2014年6月27日金曜日

ハイドロポニカリーな栽培いろいろについて。

ふと気がつけば、先週の日曜日に夏至が過ぎ、これからどんどん短日になっていきます。


ところで、かれこれ3年以上もまえにアースディに出店なさってた伊豆の無農薬栽培農家さんで見つけた「バターナッツ」をオイシくいただいたあとにのこった種を冷凍庫でずっと保存していたのを、今年の春にフト地面にばらまいておいたところ、毎年勝手にでてくるカボチャたちにまざって、いつの間にか実ってました。バターナッツは固定種のカボチャなので、自家採種ができますが、まさか3年以上も冷凍庫でゾンザイに保存しておいた種子がちゃんと発芽し、果実まで実るなんて、なんとも得した気分です。


























前年に落ちた種から勝手に芽生えて大きく育つカボチャたちは、連日のおかしなゲリラ豪雨で怖いくらいのイキオイで生長しています。





















カスケード・ホップも、雨のおかげで毬花がどんどん玉伸びしてます。あたりまえのように雨がふる梅雨の季節に、リーズナブルな固形肥料などを少しずつ土に施肥すると、雨が勝手に肥料を根っこに運んでくれます。




















今年の秋冬室内栽培のためのイチゴ「桃薫」の苗たち、育成中です。ランナーの子苗は、ココ培地とネットポットという、通気性バツグンな環境で育てているため、培土俵面から水やりするとココ培地があふれて、トレイにこぼれてしまいますので、培養液の水やりはトレイに培養液を適量溜める「底面給水」です。

















ココ培地やポッティング・ミックス培土など有機培地での「底面給水」ついては、「このように底面給水すればダレでも失敗はありません」、というマニュアルは現時点では示すことができないのですが、バックリした感じでは・・・

  1. エアロポットや、メッシュポットなど通気性がよく、培養液がどこからでも培土へ伝わりやすいポットが向いていると思います。通気性の良いポット+培土と、底面給水用トレイのセットでおこなうとGoodです。
  2. 底面給水での栽培に慣れていないガーデナーの場合や、CANNA COCO培地以外の乾燥圧縮タイプのココ培地で底面給水をおこないたい場合は、ポットに苗を植えこんでからすぐ底面給水をスタートさせるのではなく、ポット全体に根っこがむらなく張ってから、底面給水をスタートさせた方が無難です。根っこが十分に張るまでは、手でもって軽さを感じるまで乾いてから、ポット容量の20%〜30%量の培養液を通常通り培地表面から水やりします。


    これには、2つの大きな理由がありまして、大きなポットに植え増ししたばかりのときから底面給水してしまうと、根っこの生長が遅れ、活着が悪くなることが多いから、という理由です・・・というのも、最短の期間でナイスな苗を順調に育てることが、ハイドロポニカリーなココ栽培、ポッテング・ミックス培土栽培において、コストとガーデナーのストレスを軽減するためのプライオリテーな鉄則だからです。

    そして、市販の乾燥圧縮タイプのココ培地は、CANNA COCO培地よりもムダな成分が残ってることが多々多々あるため、栽培スタートから数週間のあいだ、ココ培地を培養液でフラッシングするように通常の水やりをした方が生長阻害の心配がないからです。
  3. 大きく生長するにつれ、いよいよ根っこがポット全体にめいっぱい張って、乾く速度がドンドン早くなってきたら、底面給水をスタートさせます。
    苗をポットごと持ってみて、ズシッとした手応えを感じないほど軽くなったら、ポット容量の20%〜30%量の培養液をトレイに溜めて、そのままにしておきます。

    だいたい30分後、培養液がトレイに残っていなければそれでOKですが、培地の表面がまだ乾いていて、持ってみるとまだ軽いな、と感じる場合は、トレイに培養液をもうすこし継ぎ足しておきます。このとき、培養液がまだトレイに残ってる場合は、培養液を排水させます(CANNA COCO培地、CANNA TERRA培土についてのみです)。


    また、ピートをつかったCANNA TERRAポット培土は、培養液を含み高温多湿な環境になると、繊維の分解が急速に進みます。真夏を何度もまたぐ長期の栽培では、ちょっと注意が必要です。CANNA TERRA培土で1年以上栽培していて、底面給水をしても、培土表面まで培養液があがってこなくなったら、ピートが細かく固くなっているかもしれません。乾燥した表面を指で押してみて、「パカッ」と割れる感じになっていたら、根づまりしやすい状態までピートの分解がすすんでいる目安です。

    多年生の宿根草は、季節をみてなるべく早めに植えかえ、一年草は培土の表面が乾いて固くなる前に底面給水をおこない、同時に培土表面からも水やりをして、なるべく早く栽培を終わらせます。







分解がすすんだピートモスのまま、ずっと栽培をつづけていると、まるで燃料に利用される「プラックピート」のように、コッチコチでカッチカチに変身し、根っこを窒息させてしまいます。ピートモスが主体のポッティング培土がぴったりなブルーベリーでさえ、今年はココ培地をメインに配合しました。


























ココ栽培や、ポッティング培土栽培は、厳格なルールがある水耕栽培とはちょっとちがい、植えかえや、水やりのタイミングには多少コツがいりますが、それでも、オーガニックし好であったり、オイシさや食の安全性を追求するホビーガーデナーにとって、最強の味方になるかと思います。



一方の「水耕栽培」は、「マニュアルさえ守れば、だれだってほぼ90%成功するよ」という、スキルがあまりいらないマニュアル最重視の栽培です。

反面、マニュアル重視の水耕栽培で、はっきりした知識を持たないまま「これヨサゲだな」、「ここまで気合いを入れれば、ゼッタイウマくいくはず!」という根拠のない技を駆使したばっかりに深い迷路へと旅立ったガーデナーも少なからずいらっしゃいます。

なので・・・

  1. 日本の水道水は、じゅうぶんすぎるくらいキレイでベストなので、欲張らずに水道水を使ってほしいところです。よく分からないうちは、アルカリ性や酸性にイオン分解できるヘルシーな浄水器や、ナノイオン水などプロ向けの高性能の生成水器は、避けた方がよいっちゅうことです。
    「なんだかpHメーターがしょっちゅうおかしいのよ〜、こまるわぁ。」と相談されたアルカリイオン水ユーザーの方もいらっしゃいました・・・
  2. 水耕栽培専用の肥料はもちろん、専用のpHダウン剤、pHアップ剤を使いましょう。水耕栽培に適した成分は、リン酸、硝酸、水酸化カリウムなどで、硫酸は作物によっていいかもしれませんが、一般的ではありません。水酸化ナトリウムや塩酸は、pH値の上げ下げはできますが、一般的な植物栽培には、向いてません。
  3. 水耕栽培用の各培地には、それぞれ大きなメリット、デメリットの違いがあるので、それに適した使用方法、システムや栽培方法は、ほぼ決まってます。それを無視することは、みずから迷路への第一歩をふみこんだも同然・・・

    例えば、ロックウールは、使用前に「プレ・ソーキング」したほうがよくて、水耕栽培システムも、できれば、かけ流し(RunOff、またはRun-to-Waste)のみが、ベリーベストです。

    クレイペブルス(ハイドロボール)は、栽培する根の長さや量に粒の大きさをあわせ、おなじ培養液をくり返し与える再循環システム、フラッド&トレイン、NFTシステムにベリーベストですが、ハイドロカルチャーなどの観葉栽培ではなく、収穫栽培であれば、クレイペブルスを培養液に浸しっぱなしにするのは、メリットをつぶすことにもなります。DWCシステムでは、一般的に根っこを支えるためだけに使用してますが、クレイ・ペブルスごと培養液にドボンと浸しておくやり方は、絶対におススメしたくはない気分です。