2018年2月2日金曜日

ハイドロポニック栽培と水道水。

先日の「スーパーブルーブラッドムーン」ですが、ついうっかり窓から月を見つけてしまい、目が離せなくなった、という方もきっと多いことでしょう。

「あっ、ちょっと欠けてきた!」というタイミングで見はじめてしまい、やっと全部かくれたところで、「寒いし、もういいか!」と義務を果たした気分に。





そして今朝は、この雪景色です。








さて、今回はハイドロポニック栽培とは切っても切り離せない「水」についてのおハナシです。まず、だれしもが一度は気になってしかたなくなる「水道水のカルキはどうしたらいいのかな?」「ROフィルターは必要なの?」 ってことです。

「水道水のカルキ抜き、したほうがいい?」については、シンプルに3つの結論からご紹介です。

  1. 葉もの野菜には必要。夏野菜は苗が小さい時だけ、したほうがいいかもね。カルキケアは、家庭用浄水フィルターで十分だと思います。エアレーションしてカルキをとばすのであれば、pH値が上がるので必ず調整してください。

  2. でも、根っこがいつも培養液にひたっているDWCシステムとかNFTシステム以外は、あんまり気にしなくてもOK。
  3. 「カルキ」をどうしても抜きたい場合は「アスコルビン酸」を使います。使う量はほんのわずかです。水100ℓに対してアスコルビン酸0.5gほどです。カルキを抜いた水道水は殺菌力をうしなって菌が繁殖しやすい水質になりますので、とっとと使いきります。


「 えっっっ? ホント? カルキ気にしなくていいの? でもココ栽培なんかだと微生物死んじゃわない? 」と疑問に思われることでしょう。
「カルキ」は、正しくは「残留塩素」のことで、水道水の「残留塩素」が根っこにダメージを与えて生長がおそくなる、根っこが茶色くなる、という症状は実際に確認されてるんですが、一定条件がそろわないと問題にはならないのです。


「残留塩素」からできる「クロラミン」が犯人。

アンモニア態チッ素が多い培養液は、残留塩素と結合して、根に毒性が強い「クロラミン」というチッ素化合物ができてしまいます。この「クロラミン」でダメージを受けやすいのが、植物全般で苗が小さく根量が少ない時です。しかし、トマトやパプリカなどの夏野菜は、いったん大きく生長して根量が多くなれば、培養液に残留塩素が残っていたとしても、ものの30分ほどで水中の残留塩素をすべて吸収しつくして「クロラミン」は発生しません。







しかし、レタスなど葉もの野菜にかぎっては収穫までを通じて「クロラミン」に対して耐性が低いので、NFTシステムやDWCシステムで育てる場合は、「残留塩素の除去」はしたほうが安心です。




「残留塩素」が問題になりやすい栽培システム。


DWCシステムってのは、Deep Water Cultureの略で、小さな培地で根もとを支えて、根っこの大部分は培養液にひたっているタイプのハイドロポニック・システムは、「クロラミン」ができやすいシステムです。湛液型水耕もカルキが悪さをしやすいシステムのカテゴリーに入りますが、キャナダッチ・フォーミュラは、アンモニア態チッ素の配合量が少なく、ほぼ硝酸態チッ素なのでクロラミンができにくい肥料を使う限りは、神経質にならなくても大丈夫です。



 

しかし、DWCシステムで、根っこが茶色くなったり根ぐされが起きてしまう大きな原因は「残留塩素」ではなく、「酸素欠乏」です。培養液の水温が26℃以上になると、どんなにエアレーションしていても溶存酸素量が低下して肥料成分も吸収できなくなり・・・負のスパイラルまっしぐらです。また、このタイプのシステムは、培養液のpH値とEC値が変化しやすく、pH値はほぼ毎日調整しなくてはならず、根から排出される老廃物や分泌物でEC値が変動します。






ドリップ式再循環システムは、どうでしょうか?

ドリップ式循環システムも、葉もの野菜と苗が小さな時だけ、カルキで問題が起こる可能性があります。しかしドリップ・システムは、苗が小さい時は根っこがリザーバータンクに届いておらず培養液には浸らないので、「残留塩素」の影響はほぼないといえます。
また、ドリップさせる回数は、幼苗期で1日1回だけ、開花期になっても最大で1日6回ほどのみで、ドリップ時間もたった3分、と短いため、DWCシステムと比較すると「残留塩素」が問題になることはありません。












ROフィルターで水道水をカンペキにクリーンにしたほうがいいの?

日本の水道水は硬度が100ppm以下と、世界の中でも超軟水です。水道水をつかっているかぎり、ROフィルターは必要ありません。とはいえ、日本でも一部地域でまれに硬水に入るほど硬度が高いこともあります。ppm値が300以上ある水や、井戸水などの重金属が含まれているような水を使用する場合は、ROフィルターを使います。