と、いうことで
のつづきで、栽培用ランプを正しく評価するためのお話です。
最終的な結論として、きちんと育てることができる栽培用LED SANlight M30 、SANlight S2WとSANlight S4Wの自慢話へと、もちろんつなげさせていただきます。
HPSランプは、ランプ効率もPPF効率も、それはそれは優秀なのですが、
ムダになる光量子が多い=均一に光が当てられない。
HPSランプやMHランプは光が強く、栽培効果については一般的な栽培用ランプの中では、過去もっとも実績があり信頼できます。しかし、HPSランプやMHランプは放射熱が大きいので、植物への接近戦が苦手なうえ、さらにランプ本体のみが明るいので、均一にまんべんなく光を拡散させることが課題です。そのうえ、光が放射される方向はリフレクターまかせなので、広範囲に光を拡散させようとすると、どうしても植物以外の余分なエリアにピチャピチャと光が飛び散ってしまう宿命があります。
また、HPSやMHの放射できる光の色は青や赤が中心ですが、ランプの熱で葉っぱ表面の温度が上がりすぎたり乾燥しすぎたりすると、葉っぱはダメージを避けようとして、光合成を休んでしまいます(光阻害)。
ここですこしだけ、今までの栽培用LEDランプについても、振り返ってみようと思います。
PPF値が高くても、ちゃんと育たなかった初代LED。
ここで、初代栽培用LEDの光の色について、なつかしく振り返ってみようと思います。登場したての栽培用LEDは照度ではなく、すでにPPF値を重視してデザインされていたので、理論上は、ちゃんと育つPPF値のはずでした。しかし、果菜類など光が多く必要な野菜は、しっかり育たないという結果が出てしまいました。
初代栽培用LEDが、いまいち育てられなかった理由はいくつか考えられます。
ひとつめが赤色LEDレンズばかり使っていたからです。赤色LEDは、青色LEDよりも少ない消費電力で放射できるので、赤色LEDを多くすれば省エネでPPF値をかせげます。
理論上は、十分な光合成ができるPPF値だったのですが、植物は光合成のためだけに光を使っているわけではありません。伸びたり花を咲かせたりする植物ホルモンやフロリゲン、そして免疫力を促進させるためには、青い光はもちろん、光合成には使わない紫外線、赤外線も必要です。
さらに初期の栽培用LEDは、熱放射が少ないことも原因でした。室温が上がらないので換気がおろそかになり、せまい栽培エリアだと酸欠になることがあります。 また、室温が上がらないと根が動かないため、培養液の吸収量が少なく生長が遅くなります。光合成は、光、温度、CO2、この三つ揃わないとフル稼働できないため、季節によって育苗には寒すぎて生長がめちゃめちゃ遅くなって生長期間が長くなって病気にかかりやすくなった、ということもあります。しかも栽培効果が低いわりに値段が高い! というアンバランスさも不満足につながりました。
ならば、と青いLEDも入れてみた。「レトロ・レッドなLED」。
赤色だけで育たないLEDが乱立し、「青色LEDも必要だ!」となったとたん、青色も適度に取り入れたものの、LEDの宿命として光線がビーム照射されてしまうので、エネルギーが強い青色ビーム光のせいで、光合成効率があまりよくなくて・・・なんかまだやっぱり育たないね。となってしまいました。さらに、熱に弱いLEDレンズを守るための内臓ファンが先に壊れてしまったり、作動音が大きかったり・・・ということもありました。
全部の波長が入った、高効率の白色LEDは?
そこで、放射の角度をつけたり、光が拡散されるフィルターを使ったり、さらに「 赤と青だけでもダメなら、白色LEDならば? 」となりました。だいぶ育つようになったのですか、例えば、最新の発光効率がダントツに高いインテリア用白色LEDは、とても省エネで明るいのですが、目の安全のためにブルーライトをカットするフィルターなどが使われてしまうので、栽培に最適なスペクトラムとはいえません。
「じゃあ 何色のLEDがいいの? 」と思いますが、その前に植物が光合成できる光の色を実際にみてみましょう・・・
↓光合成色素が吸収できる光の色と吸収量。
*資料は、「光合成とはなにか by 園池公毅」 著より
しかし画像はオリジナルなので転載NGです。
↑を見ると、植物の光合成色素は、赤と青だけじゃなく、緑や黄色やオレンジも吸収できることがわかります。そして↓は、SANlightの光の色です。太陽と同じ可視光線、レインボーカラーが放射できるので、すべての生長段階に共通して使えます。 生長期ごとにランプを揃える必要はなく、生長段階にあわせてランプの距離で調整するだけでOKです。
500nmから600nmの青色から緑色エリアもきちんと放射できるLEDに照らされた苗は、人が見てもあまり違和感がありません。
主に赤色LEDと青色LEDのレトロ・レッドな光に照らされた苗は、ハイキーに見えます。植物が光阻害を起こし、光合成を休んでしまいやすい光の色は、青→白→緑→赤、というように、波長が短くエネルギーが大きい色の順です。
緑色の光は、実は光合成色素がよく吸収します。 ムダだと思われていた緑光も、じつは光合成のためにほぼすべて利用できる、ということがわかってます。さらにイチゴなど短日性植物は、緑色光が抵抗力を促進させるということもわかっていていて、減農薬と甘みアップができる栽培方法としてすでに普及しています。
SANlightは、接近戦に強く、狙ったエリアにだけ光が届く。
一方のSANlight は、LEDなので放射熱が少なく(本体温度が最高で80℃)、HPSやMHのように植物からウンと離さなくてはならないということがありません。 さらに照射角度を絞ることができる二次レンズ装着LEDなので、壁面など植物以外に光量子が飛ぶムダがなく、真下の植物は効率よく光量子を吸収できます。 つまり、むやみにワット数を大きくしなくても、きちんと育つのです。
SANlight LED の栽培効率の高さの理由は、これだけではありません。
例えば、同じPPF値がだせるHPSランプやLEDランプよりも、「SANlight で照らすと、エリア内で暗くなってしまうデッドゾーンができない」ということにつきます。その理由は、2次レンジ装着のLEDを広範囲にバランスよく配置しているからです。
デッドゾーンを作らない光の放射は、植物全体の葉っぱ全体が等しく光合成できるので、バテたり傷んでしまったりする葉っぱがなく、光合成を休みません。このことは、オランダの植物工場に関する最新研究によって、トップにだけ強い光を当てるよりも、多少弱い光でも、エリア全体にやわらかく均一に当てた方が、品質と収穫量があがることが証明されています。
ということで、栽培効果が高く信頼できる栽培用LEDとは・・・
- 太陽と同じ虹色のスペクトルが、栽培エリア全体にムラなく放射できるLEDレンズと配置。
- 同ワットのHPSランプと比較したとき、PPF値とPPF効率が高い。
- 高品質LEDレンズの発光力を活かしつつ、レンズ寿命も長くできる電子基盤。
- 使用パーツのすべてが確かな品質で故障が少ないこと。OEM製品は、製造ロットのたびに使用パーツが変わっていることが少なくありません。
- 栽培効果の高いLEDは、やっぱり人の目で見ても明るい!
なので例えば、放射角度が自在な SANlight M30 を暗くなりやすい壁面や中間の高さに置いて補光用ランプとして活用する、とか、温度を下げたい真夏は、1㎡スクエアにSANlight S4Wを2本、といったように、環境や条件で使い分けられることも魅力です。