2017年11月7日火曜日

〜 SANlight 2017〜 植物の都合で光を見てみる。

室内栽培で、欠かすことができないアイテムのひとつが、太陽の代わりに植物に光を届ける「栽培用ランプ」です。しかし、LEDという次世代ランプが登場してから、

「省エネでよく育つと思っていたら、あんまり育たない。数値は問題ないのに・・・」
「そもそもランプについてくるデータシートの単位がよくわからない。今は、ルーメン、ルクスじゃないの?」

などなど、わかろうとすればするほど、頭の中でハテナが増えていく切なさがあります。 そしてここ数年間というものは、「600WのHPSと同じ栽培効果を期待するなら、LEDも600W必要なんだね。」という結論で、ほぼ収束していました・・・

ということで、本当に育てられて省エネなLEDのお話の前に、まず見たり感じたりすることはできるけど、手で掴むことはできない「光」についてのお話からです。なぜならランプを正しく評価するにはまず、なんといっても光の正体を知らなくてはなりません。

まず、光にはふたつの顔があります。ひとつめの顔は「光は波、エネルギーがある波=電磁波」、ふたつめの顔は「光は粒、光量子とよばれる粒」。どちらも光の本質なので、顔なじみになっておきたいところです。さらに、「人の目が基準の明るさ」と「計測器が基準の明るさ」があります。 このみっつの要素さえ覚えちゃえば、光なんてイージーイージー!?


光は、エネルギーふたつの顔のほかに、人の目か計測器の目か、この3つの組み合わせで測ります。
  1. 計測器が感じる電磁波エネルギーを測る =放射測定(フラックス)、単位がW(ワット)。測れる光の範囲は計測器それぞれで、可視光専用や赤外線、紫外線専用などさまざま。
    ・それを測
  2. 目が感じる電磁波エネルギーを測る=測光(おなじみの単位ルーメン)、目で見た明るさのみが基準。
  3. 光の明るさを粒数の多さで測る=光量子測定(フォトン)、モル数で測る

1 と 3は、人の目が感じる明るさにまどわされず、光がもつエネルギーそのものを基準に測ります。 2は、人の目に見える明るさが基準のエネルギーで測ります。











カンデラ、ルクスとか、チョーなつかしくな〜い?

・・・ちょっと前まで栽培用ランプの明るさはインテリア照明用の基準、2の「光束=ルーメン」で評価されてました。人が見た明るさで比較していたのです。なつかしさの象徴として、昔からある有名な画像の登場です。





↑を見るとおり、HPSランプ400W一本と同じ明るさをだすには、T5蛍光灯54Wで10本、CFL高出力蛍光灯125Wで5.5本・・・といった具合です。では栽培用ランプを評価する単位が、どうしてなじみぶかい「ルーメン」から変わったのか? というお話です。
植物の光合成によい光と、人の目に明るい光は同じじゃありません。「ルーメン」は、人の目で感じる明るさを数値化したものです。なので「 人の目に明るく見えるランプ=光合成にベストなランプじゃないからさ、どうしようか? 」となりました。







ところで、植物にとって光合成できる光の色は?
植物が光合成できる光の色(波長)は、光合成色素が吸収できた光の色だけです。
可視光線である紫色380nmから真っ赤780nmの範囲のなかで、光合成のために吸収できる光の色は、青400nm赤700nmです。

「植物だって、やる気出せば赤外線でも光合成できるんじゃない?」と思ったところで、光合成は化学反応で根性論ではないので、そうもいきません。






光合成に使える光放射の幅=PAR(光合成有効放射)。

光合成色素は吸収できる光の粒かどうかを、その粒が持ってるエネルギーで判断してます。つまり、飛んできたいろんな色の光量子というツブツブのなかで、光合成に使えるエネルギーをもった粒だけを吸収してます。
光合成色素が吸収できる光量子青400nm赤700nmの範囲をPAR(光合成有効放射)」とよびます。
このPARは、和訳に放射とついているので・・・
1. 測定器が感じる400nm赤700nmの範囲の明るさ
つまり「光合成に有効な光エネルギー」の幅だけを指します。なのでPARの単位は「ワット(W)」になります。




とはいえ光合成量は、吸収できた光量子の数できまる。

このあたりから脳みそがグラングランしてくると思いますが、光合成量を決めるのは、吸収できた光量子の数です。なので放射であるPARだと、いろいろと誤差が出ます。

そこで、

3. 光の明るさを粒数の多さで測る=光量子測定(フォトン)

で、青400nm赤700nmの範囲の、光合成に効果がある光の粒の数だけを測ろう、ということで光合成有効光量子 の登場です。




栽培用ランプの明るさ評価は、光束から光合成有効光量子束(PPF)へ。

そこで、栽培用ランプの明るさの評価は、同じ束は束でも光合成に効果のある光量子の粒の束、という意味の「光合成有効光量子束(PPF)」にすることとなりました
「いくら光のエネルギーが大きくて明るく見えても、光合成量に比例しないんだったら、栽培用ランプの評価には意味ないじゃん」、ってことです。

PPFの単位は「μmol/S」、読み方はマイクロモルパーセカンドで、ユーモリモリ? ではありません。「そのランプは、光の粒を一秒間に何粒だせるかな?」という意味です。
マイクロモルってのは、光量子の粒数の単位ですが、どのくらいの大きさ? については、どうかググってください。





光束(ルーメン)が、光合成有効光量子束(PPF)になるなら、
照度(ルクス)は、光合成有効光量子束密度(PPFD)だ

たとえば、1mスクエアの栽培面積に、ランプを50cm離して当てた場合と、10cm離して当てた場合は、面を照らす明るさはもちろん変わります。そこで、その面が人が見てどのくらい明るいのか?  ということを数値化したのが照度=ルクス」です

でも照度は、植物にとっては正解ではない。だから、光合成によい光量子が1mスクエアに何粒届いてますかぁ? を測らなくてはならんので、「照度=ルクス」のかわりに登場するのが「光合成有効光量子密度=PPFD」です。

PPFDの単位は、μmol/m2/S」。読み方は・・・マイクロモルパー平方メートルパーセカンド、です。光合成に効果のある光の粒が、一秒間に1mスクエアあたり、何粒届きますかぁ? ということです。
ちなみに、PPFDは、自分の畑の作物にどのくらいのPPFが届いてるか?  がわかるので、生産現場では一番つかわれています。






だからランプの効率のよさを比べる単位も、かわりました。発光効率からPPF効率へ。

一般照明には、蛍光灯から水銀灯、そしてLED、といろんな種類があります。そのランプが1Wの電力をつかって、どのくらい光を出せるか、というのが「発光効率=ランプ効率」でした。だから単位は、「ルーメンパーワット lm/W」です。

  1. 高効率HPSランプが、約120 lm/W
  2. MHランプが、約90 lm/W 
  3. 白色LEDが、約50 lm/W

くらいです・・・このように以前の栽培用ランプは「発光効率」で効率の良さを比較してました。


でも植物の光合成に必要な光は、「PPF=光合成光量子束」なので、栽培用ランプの効率は、「1ワットをつかって、どれだけのPPFを出せるランプなのかなぁ?」です。単位は「μmol/J(まいくろもるぱーじゅーる)」です。じゅーる? J=ジュールは、1Wが1秒間続いた時のエネルギー量です。
  1. 高効率HPSランプが、約1.8μmol/J
  2. 高効率栽培用白色LEDが、約1.5μmol/J
そして、SANlight LED本体のPPF効率は 2.5μmol/J、と、高効率のHPSランプをしのぐPPF効率の高さです。










次回に続きます・・・