2020年10月28日水曜日

バラ苗たちの葉面スプレーとSANlight Q6W Gen.2の幼苗管理

 ここ数日、秋晴れの日がつづいたあと、今日は曇天となりました。

ということで、届いたばかりのバラ苗たちの労をねぎらう目的もかねて、体力回復の葉面スプレーをすることにしました。なんらかの養分をふくんだ培養液を葉面スプレーするマスト事項は、

  1. 直射日光を避けることと、
  2. 風通しをよくすること、
  3. 希釈濃度を守ること
です。




葉面スプレーの効果は、散布する成分で異なります。

アドバンスド・アミノのように吸収性の高い低分子のアミノ酸群や、スーパースライブのように発根促進効果のある天然ホルモン、有機酸、ビタミン群などを葉のウラにスプレーすると、吸収された成分が根っこの先端に送られて根の回復や生長を促進します。

植えかえのストレス、高温、低温障害、水や肥料の与え過ぎなどで根っこが傷むと根毛が消え去り、水と有機酸以外を吸収できない状態になるので、培地が乾かない限りは、水やりを控えて酸素を多く吸わせたうえで、葉面から発根を促進する成分をスプレーするとベストです。



先日届いた、香り高いミニバラ「スイート・チャリオット」。ミニバラは葉っぱが密になっているうえ、花がついた状態で植えましをしたため下葉が黄色くなってしまいました。特にミニバラなどの花き類は、ナーセリーの温暖な環境から気温や湿度が大きく変わるとストレスが出やすくなります。

ストレスで生理落葉したときなども、アドバンスド・アミノ + スーパースライブの葉面スプレーで体力を回復させます。



一方、アドバンスド・シリカの主成分であるケイ酸や、カルシウム、リン酸などは、根から吸収されたあと、植物体内を移動しにくい肥料養分なので、不足症状が出たときは、葉面スプレーすると即効性があります。

また、チッ素過剰になると、これらの成分が不足しがちとなり、ペラッペラの葉っぱになってアブラムシなとが出やすくなりますので、2週間に1度ほどのペースを守りつつ、葉面スプレーで葉っぱに直接おぎなってあげると効果的です。翌日、葉っぱがピンッと上を向いていたり、葉面がてかてかと厚みを増すので、効果がわかりやすいです。




スプレーした後は、かならず直射日光が当たらない、風通しのよい場所に置いておきます。








一方で、今年の秋冬室内栽培のミニトマトたち、発芽培地の底から根っこがでてきたので、1Lのスターティング・ポットに植え増ししました。






幼苗を植えましするときは、生長が止まってしまう要因をゼロにします。
  • 絶対に根っこや葉っぱを傷めないよう気をつけます。
  • 肥料の与え過ぎ、強い光は絶対にNGです。
  • 室温22℃以上、湿度70%前後の温暖でそよ風のある温暖な環境をできるだけ保ちます。
  • かならず夜の時間をつくります(ランプOFFの時間帯)。植物、とくに苗の時期は夜に根を中心に生長+ダメージの回復をするため、光合成を休んで根がきちんと動ける夜の時間が必要不可欠です。
  • 苗が小さいうちにやってしまいがちな最大のミスは、周りにまだスペースがあるからといって屋外にあった花苗、果樹、観葉植物などを、苗とおなじグロウスペースにいれてしまうことです。屋外で育てていた植物には、ほぼ100%なんらかの病害虫がついているため、繁殖しやすい室内温室にいれてしまうと手の施しようがないほど大繁殖してしまいます。





調光ができるSANlight Q6W Gen2.の設置位置約2メートルの高さは、いっさい変えずに・・・





M-Dimmerで光強度を40%から60%にアップしました。







SANlight Q6W Gen2.から、だいたい200cmほどの距離で、
照度は、5510ルクスと計測されました。






PPFD(光合成有効光量子密度)メーターでも計測してみました。
ディムレベル : 60% 
距離 : 約200cm
72μmol/㎡/Sでした。

PPFDについては、以前こちらでバックリ説明したことがありますが、光の明るさではなく、光合成に効果的な光の色の粒が、1メートルスクエア面積に一秒間で何粒とどいてるのかな?の値がPPFD(光合成有効光量子密度)です。








幼苗の生長促進のポイントは、光の強さや肥料よりもむしろ、暖かな温度です。
とくにフルスペクトルな光放射のLEDなどは照度が低くても作用が大きいので「物足りないな」くらいの明るさで十分です。
新葉の展開が遅いときは、25℃ほどを限界に室温を高く、湿度をやや高めに、風通しを維持するとよいです。


2020年10月20日火曜日

SANlight Q6W Gen.2 LEDで、発芽苗から育ててみる。

 今年生まれた、近所の野良ダヌキたちの被毛がフサフサとしてきました。

少しずつ秋が深まってきた証拠ですね。






さてさて、発芽したミニトマトとミシマサイコ ですが、
光を求めてヒョロ〜ンと徒長してきました。





フタバが光の方に傾いてしまうようになったので
いよいよSANlight Q6W Gen.2 245Wの下にセットすることにしました。






広領域なスペクトルを放射するSANlight Q6W Gen.2は、消費電力が245Wです、MHランプなどHIDランプの250Wよりも植物への作用が強いため、
苗から使う場合は M-Dimmer で光強度を弱めないと苗が焼けてしまいます。






SANlight Q6W Gen.2
 
は天井ギリギリに固定します。
この位置に固定して、発芽苗から収穫までM-Dimmer で光強度を調整していきます。





M-Dimmer の白い面を本体に向けて、ポンポンと軽くタッチするたびに
100% → 80% → 60% →40% 出力を調光できます。





この高さで、もっとも弱い40%に調光すると約2,600ルクスほどの明るさに。
晴れた日の窓辺、または発芽苗のフタバが光負けせず間延びもしない程度の明るさです。





苗を育てる光の強さを示す数値は、PPFD(光量子密度)のほうが適切ですが、まだ感覚的にわかりづらいので、LUX(照度)で示しました。

ただ、苗に当たっている照度(ルクス)が同じでも、照明の種類によって発熱量がかわり、栽培効果も変わるので、光が強すぎないか心配な時は、セットする初日だけ発芽苗を照明の真下から50mほど横っちよにずらして設置します。

翌日フタバが光の方を向いていれば、光が足りない目安なので照明の真下に設置します。






室温18℃〜24℃、湿度は70%〜80%と高めにして、
一日に一度はプロパゲーターのカバーを外して空気を入れかえますが、
培地がカラカラに乾かないように注意が必要です。

培地が乾いて水やりをする場合、本葉がでるまではベース肥料はいりませんが、
など根の活力剤は効果があります。どれかひとつだけで十分です。

いずれかの活力剤と、スーパースライブのコンビネーションがおすすめ。


根の活力剤を培地に水やりする場合は、pH値を5.8に調整すると、根の吸収を助けるとともに、培地を清潔に保つ効果もあります。


葉面から養分を吸収させる場合は、浸透圧で葉ウラから勝手に養分が吸収されるため、活力剤の希釈液を葉面スプレーする場合は、pH調整しなくてもOKです。

室温が高い時にスプレーした場合は、プロパゲーターの換気フタを開けるか、軽く風をあてるなどして培地がカビないよう注意が必要です。














2020年10月9日金曜日

サイコのフタバ、復活したバラ、茨城県植物園

 さて、いよいよミシマサイコ のフタバが立ち上がりました。それにしても30粒播いて、しっかり発芽したのが2つだけ! 本来なら発芽まで一ヶ月かかるとのことなのて、もうしばらく様子を見ますが、それにしてもなかなかの気難しがりやです。






15年以上経つ、瀕死状態だったブラックティーローズ。根が傷んだところに、コガネムシの幼虫に根っこをやられ主茎がダメになってしまいました。なんとか復活させたい一心で、一ヶ月まえから、いろいろな資材や方法を試してみたところ・・・






かなり復活してきました・・・まだまだ油断できませんが。




さて、見事な秋晴れとなった先週末は、茨城県植物園を訪れてみました。道すがら、いくどとなく目にした、蕎麦の可憐な白い花。





異なる種類の植物をもちいた、3層の生垣! これはすごい! 初めてみました。
茨城の園芸技術の高さを感じます。







園内の樹木につけられた名前プレートに、アマガエルがササっと隠れたのを見逃すはずがありません。アウトドアを満喫できなかった今年の夏、初めて出会ったカエルです。






9月の熱帯植物園は、過ごしやすい室温となっていました。





CANNA Indica L 開花中とのことでしが、タイミング悪く花は見つかりませんでした。







息を切らせて、展望台の階段を登ると、どこかの国の熱帯雨林に
迷い込んだ気分に浸ることができました。





茨城県植物園があるのは、昨年大きな水害受けた那珂市内です。
那珂川が氾濫した約一年まえ、この植物園から近くの河川をはさんだ対岸で水害があったようです。思い出してみれば、水戸北スマートICでおりて植物園へ向かう途中、まだ水害の傷跡が残る建物をいくつか目にしました。





ご当地ホームセンターを訪れるのがなによりの楽しみな私は、お恥ずかしながらそんな予備知識もなく、水害時に水没してしまったという「山新渡里店」に立ち寄りました。
そんな影をみじんも感じさせない、見事な復活ぶりに感動しました。







ちなみに「山新渡里店」、品揃えに二度目の感動を覚えました。
あの川合肥料さんのぼかし肥料が店頭にならんでいるのです! 

そればかりではありません、セルトレーやビニールポットのおびただしい品揃えと、ハンナ・インスツルメンツのパック校正液を発見し「イバラキ、すげーなー。」
と、ただただため息をついて帰路につきました。








2020年10月2日金曜日

チヌーク・ホップの収穫とサイコの種まき、終わりと始まりの季節。

 今年の春に、70Lのプランターに定植したチヌーク・ホップ1株から、毬花がこれだけ収穫できました。ようやく毛花が咲きはじめたのは8月に入ってから、というオドロキの遅さでしたが、初秋特有の昼夜の寒暖差のおかげか、チヌークホップ特有の柑橘系とスパイシーなアロマが強い、小ぶりな毬花に仕上がりました。




今年植えた根茎である、というだけでなく、プランター栽培なのに、たくさん収穫できたのは、ひとえに栽培スキルの高さ・・・ではありません。

ソイルレス・ポッティングミックス培土と培養液」のコンビネーションの栽培効果の高さのおかげにつきます。






ハイドロポニック肥料培養液のおかげで大きく大きく育ったのは、ホップ だけではありません。地植えながら耐寒性いパパイヤも、ひきつづき開花絶好調です。










顔ほどの大きさのあるパパイヤの大きな葉っぱをかきわけて、咲いている花々を間近で見ると、「うわぁ〜、なんかベロベロしすぎてる〜!」
これがすべて実って、完熟したらどんなにいいだろう! と思います。






さて、9月18日ちょうど2週間前に「エアレーション でプライミング処理」をはじめた「ミシマサイコ 」。弱酸性に調整した水温25℃くらいのたっぷりの水に、ミシマサイコ の種子を浸して、エアレーション を続けること2週間。

ミシマサイコ は、セリ科だけに種子に「発芽抑制物質」が含まれていることと表皮が硬いことから、発芽難易度が非常に高く、一般手には「発芽するまで40日以上かかる」、と言われています。







ということで、エアレーション を入れた、たっぷりすぎる水に種子を浸しながら、
浸漬スタートから2〜3日は、発芽抑制物質を流すために8Lほどの水をほぼ毎日水を取りかえました。







そして、ちょうど2週間後の本日・・・
「満月だし、エアレーション 飽きたから、もう培地に播いちまおう。」
ROOT!Tルーティング・スポンジ」にミシマサイコ の種子をそっと播いていくと、大変うれしいことに、半分くらいの種子がすでに発芽(発根)してました。





いただいたミシマサイコ の種子が新鮮だったから、だと思います。5mm足らずのほんの小さな種子なので、ひとつの培地に2つずつミシマサイコ のタネをセットしました。








今回種まき用の培地には、「RRO!Tルーティングスポンジ」を使いました。
発芽用培地は、タネをまく前に pH5.8前後の弱酸性の水(22℃前後の水温)にしっかり浸して、かるく水分を切ってからセルトレーにセットするとよいです。






セルトレーやプロパゲーターなど、種まきにつかう資材は、食器用洗剤で洗って汚れをざっと落としてから使います。初めて使うトレーなどは水道水でよく流す程度で大丈夫です。








ロックウール培地は水分を含むとアルカリ性に傾くので、使う前にプレ・ソーキングしたほうがよいです。弱酸性に調整した水に24時間浸漬してから、水気を軽く切ってタネを撒きましょう。






ロックウール培地のプレ・ソーキングは、種まきのときよりも苗を定植する時の方がさらに重要です。
生長期用のベース肥料でEC値1.0以下、pH値を5.8前後に調整したたっぷりの培養液に、ロックウール全体を24時間以上浸してから苗を定植すると根の活着がスムーズです。

また、苗を植える時は培地内の温度がとても重要なので、ロックウールを浸す水、定植後に与える培養液は22℃前後にします。




本日は気持ちのよい秋晴れの金曜日、TGIFとなりました。
週休2日が一般的になる以前の23年前、週末のはじまりといえば金曜日ではなく「半ドン」・・・土曜日でしたよね〜。