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2011年12月16日金曜日

イチゴの親子関係

一般的にイチゴの苗は、実生栽培 ( みしょうさいばい = 発芽から育てる ) というケースは、珍しくて、「クローン (栄養繁殖) 」でふやしていきます。
「クローン」というと、なんだか大それたことのように聞こえますが、大きく育ったイチゴの株は、春に実をつけたあと、初夏にさしかかる頃に

←こんなふうに、子苗であるランナーをニョロニョロッとタコの足のように出すので、この子苗を発根させて大きく育てて、その年の新苗として、流通したり栽培されたりしていきます。






イチゴなどクローンでふやす植物では、優秀なマザープラント(親株)の存在が、不可欠ですが、ランナーからイチゴを育てた今年は、親株のコンディションが、どれだけ子苗に影響するか、よくわかりました。


今年でたランナーから大きくなったイチゴ苗です。右側のイチゴの方がコンディションがよいです。このふたつのイチゴは同級生で、品種は両方とも「あかねっ娘」ですが、親株が、それぞれちがいます。















ふたつとも、まったく同じ培地、まったく同じ培養液で管理してきました。
8月ころから、ココ培地用ベース肥料をCO2を吹き込んだタイプの炭酸水100%でうすめてつくった培養液だけをあげ始めて、現在も同じです。(pH値管理なし、水温だけ18℃〜22℃になるように気をつけてます。)

炭酸水のおかげかどうか分かりませんが、今年のイチゴたちには、まあっっったくアブラムシがでてません。








↓これが、親株たちです。右側の親株なイチゴは、葉っぱが大きく上を向き、イキオイがあります。左側の親株イチゴは、葉っぱが小さく横にひろがっています。














親株と子株をならべてみました。奥のふたつが親株チーム、手前のスリットポットが子株チームです。










子株の葉っぱは、親株の葉っぱや茎と、よく似ています。さすがクローン苗です。
右側の優秀な親株と子株は、葉っぱにつやがあって、茎が上を向いていて葉っぱが持ち上がっているので、根もとがチラホラと見えます。
イチゴにとって、ランナー子苗をだす作業は、とっても大変な体力がいるんだと思います。







なので、元気に根っこをたくさん張った親株であればあるだけ、ランナー子苗に養分を送ってあげられるので、親株がちがう同級生の子苗に、ここまで生長の差がでたようです。

















ということで、あまり優秀でなかった親株イチゴでしたが、今年の秋、このコはイチバン先に花芽をつけてくれました。ワタシの「思いこみ」ですが、「ひとつの株が、ツボミをつけると、まわりの株も、つられてツボミをつけはじめる・・・」と信じてます。














おかげで? 優秀な子苗たちもやっと花を咲かせる気になった、と思っています。 ので、役に立たないムダな命はひとつもないんだな・・・とキレイにまとめたいと思います。

















ちなみに、クローンでの植物の繁殖方法は、挿し木や葉挿し、根っこで株分け・・・などいろいろありますが、イチゴをはじめ蘭や食虫植物など、種子でふやしにくく、無菌状態での繁殖がベストな植物では、ウイルスフリーで優秀なDNAをもった株が、大量に増殖できる「組織培養」という方法も多く利用されています。

「 組織培養=ティッシュカルチャー 」については、過去に「おウチでできる組織培養、キッチンカルチャー」にトライしたことがあります。・・・めでたく失敗しましたが。

組織培養は、優秀なマザープラントから切り取った葉っぱや茎を細かく切りきざんで、肥料と植物ホルモンをふくませた寒天培地で、細胞分裂させて大きく育てていきます。















なので、きざんだ植物片の数だけ、おなじDNAをもった優秀なクローン苗がたっっっくさん、つくれることが最大のメリットですが、デメリットは失敗が多いってことと、クローン苗が一人前になるまで年単位の時間がかかる植物もあるってことです。

ちなみに、「組織培養」に必要な器具ですが、寒天培地と植物ホルモンさえGETできれば、・・・
水耕栽培用の肥料、pHダウン剤とpHアップ剤、pH/EC測定メーター、蛍光灯などのグロウランプ、ついでにインラインファンとエアフィルターをもってるおヒトなら、

その材料で、おウチでできてしまいます。
あとは、手順と培養液レシピを把握して、無菌ボックスと圧力鍋、電子レンジなどなど、なんとでもなる材料をなんとかすればOKです。






興味のあるおヒトは、こちらで・・・
http://desktopfarmer.blogspot.com/2010/07/1.html
http://desktopfarmer.blogspot.com/2010/07/2.html

ということで雑菌のすくない冬になったことだし、そろそろ「キッチンカルチャー」のリベンジをしたいと思っているところです。

2010年7月12日月曜日

やってみました「キッチン・カルチャー」その2

まず、植物の組織培養用の寒天培地をつくりました。

植物のキレッパシから細胞分裂させて大きくするには、植物ホルモンと肥料成分と糖分がいるんですが、植物の種類とか芽を出すのか根を出すのかによって、成分を微妙に変えなきゃいけないそうです。

面倒なので「キッチンカルチャー・セット」にくっついてきた培地セットをそのままつかいました。

寒天をお湯で溶かして、植物ホルモンやら糖分やら「ムラシゲ・スクーグ培地」という植物栄養剤を入れてpH値を調整してから、耐熱ビンにほどよく注ぎました。

「ムラシゲ・スクーグ培地」、ムラシゲさんとスクーグさんが発明した組織培養の定番中の定番な培地です。一般的には「MS培地」なんて呼ばれてるようです。





培養培地の成分は、つまりは水溶性肥料なのでNPKや微量要素を計算できるヒトなら水耕栽培用肥料でもOKだそうです。


そして寒天培地を圧力鍋で殺菌しました。

ほんとは理化学専用器具の「オートクレーブ」を使うところです。ウイルスや微生物は煮沸しただけでは死なないので、「高熱+圧力」で胞子までパチンッとつぶして完ぺきな殺菌をするそうです。






ちなみに容器ですが、たんなるジップロックとかの耐熱プラッチック容器はNGです。溶けました。やっぱり理化学用の耐熱性プラッチック三角フラスコとかパイレックスなどのガラス瓶でないとムリです。フタさえなんとかすれば、ジャムとかのガラス瓶でも大丈夫そうです。


で、いよいよ植物の断片を寒天培地に植えつけます。ムズカシイことはないんですが、手間がとってもかかります。
















こうやって植物片を寒天培地に移植して、フタをとじてしまえばもう無菌状態でなくても大丈夫なので、LEDとか蛍光灯とかの光にあてて「カルス」や葉っぱが出てくるのを待つだけです。でもココからが長丁場なので、殺菌がアマイと、カビがバタバタ発生したりもします。なので無菌ボックスのなかで管理した方が無難だと思います。


培養のビンにかぶせてあるフタは「キッチンカルチャー・キット」で一緒にGETできたんですが、通気できるように、ほんのちょっとだけ、すき間が空いてます。

ところがこのフタにぴったり合う耐熱性のちいさなガラスビンは輸出NGということで、日本でなかなか見つからず途方にくれていたとろ、未練たっぷりに捨てられずにいたワタシの大好物の「べごの乳発 会津の雪」というヨーグルトのビンがぴったり合いました!
このヨーグルトは、ほんとにメチャクチャオイシイです。














そして、だいたい2週間後に「ホワイトセージの茎片」から葉っぱがでてきましたー。
この後、一人前になるまでは・・・・どのくらい・・・かかるのやら・・・ちょっと後悔してます。挿し木の方が・・・ラクだなと思う今日この頃です。

2010年7月9日金曜日

やってみました「キッチン・カルチャー」その1

今日の「キッチンカルチャー」は、スプラウトとかネギとかの根っこを水にひたす「二期作的ハイドロカルチャー」のことではなくて、ちょっとマジな「ティッシュー・カルチャー」、つまり「組織培養」です。

米国では組織培養をホビーでやるヒトが多くて、「キッチンカルチャー・キット」っていうのも売られています。「ティッシュカルチャー」の必需品を台所にあるものでこなしちゃおうということで「キッチンカルチャー」っていうそうです。

組織培養っていうのは、植物のちっこい断片から一人前の植物を育てるクローン技術です。このメリットは、優秀な株のクローンが大量につくれてしまうことです。

たとえばイチゴの苗なんかは、ウイルスフリー苗を生産するために、この組織培養で苗をつくることが多いようです。あとは種子からだと繁殖しにくい蘭や食虫植物などは、ほとんどが組織培養技術でふやされてるようです。


そして今回は、イチゴとホワイトセージ、そしてバラの組織培養にトライしてみました。結論からいえばイチゴの組織培養は、ランナーが伸びて新芽がでてからじゃないとムリみたいです。














「組織培養」には、カンペキな無菌エリアをつくらなきゃなりません。
ほんとは「クリーンベンチ」っていう専用の無菌ボックスが理化学用品でありますが、ベラボーにお高いので、プラッチックの衣装箱からDIYでつくりました。このケナゲな努力が、自分でもちょっと笑えまます。

米国ではもっとラフに「クリーンベンチ」をつくっているようで、ダンボールのなかをアルコール消毒しただけのものやビニールをはっただけだったりのヒトもいます。


ソクセキ無菌ボックスに100mmの穴を開けて、インラインファンエアフィルターをのっけました。思いがけずエアフィルターとファンが大活躍です!

これで無菌ボックスへと、風を送り込めばキレイな空気だけがボックス内に流れるので、ホコリやウイルスなんかをシャットアウトできるハズです。

エアフィルターのすき間の大きさは20ナノメートルなので、ギリギリにウイルスも通過できないカナ? という細かさです。アソビの組織培養なので、コレで十分だと思います。


そのほかに必要な道具は、計量スプーンとか、消毒用のアルコール、キッチンハイターなどです。培養培地のpH値を調整するので、ありがたいことに室内栽培でよく使うpHメーターやpHアップ+ダウン剤がそのまま使えます。

バックリとした流れとしては、寒天培地を調合して圧力鍋か電子レンジで殺菌して無菌ボックスで消毒した植物片を寒天培地に植えつけていって適度な温度と光量で「カルス」がでるまで待つ・・・という感じです。


さて、つづきます・・・

2010年6月16日水曜日

水耕栽培 de キッチンカルチャー

毎日キッチンに立つ主婦の方のみならず、だれしもが一度はトライしたことがあるんではないでしょうか?

ひとつぶで二度オイシイ、ネギやスプラウトの「水耕栽培」。
ワタシもダイズのスプラウトで「二期作水耕」、やってます。














今朝になって新芽がバシバシのびてました。

ところで、窓ごしのような弱い光で植物をそだてていると、

こんなふうに光に向かってビヨヨ〜ンとアタマが曲がっていきます。

これは植物ホルモンのひとつ「オーキシン」のはたらき、というのは有名なおハナシです。







オーキシンは葉っぱでつくられて根っこに送られるホルモンで、植物のトップを光に向かわせたり、根っこの先端が水のある方に向かう時なんかにクニュッと先端を曲げさせるはたらきをしてます。

そして、根っこに一定の量のオーキシンがたまると「発根」がはじまります。新しい根っこは、養分とか酸素とか水分とかをイッパイ吸収する働き者なので、コンスタントに発根させるには新しい元気な葉っぱをたくさんキープするとよいそうです。オーキシンには、咲いた花を着果させたり、実った果実の味をよくする効果もおおきいそうです。















ところで、ホントの意味の「キッチンカルチャー」っていうのはキッチンで水耕栽培をすることではないことは、バイオに詳しい人ならよく知ってると思います。

「キッチンカルチャー」とは・・・「ティッシュカルチャー」つまり植物の組織培養の造語です。組織培養にはいろんな専用器具が必要となるんですが、専用器具を圧力鍋とか電子レンジとかキッチンにあるもので代用しちゃおう!ということです。

植物のちっちゃな新芽や茎や葉っぱの破片から、一人前の植物を再生させウィルスフリーの安全な植物を無数にふやせるのが組織培養ですが、その組織培養にも「オーキシン」が不可欠な存在です。

でもこのティッシュカルチャー、植物片から一人前の植物体になるまで、年単位の時間がかかるようです。