2014年6月27日金曜日

ハイドロポニカリーな栽培いろいろについて。

ふと気がつけば、先週の日曜日に夏至が過ぎ、これからどんどん短日になっていきます。


ところで、かれこれ3年以上もまえにアースディに出店なさってた伊豆の無農薬栽培農家さんで見つけた「バターナッツ」をオイシくいただいたあとにのこった種を冷凍庫でずっと保存していたのを、今年の春にフト地面にばらまいておいたところ、毎年勝手にでてくるカボチャたちにまざって、いつの間にか実ってました。バターナッツは固定種のカボチャなので、自家採種ができますが、まさか3年以上も冷凍庫でゾンザイに保存しておいた種子がちゃんと発芽し、果実まで実るなんて、なんとも得した気分です。


























前年に落ちた種から勝手に芽生えて大きく育つカボチャたちは、連日のおかしなゲリラ豪雨で怖いくらいのイキオイで生長しています。





















カスケード・ホップも、雨のおかげで毬花がどんどん玉伸びしてます。あたりまえのように雨がふる梅雨の季節に、リーズナブルな固形肥料などを少しずつ土に施肥すると、雨が勝手に肥料を根っこに運んでくれます。




















今年の秋冬室内栽培のためのイチゴ「桃薫」の苗たち、育成中です。ランナーの子苗は、ココ培地とネットポットという、通気性バツグンな環境で育てているため、培土俵面から水やりするとココ培地があふれて、トレイにこぼれてしまいますので、培養液の水やりはトレイに培養液を適量溜める「底面給水」です。

















ココ培地やポッティング・ミックス培土など有機培地での「底面給水」ついては、「このように底面給水すればダレでも失敗はありません」、というマニュアルは現時点では示すことができないのですが、バックリした感じでは・・・

  1. エアロポットや、メッシュポットなど通気性がよく、培養液がどこからでも培土へ伝わりやすいポットが向いていると思います。通気性の良いポット+培土と、底面給水用トレイのセットでおこなうとGoodです。
  2. 底面給水での栽培に慣れていないガーデナーの場合や、CANNA COCO培地以外の乾燥圧縮タイプのココ培地で底面給水をおこないたい場合は、ポットに苗を植えこんでからすぐ底面給水をスタートさせるのではなく、ポット全体に根っこがむらなく張ってから、底面給水をスタートさせた方が無難です。根っこが十分に張るまでは、手でもって軽さを感じるまで乾いてから、ポット容量の20%〜30%量の培養液を通常通り培地表面から水やりします。


    これには、2つの大きな理由がありまして、大きなポットに植え増ししたばかりのときから底面給水してしまうと、根っこの生長が遅れ、活着が悪くなることが多いから、という理由です・・・というのも、最短の期間でナイスな苗を順調に育てることが、ハイドロポニカリーなココ栽培、ポッテング・ミックス培土栽培において、コストとガーデナーのストレスを軽減するためのプライオリテーな鉄則だからです。

    そして、市販の乾燥圧縮タイプのココ培地は、CANNA COCO培地よりもムダな成分が残ってることが多々多々あるため、栽培スタートから数週間のあいだ、ココ培地を培養液でフラッシングするように通常の水やりをした方が生長阻害の心配がないからです。
  3. 大きく生長するにつれ、いよいよ根っこがポット全体にめいっぱい張って、乾く速度がドンドン早くなってきたら、底面給水をスタートさせます。
    苗をポットごと持ってみて、ズシッとした手応えを感じないほど軽くなったら、ポット容量の20%〜30%量の培養液をトレイに溜めて、そのままにしておきます。

    だいたい30分後、培養液がトレイに残っていなければそれでOKですが、培地の表面がまだ乾いていて、持ってみるとまだ軽いな、と感じる場合は、トレイに培養液をもうすこし継ぎ足しておきます。このとき、培養液がまだトレイに残ってる場合は、培養液を排水させます(CANNA COCO培地、CANNA TERRA培土についてのみです)。


    また、ピートをつかったCANNA TERRAポット培土は、培養液を含み高温多湿な環境になると、繊維の分解が急速に進みます。真夏を何度もまたぐ長期の栽培では、ちょっと注意が必要です。CANNA TERRA培土で1年以上栽培していて、底面給水をしても、培土表面まで培養液があがってこなくなったら、ピートが細かく固くなっているかもしれません。乾燥した表面を指で押してみて、「パカッ」と割れる感じになっていたら、根づまりしやすい状態までピートの分解がすすんでいる目安です。

    多年生の宿根草は、季節をみてなるべく早めに植えかえ、一年草は培土の表面が乾いて固くなる前に底面給水をおこない、同時に培土表面からも水やりをして、なるべく早く栽培を終わらせます。







分解がすすんだピートモスのまま、ずっと栽培をつづけていると、まるで燃料に利用される「プラックピート」のように、コッチコチでカッチカチに変身し、根っこを窒息させてしまいます。ピートモスが主体のポッティング培土がぴったりなブルーベリーでさえ、今年はココ培地をメインに配合しました。


























ココ栽培や、ポッティング培土栽培は、厳格なルールがある水耕栽培とはちょっとちがい、植えかえや、水やりのタイミングには多少コツがいりますが、それでも、オーガニックし好であったり、オイシさや食の安全性を追求するホビーガーデナーにとって、最強の味方になるかと思います。



一方の「水耕栽培」は、「マニュアルさえ守れば、だれだってほぼ90%成功するよ」という、スキルがあまりいらないマニュアル最重視の栽培です。

反面、マニュアル重視の水耕栽培で、はっきりした知識を持たないまま「これヨサゲだな」、「ここまで気合いを入れれば、ゼッタイウマくいくはず!」という根拠のない技を駆使したばっかりに深い迷路へと旅立ったガーデナーも少なからずいらっしゃいます。

なので・・・

  1. 日本の水道水は、じゅうぶんすぎるくらいキレイでベストなので、欲張らずに水道水を使ってほしいところです。よく分からないうちは、アルカリ性や酸性にイオン分解できるヘルシーな浄水器や、ナノイオン水などプロ向けの高性能の生成水器は、避けた方がよいっちゅうことです。
    「なんだかpHメーターがしょっちゅうおかしいのよ〜、こまるわぁ。」と相談されたアルカリイオン水ユーザーの方もいらっしゃいました・・・
  2. 水耕栽培専用の肥料はもちろん、専用のpHダウン剤、pHアップ剤を使いましょう。水耕栽培に適した成分は、リン酸、硝酸、水酸化カリウムなどで、硫酸は作物によっていいかもしれませんが、一般的ではありません。水酸化ナトリウムや塩酸は、pH値の上げ下げはできますが、一般的な植物栽培には、向いてません。
  3. 水耕栽培用の各培地には、それぞれ大きなメリット、デメリットの違いがあるので、それに適した使用方法、システムや栽培方法は、ほぼ決まってます。それを無視することは、みずから迷路への第一歩をふみこんだも同然・・・

    例えば、ロックウールは、使用前に「プレ・ソーキング」したほうがよくて、水耕栽培システムも、できれば、かけ流し(RunOff、またはRun-to-Waste)のみが、ベリーベストです。

    クレイペブルス(ハイドロボール)は、栽培する根の長さや量に粒の大きさをあわせ、おなじ培養液をくり返し与える再循環システム、フラッド&トレイン、NFTシステムにベリーベストですが、ハイドロカルチャーなどの観葉栽培ではなく、収穫栽培であれば、クレイペブルスを培養液に浸しっぱなしにするのは、メリットをつぶすことにもなります。DWCシステムでは、一般的に根っこを支えるためだけに使用してますが、クレイ・ペブルスごと培養液にドボンと浸しておくやり方は、絶対におススメしたくはない気分です。



2014年6月19日木曜日

初夏からのインドア&アウトドアガーデン

いかにも紫外線タップリの日射しがふりそそぐ初夏の6月ですが、晴れた日はヤッパリお出かけしたくなります。


真夏とちがい心地よく涼しい風が吹くので、ついつい歩きすぎてしまいます。
横須賀のソレイユの丘のハーブ園は、色とりどりの花が、真っ青な空によく映えるので、レンズをのぞいていると、まるで天国にいるようです。




















カメラで撮ってると「これは、なんていう花なのかしら?」と、見知らぬ方からよく訊ねられる「アーティチョーク」、あまりに存在感がありすぎるせいです。
家のまわりに勝手に生えてきた「アザミ」の駆除に苦労されたおヒトならば、一目見て「コイツは、ものすごくアザミっぽいぞ!」と分かりますとおり、和名は「朝鮮アザミ」というそうです。いつぞや食べたことがある気がしますが、お恥ずかしながら味はすっかりさっぱり忘れました。

























アーティチョークの葉っぱのなかから、こちらをにらむ「キリギリス」。エサになる虫を待ち構えているところのようです。「捕まえようとしたら、噛むからな!!!」と目が言っている・・・と思います。





















タイムの花に着地したハナアブ。

























「いっただっきま〜す!」タイムの花の蜜は、どんな味がするのでしょうか?

























雲ひとつない青空を高くまう「トンビ」、目が合うと、ちょっとビビります。





















ところで、ここはクーラーがないので、夏のあいだグロウルームをつかった室内栽培は、お休みすることにしています。「暑すぎて植物がかわいそうだし、思うように育たないから時間と肥料がムダになるだけ」、という理由です。

とはいえ、むさ苦しい暑さのこもる真夏のお部屋のなかでこそ、植物たちを愛でたいし、さらに節電が気になる夏は、窓という窓を全開にして風通しを確保したいところです。

すっきり開けた小窓に置くのに、ベンリな植物のひとつがエアープランツですよね。「造花はナチュラル感が足りないしホコリもたまる、かといって土はもっと汚れるからソウジしないといけなくなってヤダ。」というマダムも多いのですが、「着床植物」のエアープランツならば、土に植える必要もなく、水やりも忙しくないのでGoodです・・・ということで、夏の窓辺をエアープランツたちで彩ることといたしました。



















ちっちゃなちっちゃなエアープランツたちは、お手ごろなお値段でGETできるのが魅力ですが、大きくリッパに育てるためには、それなりの時間とスキルが必要です。
夏の涼しくなる夜間は、週に一度ほど水や薄めの培養液にタップリ浸し、その後スッキリと水切りをして蒸れないように風通しのよいところで管理することが、無事に大きく育てていくポイントのようです。



ところで、インド製のチャイグラスは、見た目がかわいいし割れにくく長持ちして便利なのですが、容量が少なすぎて、結局マグカップで飲むことになってしまい、しまいっぱなしになってました。

「このチャイグラスのセットに、まだちっちゃいエアープランツたちを入れて、小窓に置けば、ちょうどいいかな? 」、と思いチャイグラスに入れてると、スッポリとハマってしまいます。 蒸れて枯れてしまうのが心配になったので、湿らせたココ培地をチャイグラスに詰めてから、エアープランツをあしらってみました・・・ちなみに、ココ培地は決して水を溜めっぱなしにしてはいけない培地なので、チャイグラスに水は溜めません。ココ培地が乾いたら、グラスに溜まらない程度の量の培養液を含ませていこうと思います。
























ココ培地は、ロックウールとよく似た性質で保水性と含気性が高いのですが、保肥性があるので、水や培養液をためたり、再循環させる栽培には、まあっっったく向いていません。もしココ栽培で培養液を循環させてしまうと、ある程度は無事に育っても、肥料成分のバランスが崩れるので次第に生長障害がでます。

























ところでココ培地は、大きく分けて乾燥圧縮タイプと、しっとり復元されたタイプの2種類が流通されています。


ココ培地の原産国は、主にインドやスリランカで、ヤシガラを細かくする粉砕加工と、塩分を抜くための真水でのフラッシング、乾燥圧縮までは、ほぼ原産国のみでおこなわれます。
ところが、この乾燥を土壌のうえでおこなってしまうとヤシガラに砂が付着してしまい、せっかく洗ったのに、砂のせいで不純物がまざったココ培地になってしまうことが多いようです。(とはいえ、土の上で乾かしたヤシガラは、最高品質のココ培地になりにくいというだけで、まったくぜんぜん使えない、という最悪のレベルではありません。日本の水道水や、日本のきれいな自然水でよく洗い流し、浸した水がEC値が0.1〜0.3mS/cmまで下がれば大丈夫です。こういうココ培地だけでココ栽培をする場合は、カルシウムとマグネシウムが足りなくなりやすいので、なるべくココ専用肥料を使うほうが無難です。)


「高品質のココ培地」とされるものは、原産国での乾燥をコンクリートの施設でおこなうので、まずその心配がありません。


そして、その後の保肥性をもたせるための「バッファリング処理」には、いくつかの肥料成分溶剤が使われます。

ところがコスト的な理由から、完璧なバッファリング処理までは原産国ではできないことが、ほとんどです。つまり、塩分やアク抜きされたココ培地は、原産国でも生産できますが、きちんとしたバッファリングは、ワタシが現時点で知るかぎりでは、オランダなどのヨーロッパでしか、ほぼ加工できない・・・つまりオランダほどの農業大国でないと、培地加工専用の工場の経営など成立しない!?ってことみたいです。

オランダは植物工場の技術の高さでも有名ですが、切り花や鉢植えなどの観葉花き類の生産もアメリカについて世界第2位で、オランダ産花き類のEU圏内でのシェアは、ほぼ1位という輸出大国でもあります。

ココ培地は、土ではないうえ清潔にもしやすいため、植物検疫もクリアしやすいことから、ココ培地をつかった鉢植えは輸出にものすごく有利っていう背景から、オランダではココ培地の加工技技術と設備がとても整っている、という事情が大きいようです。




2014年6月16日月曜日

本日は、DWCシステムについてです。

6月というのは、こんなに暑かったでしょうか? それにしても、夏至が近づくといつまでたっても明るいので、「まだまだ明るいけど、なんだかビールが飲みたい気がするな〜」と思って時計を見ると、「あらま! もう6時過ぎてる!!!」ということがよくあります。



毎年勝手に芽生えるようになった「カボチャ」たち。毎日のように雨が降った先週、はじめて雄花が咲きました。花の中をのぞいてみると、ミツバチが花粉まみれになっています。この時にもし雌花が咲いてれば、このミツバチがきっと受粉してくれてたんですねぇ。




















人によってスキかキライか、ものすごく好みが分かれる花「トケイソウ」。今年はたくさん咲きました。
毎朝「きもちわるい〜」を連発しながら、この花の前を通り過ぎるオトーさんもいらっしゃれば、住人であるワタシが近くで庭作業をしていても、まったく気がつかれないほど「じ〜〜〜〜っっっ」と見入ってしまってるオトーさんもいます。

























耐寒性もあり、とてつもなく繁殖力が強いので、すでに5月からグリーンカーテンとして機能してくれます・・・が、梅雨の季節は地獄です。ちょっと目を離したスキに、周囲の木に手当り次第に登りはじめて、覆い尽くしてしまいます。もう剪定バサミを用意しているようでは時間が足りなさすぎるので、最近では目にとまったツルを手でブチブチとちぎってます。










































自家採種のためでしょうか?  プリプリの種さやがついた「大根」、もちろん三浦半島の畑の様子です。それにしても、海はやっぱり風のニオイがちがいます!

























さて、今回は定番の水耕栽培システム「DWCシステム」についてです。

DWC=Deep Water Culture system、またはBubbler system などで知られていて、構造が非常にシンプルで、手軽に安くつくることもできる水耕栽培システムです。



















主なパーツは、フタのついたバケツ、大きめのネットポット、クレイ・ペブルス培地、吐出パワーの大きめなエアーポンプ、エアーチューブ、そしてエアーストーン。

バケツの底にエアーストーンを、バケツの外側にはエアーポンプを設置し、このふたつのパーツをエアーチューブでつなぎます。バケツの2/3〜3/4ほどまでを培養液で満たし、バケツのフタに空けた穴に、クレイ・ペブルスをヒタヒタに入れたネットポットをはめ込みます。

栽培スタート時に植物の根がまだネットポットの底から伸びだしていないとき、培養液の水位をどのくらいにすればよいか? 悩むところですが、正解はエアーポンプで培養液にエアーを送ったとき、その水圧で培養液の表面化からシブキが飛ぶので、そのシブキがネットポットにシャバシャバとかかるくらいの水位でOKです。

その後、ネットポット全体から根っこがペロペロと伸びだしてきたら、培養液の水位を下げて、根っこが空気に触れる空間をつくります・・・つまり根っこが培養液にどっぷりと浸らないようにします。が、生長いていけば、根っこはもちろん培養液中にどっぷりと伸びだすので、DWCシステムではエアーポンプを24時間動かしつづける必要があります。
「24時間つねに」・・・英語で言うところの 「24/7」です。(24/7=24 hours/ 7days a week)

ち・な・み・に、このブログではチョコチョコと英語の言い回しをワザと入れるようにしておりまして、それはつまり、「ハイドロポニックスについてのノウハウは、日本語ではまだ入手可能な情報が乏しいときがあるのが事実で、できればガーデナー自身で英語圏から正しい情報を得ようとしてほしいところ。そんな時、ひとつでも理解できるワードが多くあれば、取っ付きやすくなるにちがいない・・・だといいな!」という、ちょっとした願いからです。

ワタシ自身、当初は「Tap Water」ですら、分からなかったため、英語圏のガーデニング専門用語には、白髪がドバッとふえるほど苦労させられた経験があって、それはもちろん、今もまだ進行形です。念のため言っておくと、Tap Water は、水を叩くのではなく「水道水」です。



では、最後にDWCシステムのメリットとデメリットを・・・

  1. 構造がシンプルでパーツが入手しやすいので、誰でも安くカンタンにつくれますが、pH値とEC値をほぼ毎日計測する必要があるシステムなので、フタを持ち上げた時に根っこを切ったりしないように気を使います。

    栽培をスタートしてみてわかる、いくつかのデメリットを最小限にするためには、「既製品」をGETするのが無難です。
  2. ひとつのシステムにつき、一株を育てるのが無難です。一株以上を育ててしまうと、エアーストーンが根っこに覆われ、ルートボールが酸欠になりやすくなります。また、DWCシステムは、リザーバータンクを設けることができないので、培養液は5L〜10L程度しか使用できません。

    培養液量が少なく、根っこが常に培養液にふれているので、pH値とEC値ともに変化しやすくなり、培養液のメンテナンスは忙しくなりがちです。また、トマトなど数メートル以上に育つ野菜は、マックスで一日5Lもの培養液を吸うので、水切れに対して、毎日注意しなくてはなりません。つまりDWCシステムもまた、いろんな種類やたくさんの本数の栽培をすると、大きく後悔する水耕栽培システムです。
  3. 1週間〜2週間に一度は、培養液をゼンブ取りかえなくてはならないのは、DWCシステムでも同じです。
  4. キュウリ、スイカをはじめとしたウリ科、イチゴをはじめとしたバラ科、ホップなど宿根タイプのツル性植物は、根の酸素要求量が多く、特に開花後に酸素が足りなくなって根っこが茶色くなってしまうので、DWCシステムは、すべての植物が思うように育つ水耕栽培システムではありません。

    DWCシステムでは、根が低酸素状態に強い丈夫な性質の野菜や植物だけが、よく育つことを知っておくと、後々便利かなと思います。



と、いうことで、どの水耕栽培システムにも共通して言えるのは、「長くても一年以内に栽培を終えられる植物の栽培が無難ですよ」ということかと思います。




2014年6月10日火曜日

梅雨空のしたのホップたち。

ムシムシムシムシ・・・蒸し暑いです。
朝のコーヒーを優雅に楽しんでいるワタシの横で、ダンゴムシがチョロチョロと壁を歩き回れるのも、この高温多湿な陽気のせいです。

この時期の植物たちの生長の早さときたら、一晩で景色を変えてしまうようなスゴさがあります。イチゴたちからはタコの足のようにランナーが一気に何本も伸びはじめ、ツルというツルは、背を伸ばして手当たりしだいにまわりのものに絡みつき、すこしでも繁殖に有利なポジションを占領しようと必死です・・・雨のすき間をぬうようにして、草刈りに追われる日々が待ってます。



去年の冬、うっかり種を捨てたらワサワサと生長した「コリアンダー」。ゲリラな豪雨のせいで、きれいに倒れました。
























風が吹くたびにコリアンダーの香りがプ〜ンとただようので、高温多湿な空気とあいまって、目を閉じれば、もうここはバンコク・・・



2株のカスケードホップたち、とても豪快に生長する品種です。しかもアロマホップなので、不動の人気があるのもうなづけます。


























センテニアル・ホップ。植えた場所が悪くて貧弱に見えてしまいますが、毎年イチバン最初に毛花が見え始める早生タイプだし、根を深く伸ばせる場所ならば、↑のカスケードなみに大きく生長できます。



























これはチヌーク・ホップです。毎年スタートが遅い品種ですが、夏本番になってからの生長のすごさは目を見張るものがあります。



























この3つの品種の中では、毎年イチバンおそく毛花が出始めるのに、イチバンでかい花になるのがチヌークです。植物の生長イチジルしい梅雨の季節は、雨が固形肥料の養分を根っこに届けてくれるので、追肥にはもってこいの季節です。また、手元にある時には「モミガラ」をホップのマルチングにつかっていますが、モミガラにはケイ酸が豊富にふくまれているので、ホップたちが少しずつケイ酸を吸えていれば、耐病性が高くなる気がします。



















去年植えて放置しておいたら、今年も元気にツルを伸ばしはじめた「花豆」たちが、チヌークのとなりにいます。花豆は、白い花が咲く苗と赤い花が咲く苗をいっしょに植えないと、結実しにくいと言われています。




























ラッキーなことに赤と白、両方の花が咲きました・・・が咲くばかりで、昨年に引きつづき実る気配はありません。「ホップのジャマにしかならん! もう切るからね!!!」と言われつづけているとこをなんとか押しとどめていますが、今日見たらなんだか丈が短くなってます・・・さ・て・は・・・ヤッコさん、やりやがったな!!!


























アブラムシだらけになったイチゴの老葉を窓から投げ捨てたら、あっというまにアリンコたちが集まってきました。巣に持ち運んで飼うのでしょうか・・・

























ホワイトセージに住み着いたカマキリ。アップにすると一人前のフォルムをしてますが・・・

























まだこんなにチビッコです。カメラを向けると「ナニ? ナニ? ナンの用? なんかしたら逃げるからね。」と言いたげにこちらをじっと見据えます。

























と、いうことで、今年の夏は「ちびっこカマキリの成長日記ブログ」といったことになりそうな予感です。

2014年6月4日水曜日

暑い夏こそ、オーガニックパワー?

関東の今年の梅雨入りは、いつになるんでしょうか? 去年のいまごろは、もうとっくに梅雨でしたが、そういえば雨量が少なく涼しい日が続き「ブドウ」の出来が、とってもよかったんですねぇ。



 今朝は、フキの葉につつまれた「マルベリー」をいただきました。とってもきれいです。パンケーキに生クリームといっしょにのせて食べたらウマそうです。もちろんやってみます。ところで、マルベリー・・・ニッポンゴでは「桑の実」です。

























桑の葉っぱは、カイコのエサなので、絹の産地にお住まいの方はひとめでお分かりになるんだろうと思いますが、ワタシは果実が実っているところを見て、初めて「おお、この雑草は桑であったか!」と理解できる始末です。






昨年の11月に種まきからスタートさせたホワイトセージの実生苗たちは、すっかりそれらしいカタチに育ちました。最近の暑さで、水やりの回数が増えました。




























飛び散る水やりのシブキから、なにかが必死に逃げようとしてました。孵化したばかりのカマキリの子どもです。シャッターによじ登ろうとして、つるつると滑り落ちていました。まだまだ捕食者という風格はゼロで、バッタにさえ捕食されてもおかしくない頼りなさです。



























「そうだ、アルガンを育てよう!」という思いつきで育てはじめた「アルガンツリー」。あまりにも生長がおそいので、ひとまわり大きなポットに植えかえようと思います。
日本では、栽培についての情報があまりない植物なので、植えかえた後2〜3日は、無難に日陰で涼しく管理しておこうと思います。長期栽培になるので、長期間根づまりを防げる長繊維タイプのココ培地を70% + ポッティング・ミックス培土を30%の配合にしました。この配合にはたいして肥料は含まれないので、水やりは、ほぼ毎回薄めの培養液にしています。




























ちょっとシクジリ気味の今年のブルーベリー、剪定時期を間違えて、花が少なくなってしまいました・・・が、災い転じてなんとやら、花数が少なかった分、果実の肥大がものすごいことになってます。果実がついてからの肥料は「Bio Flores」にしています。





















気温が上がる夏は、光合成でこさえた糖類が果実へ溜められる前に、酸素呼吸に浪費されやすくなります。なので、糖分とミネラルがたっぷりと入っている有機肥料は、植物の夏バテを解消して「勝手においしく育つ感」をアップさせてくれます。

























「Bio Canna」のような、養液土耕用のオーガニック液体肥料は、フラッド&ドレイン・システムをはじめとしたあらゆる水耕栽培システムでは、絶対に使えません。
また、ロックウールやクレイ・ペブルスなど水耕栽培用培地にも使えません。そして、ココ培地もまた、ココ専用肥料がベリーベストであって、間違いないのです。


テラ・プロフェッショナル培土がベリーベストですが、最近増えてきたココ培地やピートモスが配合された園芸培養土にもナイスです。

赤玉などを使った一般的な園芸培養土や土壌での露地栽培では、ココ培地を50%以上ミックスしてあげると、よくなります。元肥が多く入った園芸培養土の場合は、水やり3回に1回ほどオーガニック液体肥料の培養液を与えると無難ですが、その回数や肥料濃度は植物の様子を見ながら決めるということになるので、ビギナー向きではありません。



ところでその昔は、「植物の根が肥料として吸えるのは、無機成分だけだ」というのが定説でしたが、世界中の農業生産者やガーデナーの経験から「そうでもなくね?」と勘づきはじめ、現在では、「植物の根は、糖分、有機酸、アミノ酸をなんの疑いもなく吸う、むしろ大好物だ。」という常識が誕生するにいたりました。

「いやいや、作物の種類によっては、アミノ酸よりでかいタンパク質なみの高分子でさえ吸えるし、むしろ収穫が増えた!」という実験結果も見られます。このあたりは、さらに研究が必要な段階なんですが、とくに「糖分」の効果の大きさは、見過ごすにはあまりに惜しいものがあります。
話せば長いことになりますので、バックリとふれますと・・・


  1. 有機培地内の有用微生物を増やす。生産現場では、植え付け前の土壌殺菌にも活用され、農薬がほぼいらないコンディションまで持っていける。
  2. 養液土耕用をはじめとした多くの有機肥料の原料となる「糖分」は、食品製造加工で大量に出る食品産業廃棄物なので、農業や酪農飼料に活用すれば、ムダにならずエコロジカル!
  3. 糖分が足りてればチッ素過多にならないから、徒長しにくく病気にもつよくなる。花付きがよくなり、果実もおいしく肥大する。有用微生物がふえるので、露地栽培だと使いつづけるほどよい土になる(とはいえ、使いすぎはNGです)。

などなど・・・です。


ところで、話はBioCannaにもどりますが、この糖分ベースの養液土耕用オーガニック液体肥料は、ものすごく配合比率がしっかりしてるので、使えば使うほど「どれだけ活力剤に気を使っても、やっぱベース肥料がしっかりしてることにはゼッタイかなわないんだな!」と思いっきり納得できる・・・ことが多いです。


このような有機肥料での栽培の水やりは、ハンドウォータリングはもちろん、ドリップイリゲーション・システムをつかうと、手軽になります。

ドリップのタイミングですが、実は「これで絶対に失敗しない!」というマニュアルは、ありません。あるガーデナーではうまくいっても、大失敗だったガーデナーもいる、というケースがほとんどだからです。

ハンドウォータリングで何度かオーガニック栽培を経験して、ベストな水やりタイミングを理解してから、ドリップ・イリゲーションシステムにトライする、というのが無難だと思います。


























培養液をドリップし終えた後、そのまま放置しておくと目詰まりしたり培養液が腐敗したりすので、できれば各ポットからドリップパーツをいちいち外して、内部に水を通して洗い流すくメンテナンスをしたほうがいいです。