2017年5月23日火曜日

季節にあわせて選ぶ、使う。ハイドロポニック・システムその2 Flood & Drain

イチゴたちが、いっせいに色づき始めました。夏日が続くと、登熟するまでが、あっというまです。


















今年の2月にGETした「まんぷく2号」のイチゴ3株を、キャナ・ココ培地 + エアロポット6Lに植えたものを長方形のウッドプランターのなかにセットしました。そのままだとプランターのなかはスキ間だらけで乾きが早くなりすぎるので、スキ間と表面には「あく抜き ベラボン」の一番でかいチップをおしげなくドシドシと入れました。

春にイチゴの苗を買うと、花や果実がついているものが多いのですが、そのまま育てても、植え替えても、果実が大きくならなかったり、収穫が一回だけで終わってしまうことが多いのではないでしょうか? 花を咲かせている間のイチゴは、根の生長がほぼ止まるので、一般的な培養土だと根の活着があまりよくなくて逆にダメージとなってしまうので、そうなりがちです。

一方のココ培地はめちゃくちゃ根張りがいいので、あまり根を傷めないように植え替えれば、春に買った苗でも次々に花が上がり、しかも甘くなります・・・とはいえ、液体肥料とPK肥料 を与えているから、という部分が大きいです。

イチゴのように、なり疲れしやすい果菜類の栽培では、土壌でも一般的な培養土でも、一番果の収穫後からPK肥料をコンスタントにあげると次の果実も大きくなってくれて、栽培に自信がつきます・・・ただし、濃く与えると葉が焼けたりしますので、薄めを回数多く、がベストです。 



さて、夏にまけない植物を育てるために、おすすめなハイドロポニック・システムのひとつといえば、「Flood & Drain 〜フラッド & ドレイン〜 システム」です。
北米では「Ebb & Flow システム」ともいわれます。



























フラッド&ドレイン・システムの特徴について、もう一度ご紹介しておきます。

  1.  エアロポニック・システムのようなパーツ数が多くセッティングが難しいシステムと比べると、シンプルな構造なので、設置コストとランニングコストが高くない。

  2.  栽培管理のマニュアルがシンプルで簡単。

  3.  培養液のpH、EC値が変化しにくいシステムなので、培養液の取り替えは7日〜14日に一度ほどですむ。

  4.  根に酸素が多くなるので、多収穫になり、夏バテにも強くなる。

などです。
そして、なによりも一番重要なことは・・・

そのシステムにあったマニュアルをきちんと理解して、実行しましょう!  」
と、いうことです。

既製品のハイドロポニック・システムは、DIYよりもコストがかかる一方で、デザインや使い勝手が洗練されていて安心感がバカでかいのですが、正しいマニュアル通りにシステムを動かさないと、ほぼ意味がなくなってしまいます!


フラッド&ドレイン・システムのマニュアルを正しく守れば、難易度が高めなパプリカも、この通りスズナリに・・・








































では、フラッド&ドレイン・システムの正しいマニュアルです。 根が培養液にひたひたに浸る時間(フラッド・タイム)をできる限り短くするように動かすことが、このシステムのメリットを最大に引き出すポイントです。












  • メインの培地は、必ずクレイ・ペブルスにします。
    ロックウールは保水性が高すぎて乾くまでに時間がかかり、根の酸素量も減ってしまうし、pH値を少し上昇させるので、このシステムのメリットを最大にはできません。発芽や挿し木用の培地にロックウールを使う場合は、収穫まで使用するファイナル・ポット体積の5%〜15%以下の大きさのロックウールにするのがベストです。
    例 : ロックウールミニ・ブロック( 0.2L ) + ネットポット200X130mm( 約3.6L )



  • フラッド&ドレイン・システムは、リザーバータンクから培養液を汲み上げる「フラッド・サイクル」を定期的に繰り返して、植物に培養液を吸わせますが、1日あたりのフラッド・サイクル回数がすくないほど、そして、フラッドとフラッドの間の時間を長くとるほど、根に酸素が豊富になり、このシステムのメリットをぐんぐん引き出すことができます。

    つまり、「 クレイペブルス培地が、ほぼほぼ乾いてしまわない程度、ギリギリ植物がしおれない程度に、やっとフラッドさせよう 」という程度なので、1日あたり昼間の時間だけ最大で5回ほどで十分です。 基本的に夜間のフラッドは、培地内の空気の入れかえのためなので、1〜2回だけでOKです。
    フラッド一回につき、水中ポンプを動かす時間は、たったの3分くらいです。なので、分きざみで電源のOn/Offができるデジタルタイマーでポンプを動かします。
    フラッド時に、上段の栽培トレイに培養液が汲み上がってきたら、水位の高さをきめるスクリーンから排水が始まったらすぐに、フラッドが止まるようにポンプの作動分数を決めてください。 ポンプが動き出してから、ポンプが止まって栽培トレイから培養液がすっかり抜けるまで、の全プロセスに10分以上かからないようにすることがポイントです。

  • 培養液のリザーバータンクが大きい方が、メンテナンスがカンタンになります。万が一、タンクを設置した場所の床が抜けないように注意してください。
    また、培養液をフラッドする水中ポンプは、このシステムの「カナメ」です。もし故障すると植物は枯れます。 長く伸びた根がフラッドぐち、ドレインぐちを詰まらせても、アウトです。

  • リザーバータンク内の酸素量は、あまり気にしなくても大丈夫ですが、有機活力剤をたくさん入れると淀むので、気をつけます。エアーポンプを入れるとpH値があがるので、翌日のpH値を気にしてください。
    そして、水温は気にしなくてはなりません。冬はサーモヒーターを入れ、夏はリザーバータンクにファンで風をあてるなど、工夫するとGOODデス。



と、いうことで、「フラッド&ドレイン・システムを実際に持ってる、使ってる」、という人じゃないと、ピンッとこない説明かもしれませんが、くれぐれぐれも、クレイ・ペブルス以外の培地をたくさん使っちゃってる、フラッドしすぎちゃってる、フラッド長くやりすぎちゃってる、という方は、根が茶色くなりやすいので、それも目安にしていただきたいところです。

フラッド&ドレイン・システムなのに、「 なんだか植物が徒長気味にそだっちゃってる! 」と感じる場合も、フラッドしすちゃってる、というわかりやすい目安です。回数と分数を減らしてみてください。


フラッド回数と時間が最適だと、勝手によく育って、勝手にたくさん収穫できますよ〜!