欠が引き起こす、そら恐ろしい? 事態は、酸欠になると根っこが有機酸発酵しはじめてしまうので、培養液のpH値は、ドド〜ンッッッと酸性に傾きます。開花期の後半に培養液のpH値が4とかに下がってしまう原因には、これもあるので、pH値がどんどん下がってしまう時は培養液の酸素量を増やす努力も大切かなと思います。


また、水耕栽培では培養液にブクブクのエアポンプを入れると、pH値はちょこっと上がります(アルカリに傾きます)。

2012年11月6日火曜日

〜 室内栽培 〜 病害虫にも50℃温水マジック!?

いま、飲食店や奥様方のあいだで、とってもアリガタがられているのが、

「 50℃温水で野菜を洗う! 」

ですよね。
ちょっとシナびちゃった野菜でも、50℃のお湯に、だいたい2分つけておくとシャッキリ・パリパリによみがえるというウラワザ? です。

有名すぎるウラワザですのでバックリ説明すると、植物の気孔は水温50℃のときによく開き、それにつられて、養分と水分を吸収できる「クチクラ層」が、水分をさかんに吸収しはじめるので、しなびた野菜たちがパッツパツのパッリパリによみがえる! というものです・・・
もちろんワタシも日々やってます。おかげさまで「50℃のお湯」というものが、手でさわってだいたいわかるようになりました。



さて、ハナシはかわりまして・・・
去年から引きつづき室内栽培している、セレブなイチゴ「ももいちご」と同じ品種の「あかねっ娘」。

・・・ですが、今年はいまいち「育てるぞ!」てテンションがあがりません。


見た目は元気なんですが・・・













葉っぱをひっくり返してみると、

「ワタアブラムシ」が、ぎっっっしり!!!

このコたちは、ホントにしつこいんですよね〜。

ほっとくと、このコたちのオシッコに含まれる糖分を養分にするススカビ病が発生しやすくなります。









細胞を強化するカルシウムやケイ酸、はたまた「石けん+牛乳」などを葉うらにスプレーすると、多少減ったりもしますが、週末のたった一日だけでも加湿器の水を切らそうもんなら、アブラムシたちはそのスキにドドド〜ッッッと増えやがります。



農薬は使いたくないし「天敵農薬」はまだ届きません。イライラしながら、フト思い出しました。「今年の冬のニュースで、イチゴにお湯かけるといいって、いってたなぁ・・・」
バックリ調べてみると、50℃くらいのお湯を2分間、イチゴの葉っぱに散布すると、主にウドンコ病などのカビ病を激減できるそうです。

←大昔に壊れてしまったpHメーターです。pH値は、計れなくなってしまいましたが、水温はまだ測れるので、今は水温計がわりに使ってます。











ちなみにHANNAをはじめ、ほとんどのデジタルメーターは、熱湯につけるとイッパツで壊れるので、ゼッタイに熱湯には浸さないでください!!! ワタシは以前、熱湯でpH/ECメーターを壊して、泣いたことがあります。



ためしに、この50℃のお湯に、アブラムシだらけのイチゴの葉っぱを2分間ほど浸してみました。


すぐにプカプカとアブラムシたちが浮かんできました。











葉っぱのウラに必死にしがみついてるアブラムシが大半でしたが、手で軽くこすってみると、あっという間に葉っぱから離れていきます。これが通常の水温だと、手でこすったくらいではアブラムシたちは離れてくれません。











50℃のお湯に2分間ほど浸しながら指でアブラムシたちをこすり落としたあと、葉っぱを引き上げてみると・・・

ほぼ、いなくなりました!!!

いつもは水道水をジャージャー流しなからアブラムシたちをこすり落としてましたが、葉っぱが傷ついてしまう位までこすらないと、いなくなってくれなかったのです。









ワタアブラムシたちとの戦いに明け暮れ、ついに気力を失いかけていた日々に光が差し込みました!


ということで、53℃くらいのお湯を、アブラムシたちに噴霧スプレー攻撃してみることにしました。

アブラムシたちは、とくに出てきたばかりの柔らかな新芽がダイスキです。









葉うらにお湯をスプレーしながら、指で軽くこすってみると、いつもはガッシリとしがみついて離れないアブラムシたちが、次々に流れ落ちていきます。


これは快感!!!











アブラムシがビッッッッシリだった葉っぱも、お湯をスプレーししてみると・・・
アブラムシたちがいなくなって、こんなにスッキリ!

昨日から50℃温水スプレーを3度やってみましたが、葉っぱに高温障害は出ていません。
一説には、この温度の水を葉面にかけると、イチゴは抵抗力を自分でアップさせるんだそうです。











もちろんこのお湯スプレーだけで、すべての病害虫がゼロになるわけではありません。


それに、室内栽培の場合は、電気製品に水がかかってしまうと、ショートして火事や故障が起きてしまったりして危険だし、

葉っぱとちがって花は水濡れにとっても弱いので、花にかからないように気をつけないといけないし(イチゴの場合は、実った果実にお湯をスプレーしてウドンコ病を予防しているようです。)、

同じ箇所に2分間以上スプレーするのは、避けた方がいいと思います。

またグロウランプが消えたあと、湿度が高すぎると逆にカビの原因になってしまうので、グロウランプがついている間、きちんと換気したり、スプレーした後の苗にはファンで弱い風を当てて、早めに葉っぱが乾くようにするというケアは、ゼッタイ必要だと思います。




それでも今のところ50℃〜59℃のお湯を葉面にスプレーすると、ウドンコ病などカビ病を中心に、アブラムシやアザミウマ、ハダニの激減にも、一定の消毒と駆除効果があるそうです。(一説には54℃〜59℃のお湯)

薬剤を買いにいく時間がないけど、「 目の前のカビ病やアブラムシにアザミウマにハダニを、いますぐ、たったいま、お金をかけずに、なんとか激減させたい!  だって、ものすごくイライラする!!! 」という場つなぎ的な病害中対策には、とってもベストなのではないでしょうか???



ひとまず、まだまだ実験段階なので、もしも早々とトライされてみたいおヒトは、自己責任でドーゾ!  また、室内の湿度管理を怠ると、またたくまに病害虫は広がります!