2018年2月23日金曜日

CANNA COCOについてのQ & A






先日ご紹介したCANNA UKによる解説動画から、いろんなハテナに対して「な〜る〜ほ〜ど〜!!!」と納得できたことが多いと思います。ということで、今回は、CANNA COCOについて、多くよせられるご質問をピックアップしてみました〜!!! 


Q 1 : 「 他メーカーのココ培地も、CANNA COCOと同じように使えるの? 

A 2 : いいえ、同じように培養液を与えていると、おそらく生長トラブルが出ます。
 
欧米では、CANNA COCO培地は突出して高いクオリティーだから、安心して使える、という認識が定着しています。そして、CANNA COCO培地と同じグレードのココ培地も、もちろん販売しています、海外では!!! しかし、他メーカーのココ培地の場合、自社の加工施設を持たないことがほとんどなので、製造ロットのたびに仕入先が変わり、一定の品質を保てないことが問題となります。







生長トラブルを起こす恐れがあるココ培地の見分け方 : 
そのようなココ培地の説明には、生長期の段階から「ココ栽培は、必ず肥料を薄くするか、週に一度培地をフラッシングをしてください。」というようなアドバイスが付属しているはずです。

なぜなら、使いはじめがもっとも生長トラブルを起こしやすいコンディションになっているからです。培養液をなんども与え、植物が不要な成分を吸収していくにしたがい、成分が調整されていく、という皮肉なプロセスです。


また、ハイドロポニック専用ではなく、一般園芸用途で販売されているココ培地については、土に混ぜて使う土壌改良剤として考えてください。
例えば、長期間堆積させて色が黒っぽくなったココ培地は、加工段階で強い殺菌処理が必須であるうえに、繊維が細かく分解されすぎてしまい、単独で使用すると根詰まりを起こします。

生長阻害の原因は、フラッシングとバッファリング不足 :

バッファリング(成分調整)はもとより、フラッシング(洗浄)すらも不十分なココ培地を水道水に浸すと、水のEC値が1mS/㎝(=500ppm)以上にもなることがあります。
例えば、乾燥圧縮されたココブロックを浸した水道水のECが、0.6mS/㎝(=300ppm)以上にもなるココ培地だとしたら、苗はまともに育ちません。 

CANNA COCO培地とおなじように、バッグ入りのやわらかなココ培地でも、水道水に浸してみたときのEC値が高すぎないか、バッグの底などに砂がたまっていないか、を注意してください。土壌の上に積み上げられて堆肥化されたココ培地には、砂がついてしまいます。そしてこの砂には、海水由来の塩分をはじめ不要な成分が多く含まれてしまうので、栽培中に根を苦しめ、苗の生長を止めます。


クオリティーの低いココ培地に残っているもの :
このようななココ培地から、水に放出されて植物の根を苦しめる成分は :

主に塩化ナトリウム(塩)、そして過剰なカリウム、イオウ、鉄

など、すべて海水由来のミネラルですが、動画で解説があった通り、植物がこれらの成分を多く吸収しすぎると、幼苗の根がのびない、生長初期から葉が焼ける、そして生長そのものを止めてしまいます。水道水に浸すだけで、過剰な成分が溶け出してしまうようなココ培地が培養液に触れれば、さらに手に負えない状態になってしまいます。


しかし、そのようなココ培地でも水道水でなんども洗い流す「フラッシング」をすれば、もちろん過剰なミネラルや砂などの余分な成分をあらかた減らすことができます。

でもそれは「バッファリング」ではなく、あくまでも「フラッシング」にすぎません。

バッファリング」とは、すでにじゅうぶんにフラッシングされたココ繊維に対してほどこされる重要なプロセスです。ココ繊維に肥料ミネラル(二価の陽イオン)を吸着させて「保肥性や緩衝力」を回復させ、保肥性が高いだけでなく、生長阻害を起こさないココ培地にしあげることです。 つまり、水できれいに「フラッシング」しただけでは、保肥性の低いスカスカのココ培地のままなのです。



















Q 2 : CANNA COCOは、オーガニック栽培なの? オーガニック肥料は使えるの?

A 2 :  いいえ、COCO培地は植物繊維でできた有機培地ですが、掛け流し式ハイドロポニック栽培のために開発された培地です

有機肥料を使うと、過不足になる肥料成分があります。COCO培地に最適な肥料配合で即効性のある、CANNA COCO A/B肥料(ココ培地専用の化学肥料)で育てないと、生長トラブルのもとになります。



ココ培地開発の時代的な背景 :
1990年初期から、オランダの企業によって、ヤシガラを培地にする研究が本格的に始まり、ココのバッファリング技術が確立すると、COCO培地は「次世代のロックウール」として市場に紹介されました。

当時の時代背景をみると、COCO培地は決してオーガニック栽培用に開発されたのではないことが、よくわかります。


地球温暖化と、産廃処理の費用負担の増加
1980年代から、「地球温暖化」の研究が本格的にスタートし、1990年からその調査結果の発表がされたところ、その内容に世界中がショックを受けたそうです。地球温暖化は事実で、さらに世界各国と、あらゆる産業分野が協力して早急に対応しないといけない環境問題がすでに起こりはじめていたからです。
農業の分野で問題となったのが、「ロックウール」や「クレイ・ペブルス」など、製造段階に高温で加工するため、CO2をたくさん排出してしまう農業資材でした。なので、当時のオランダでは、ロックウールよりも地球に負担をかけずに生産できて、収穫の効率も高いハイドロポニック用の培地をなんとか開発する必要があったのです。さらに「ロックウール」は、鉱石由来の繊維のため腐らず分解されにくく、処理に費用がかかる産廃物になってしまうという理由もありました。

ロックウールと同じように使える天然繊維の培地
そこで、ロックウールとおなじく保水性が高く、肥料成分をほとんど含まないヤシガラがピックアップされました。ヤシガラは果実のカラであるうえに大量に出る産業廃棄物だったので、これを培地にすれば森林を伐採する必要もなく、ゴミだから安く手に入る、と一石二鳥な資材だったのです。


さらにさらに開発されたココ培地は、ロックウールを使いなれていたヨーロッパの施設栽培生産者の方々に、ロックウール・スラブとおなじく、培養液を再循環させない掛け流し式(Run-to-Waste)システム専用のハイドロポニック栽培用だったため、導入がカンタンで果実の品質も上がるのでメリットが多い新培地ですよ。という理由も大きかったのだろうと思います。



























しかし、ヤシガラを細かく砕いただけでは、植物がまともに育たなかったため、研究に研究をかさねて、フラッシング技術とバッファリング技術が開発されて、やっと日の目を見たようです。

ということで、COCO培地もハイドロポニカリーな栽培をするためだけに加工と生産されています。オーガニック栽培には、CANNA テラ・プロフェッショナルBioCannaのようなオーガニック栽培に向いた培地の方が、はるかに栽培効率もよく失敗がありません。

2018年2月15日木曜日

「園芸は、国家繁栄のバロメーター」園芸の衰退は国家の衰退。

一本の道をはさんで、「こっちは川崎、あっちは横浜」という市境ちかくに住んでいます。「日本のみならず、世界の園芸史を語るとき、横浜はゼッタイに外せない」ということをこの本を通して思い知りました。






「18世紀から19世紀にかけて、園芸文化史上に燦然と輝くのは、
東洋では日本、西洋では英国であるといわれています。
日本は江戸時代で、英国はヴィクトリア朝時代を中心とした時代でした。」




横浜港から世界に広がっていった誇るべき日本の園芸の歴史を、バックリすぎるほどにおってみると・・・

1853年に黒船ペリーがヨコスカ(カタカナが似合います)に来航→1859年日米修好通商条約にもとづき、横浜港がオープン。山手に外国人が住むエリアができます。その後明治維新が起こると、武家社会が崩壊し、武家中心だった園芸や造園の文化が、民間へと解放されたそうです。
同じく空前の園芸ブームとなっていたイギリスの地では、もともと在来する植物の品種が乏しく、シーボルトが持ち帰ったり図鑑にした日本の在来植物の豊富さが西洋で広まるにつれ「日本にプラントハンティングに行くぞ!」的なブームが起こっていたそうで、日本にある豊富な在来植物を実生で改良しては輸出アンドめずらしい樹木や交配品種の輸入が盛んになったそうです。







こうして、日本の在来植物が横浜港から世界各国の港へ輸出され、また外来の植物や交配された新品種たちが世界の港から横浜へ持ち込まれ、新しモノ好きな日本人によって、さらに植物の種類が豊富になっていったようです。歴史上にのこり、語り継がれるような事象というのは、いくつかの要因が偶発的に重なって、一気に広がることが多いのですが、日本でおきた空前の園芸ブームもその通りだったようです。







確かに、都内の下町を歩いた時のことを思い返してみると、ご家庭の軒先から歩道にまでせり出した鉢植えや庭木たちの種類が「無秩序」といえるほど豊富すぎて、海外ではあまり目にできない光景かもしれません。定番の植えっぱなしは、ツツジ、アジサイ、椿、南天、センリョウ、マンリョウ、柑橘にバラなど昭和から現役の植物をはじめ、アロエ、カクタス、オリーヴにユーカリ。そして、近頃目にすることがグンと増えてきたデザートプランツであるユッカ、アガベにサキュラントたち! 

さしあたり日本列島は、ビル・ゲイツ氏がつくった種子銀行よろしく、世界各国の主要な植物たちが現存している地なのかもれません。

ここで明治22年に発行された園芸専門誌の、實際園藝(じっさいえんげい)創刊号の序文をかみしめたいと思います。



「国の盛なる時 園芸は必ず栄え、その国の亡びんとする時、園芸まず衰う。

園芸は国家繁栄のバロメータ(晴雨計)である。」


ガーデニング・ブームがながく続いている今の日本ということは、もちろん課題はありますが、歴史的に見れば人々の生活が物質的にも精神的にも安定していて、心のゆとりを大切にできるという、喜ばしいことなのです。めでたし、めでたし。
この火をともしつづけるために、がんばっていこう!!!! と心から思いました。








・・・ということで、さらに詳しくは書籍をGETしていただくとして、横浜の歴史に興味を持ちましたため、「横浜市歴史博物館」に足を運んでみました。

 道すがら、「大塚・歳勝土遺跡公園」を散策です。

















茅葺き屋根の見事な古民家は、江戸時代のものだそうで、やっと梅が咲きはじめたこの頃は訪れる人もまだまばらでゆっくりと見学できました。


















公園内には、弥生時代の集落の遺跡や墓地などが復元されています。「横浜市歴史博物館」でガイドさんからお聞きしたお話によると、横浜市は、都筑区や港北区の都市開発のためにかなり大規模な地質調査をおこなったとき、この大きな遺跡が発見されたそうです・・・川崎市は、まばらな宅地開発が行なわれてきたので、知らず知らずのうちに大規模な遺跡が寸断されて見つかってきた可能性があるようです。



















弥生時代をさらにさかのぼる「縄文時代」、日本列島には主に関東に人口が集中し(あと東北に少し)、西日本にはほとんど文明の跡がみられなかったそうです。横浜には、マンモスや、トナカイの祖先のような大型の哺乳類が生息していたとのことです。


















この時代、矢じりやナイフなどに利用されていた「黒曜石」。ガーデニング好きならば、パーライトの原料、と頭に浮かぶ人も多いでしょう。天然の黒曜石は、火山の噴火でできる珪酸塩ですが、子供たちが黒曜石のかけらを「駐車場で見つけた〜」と時折持ってくることがあるそうです。「そのような黒曜石は、ゴミの焼却場でできるんですが、再利用されるゴミ資材が土木資材に混ざるので、新しくできたコインパーキングなどで見つかるんです。」そうです! 火山の噴火でできる鉱石は、なんと今は「高温の焼却炉」でも、つくられるんですね。すごい!



















「なぜ縄文時代の土器は、こんな割れやすいデザインになってるんでしょうか? あのでっぱってるフチは、ゼッタイに欠けやすいですよね?」

「きっと、火にかけて熱くなった土器を持ちやすくするためでしょう。獲物を調理すると、油や血で手がヌルヌルするから、でっぱりに指を引っ掛けて持ちやすくしたのかもしれません。」
























この展示品あたりになると、横浜港が開港して海外との貿易が盛んになっていたことが伺えます。









































結論として、こちらでは横浜港と植物の貿易についての記述は見つけられませんでしたが、縄文時代から人々の生活が息づいていた横浜について、よく知ることができました。



2018年2月9日金曜日

CANNA COCOだけが、安心して使える理由。

もう寒いのは飽きました。それでも朝の日差しに、夜に吹く風の匂いに、春の気配を感じるようになりました。



















「災い転じて福となす。」南天の紅葉が、朝日で鮮やかに映えていました。










朝、ストーブをつけた音で、ネコたちがベストポジションを占領します。カメラに目線をむける2名は、「なでる? マッサージする? やれ! とっととやれ!」という圧をビシビシと発してきます。














































さて、世界で初めて、だれもがカンタンに実践できる有機培地によるハイドロポニカリーなココ栽培のラインナップとして誕生したのが「CANNA COCO」です。




















CANNA COCOの概要については、CANNA公式の説明でドーゾ!


CANNA UK公式のプロモーション動画では、さらにくわしくCANNA COCOについて、理解を深めることができます。







  1. CANNA COCO培地とCANNA COCO A/Bは、このふたつのコンビネーションで栽培した時にはじめて、植物が生涯必要な肥料成分のすべてをパーフェクトなレシピで与えつづけることができます。

  2. CANNA COCO培地にA/B肥料の培養液を与えると、A/Bに含まれているチッ素、カルシウム、マグネシウムの各イオンがココ繊維に吸着され保肥が起こりますが、そのかわりに繊維に吸着していたカリウムとリン酸のイオンたちが水分中へと放出され、根が吸収できるようになります。

  3. 植物が吸収したチッ素は、すぐに根の細胞に送られ細胞の核となり細胞分裂がさかんになります。リン酸とカルシウムは、核を囲む細胞壁となります。

  4. 根がさかんに発達すると、それら以外の肥料成分も根からどんどん吸収されて、優先的に新芽に送られます。新芽が大きく育つと、枝葉へと生長します。

  5. 新しく分裂した細胞内には、そのほかの肥料の金属イオンも流入し、たんぱく質と結合して葉緑素になります。こうして葉が大きく広がり、葉緑素が次々につくられ、植物はますます大きく生長し枝葉の数が増えると、次の生長サイクル、「開花期」に移行しはじめます。すると「生長期」とは異なる肥料バランスを要求しはじめます。

  6. はじめてのツボミが見えたら、スケジュールに従ってCOCO A/Bの分量を増やして培養液のEC値を高くします。培養液のEC値が上がると、次のことが起こります↓

  7. CANNA COCOの繊維に吸着されていたカリウムとリン酸がより多く放出されるようになります。 植物は花を咲かせるとカリウムとリン酸の要求量が増えますが、この現象により、開花期に要求する肥料バランスをパーフェクトに与えることが達成されます。A/B の分量を増やすメリットとはこれだけでなく、大きなツボミとなるエネルギーとなり、結実を確実にします。

  8. いったん花が開ききると、花びらはしおれて落ちますが、果実に育つ部分である「子房(しぼう)」の肥大がはじまります。ここからが「開花後期」のはじまりです。
    この子房の付け根には、水分を貯めてふくらんだ部分があります。この水分にはカリウムが含まれています。 カリウムは植物体内のEC値を上昇させ、細胞を圧迫して果実を肥大させます。

  9. カリウムは、子房だけでなく葉にもどんどん流入します。葉の細胞は水分を引きよせ、代謝をつづけるために水分を貯めておこうとします。 そして、カリウムは水分の蒸散をつづける葉の部分に水分を引きよせる働きをします。
    しかし、カリウムを多く吸収しすぎてカリウム過剰になると、葉は水分を保つ機能と蒸散させる機能が低下して、葉が焼ける症状が発生します。なぜなら、周囲が高温になった時、葉は自身の温度を下げるために水分を蒸散しますが、それができず葉の温度が高くなりすぎてしまうのです。

  10. 果実の成熟段階にあたる「開花後期」に、葉焼けの症状が出てしまった時は、植物に与える肥料をへらします。 CANNA Flush で洗い流したあと、薄い濃度の培養液でCOCO培地を流してください(症状が出た場合のみです)。 植物は収穫の時まで養分を吸収しようとしますが、必要量はわずかでいいのです。



結びに「最高の収穫をもたらすCANNA 活力剤のラインナップと、一緒に使うことを忘れないでね! 」とのことです。
つづきます。


2018年2月2日金曜日

ハイドロポニック栽培と水道水。

先日の「スーパーブルーブラッドムーン」ですが、ついうっかり窓から月を見つけてしまい、目が離せなくなった、という方もきっと多いことでしょう。

「あっ、ちょっと欠けてきた!」というタイミングで見はじめてしまい、やっと全部かくれたところで、「寒いし、もういいか!」と義務を果たした気分に。





そして今朝は、この雪景色です。








さて、今回はハイドロポニック栽培とは切っても切り離せない「水」についてのおハナシです。まず、だれしもが一度は気になってしかたなくなる「水道水のカルキはどうしたらいいのかな?」「ROフィルターは必要なの?」 ってことです。

「水道水のカルキ抜き、したほうがいい?」については、シンプルに3つの結論からご紹介です。

  1. 葉もの野菜には必要。夏野菜は苗が小さい時だけ、したほうがいいかもね。カルキケアは、家庭用浄水フィルターで十分だと思います。エアレーションしてカルキをとばすのであれば、pH値が上がるので必ず調整してください。

  2. でも、根っこがいつも培養液にひたっているDWCシステムとかNFTシステム以外は、あんまり気にしなくてもOK。
  3. 「カルキ」をどうしても抜きたい場合は「アスコルビン酸」を使います。使う量はほんのわずかです。水100ℓに対してアスコルビン酸0.5gほどです。カルキを抜いた水道水は殺菌力をうしなって菌が繁殖しやすい水質になりますので、とっとと使いきります。


「 えっっっ? ホント? カルキ気にしなくていいの? でもココ栽培なんかだと微生物死んじゃわない? 」と疑問に思われることでしょう。
「カルキ」は、正しくは「残留塩素」のことで、水道水の「残留塩素」が根っこにダメージを与えて生長がおそくなる、根っこが茶色くなる、という症状は実際に確認されてるんですが、一定条件がそろわないと問題にはならないのです。


「残留塩素」からできる「クロラミン」が犯人。

アンモニア態チッ素が多い培養液は、残留塩素と結合して、根に毒性が強い「クロラミン」というチッ素化合物ができてしまいます。この「クロラミン」でダメージを受けやすいのが、植物全般で苗が小さく根量が少ない時です。しかし、トマトやパプリカなどの夏野菜は、いったん大きく生長して根量が多くなれば、培養液に残留塩素が残っていたとしても、ものの30分ほどで水中の残留塩素をすべて吸収しつくして「クロラミン」は発生しません。







しかし、レタスなど葉もの野菜にかぎっては収穫までを通じて「クロラミン」に対して耐性が低いので、NFTシステムやDWCシステムで育てる場合は、「残留塩素の除去」はしたほうが安心です。




「残留塩素」が問題になりやすい栽培システム。


DWCシステムってのは、Deep Water Cultureの略で、小さな培地で根もとを支えて、根っこの大部分は培養液にひたっているタイプのハイドロポニック・システムは、「クロラミン」ができやすいシステムです。湛液型水耕もカルキが悪さをしやすいシステムのカテゴリーに入りますが、キャナダッチ・フォーミュラは、アンモニア態チッ素の配合量が少なく、ほぼ硝酸態チッ素なのでクロラミンができにくい肥料を使う限りは、神経質にならなくても大丈夫です。



 

しかし、DWCシステムで、根っこが茶色くなったり根ぐされが起きてしまう大きな原因は「残留塩素」ではなく、「酸素欠乏」です。培養液の水温が26℃以上になると、どんなにエアレーションしていても溶存酸素量が低下して肥料成分も吸収できなくなり・・・負のスパイラルまっしぐらです。また、このタイプのシステムは、培養液のpH値とEC値が変化しやすく、pH値はほぼ毎日調整しなくてはならず、根から排出される老廃物や分泌物でEC値が変動します。






ドリップ式再循環システムは、どうでしょうか?

ドリップ式循環システムも、葉もの野菜と苗が小さな時だけ、カルキで問題が起こる可能性があります。しかしドリップ・システムは、苗が小さい時は根っこがリザーバータンクに届いておらず培養液には浸らないので、「残留塩素」の影響はほぼないといえます。
また、ドリップさせる回数は、幼苗期で1日1回だけ、開花期になっても最大で1日6回ほどのみで、ドリップ時間もたった3分、と短いため、DWCシステムと比較すると「残留塩素」が問題になることはありません。












ROフィルターで水道水をカンペキにクリーンにしたほうがいいの?

日本の水道水は硬度が100ppm以下と、世界の中でも超軟水です。水道水をつかっているかぎり、ROフィルターは必要ありません。とはいえ、日本でも一部地域でまれに硬水に入るほど硬度が高いこともあります。ppm値が300以上ある水や、井戸水などの重金属が含まれているような水を使用する場合は、ROフィルターを使います。