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2024年9月6日金曜日

CANNA記事「栽培環境」収穫にこだわるなら飽差(ほうさ)、これがすべてさ。

 CANNAのサイトに新たな記事が更新されました。

「栽培環境について」パート1パート2 

今回の栽培環境では植物をとりまく光、温度、湿度、そして培地が、植物の育ち方にどう影響するのかの説明ですが、一言でまとめると・・・


「どのメーカーがいいのか悩むよりも、きちんと環境をコントロールしたほうが、はるかにはるかにはるかに効果高いよ〜!」です。そのために温度・湿度・光・培地・空気をどうすればよいか、がまとめられています。


栽培環境 パート1

  • 気孔を開かせる! それがすべて!
  • 気孔を開かせるための気温と湿度の関係
  • VPD=飽差(ほうさ)を制するものだけが最大の収穫を可能にできる


栽培環境 パート2

  • 根がカンタンに水分を吸える培地、吸えない培地。
  • EC値が高いと根は乾いていると感じるトリックの活用方法。
  • 酸素は大事
  • 根の吸収力と葉の蒸散量のバランスは草姿(そうし)で判断




収穫と品質にこだわるなら飽差(ほうさ)、これがすべてさ。

やっと飽差の重要性について語れるチャンスが来ました。で栽培管理する具体的な方法が紹介された当初、「作物の生育が見ちがえた! 」 「収穫率がぐんぐん上がった! 「しかもコストが下がった! 「もっと早く知っときゃよかった! 」とニッポンの生産者の方々から大反響が起こったそうです。

農業関連の方や施設栽培生産者の方々にとって、今ではかなり耳タコの「飽差(ほうさ)、英語ではVPD(Vapor Pressure Deficit)で、それを最大限にカンタンに説明すると「空気中にあとどれだけ水分が蒸発できる余裕があるのか」、つまり湿度を示す指標で、単位は欧米ではkPa(キロパスカル)、日本ではg/m3が使われています。


「   最適な飽差の範囲  」は、植物の種類や生長段階ごとにかわりますが、葉ウラの気孔が開いて水分を蒸散しつづけられる飽差範囲になるよう気温と湿度をコントロールしましょう、というお話です。









最大限の収穫を目指すにあたって、肥料よりも、光よりも、飽差が、なぜそれほど重要なのか? それは、葉の気孔を開かせるためです。

植物が光合成をする間、気孔が開いていないと水も肥料もCO2も思うように吸収しません。

そして葉ウラの気孔が開いて水分・養分・CO2をたくさん吸収できるのが、空気中の飽差が最適範囲になったときだけです。なので気孔が開いていないと、どんなにスペシャルなグロウライトを使っていても肥料や活力剤を与えていてもCO2を添加してあげても気孔が閉じてしまったら、根っこや葉っぱは動かず吸収しないので、与えてる効果が半減しちまいます。


気孔が閉じてしまう要因は、光が強すぎたり空気が乾燥しすぎていたり根が水分を吸収できなくなると気孔を閉ざして体内の水分をキープしようとします。その反対に、空気中の湿度が高すぎると気孔から蒸散した水分が入るスキマがないので、せっかく気孔が開いていても水分が蒸散されないので根が養水分を吸収するのをやめてしまう、ということもあります。この負の連鎖2パータンが起こらないのが、「   最適な飽差の範囲  」です。

最後に、飽差管理を最適にできている上で、さらにした方がいいことは・・・・
  1. 夜間も最適な飽差管理をつづけるとクチクラ層からの蒸散が促され、根が伸びやすくなり生長がよくなります。同時に花が咲いてから果実が実る開花期には夜間の温度を下げたほうがベターです。

  2. 湿度が上がりすぎたり下がりすぎて最適な飽差範囲から外れてしまったからといって、一気に冷たい|暖かい空気を取りこんで一発解決しようとするのは、ものすごく逆効果です。湿度がガツンと変わったとたん、気孔がしばらく閉じてしまうからです。すきま風のように外気を少しずつ取りこんで、なだらかになめらかに湿度を上げ下げして最適範囲にすすれば、気孔が開きつづけてくれるのでベリーベストです。

  3. 葉からの蒸散がつづくと培地の乾きが早くなったり培養液の減りが早くなります。
    かといって、ココ培地やポッティング・ミックス培土は、適度に乾いてから水やりしないと根が酸素不足になり逆効果です。与えた水分の50%が吸収されてから水やりのサイクルをキープします。

  4. 培養液に根が浸りっぱなしのDWCシステムでは、培養液の温度が30℃近くになってしまうと溶存酸素量が極端に減ります。DWCシステムは、もっとも根が酸素不足になりやすいハイドロ・システムであり、根が酸欠を起こすと、肥料成分を吸えない、細胞が軟弱になりヒョロヒョロと徒長する、やがてカビ病が発生する、根が茶色くポロポロと腐って終了。という負のスパイラルが起こります。いっそ真夏はDWCシステムを使わないのが賢いチョイスだと思います。