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2025年6月4日水曜日

CANNA記事 「ハイドロポニック栽培: 薄膜型養液栽培(NFT)」

 CANNA日本サイトに記事がアップされました。

「ハイドロポニック栽培: 薄膜型養液栽培(NFT)」


NFTハイドロポニック・システムを構成する主なパーツは、

  1. 苗を固定するための栽培トレー(NFTチャネルや塩ビパイプ)
    細長く底が平らな「NFTチャネル(ガリーともいいます)」とよばれる栽培トレイがもっとも適していますが、このシステムを自作する人も多くDIYのNFTシステムで最も多く使われているのが塩ビパイプにネットポットと同じサイズの穴を開けた栽培トレーです。

  2. ネットポットにセットした苗と培地
    NFTシステムでは培地をほとんど使いません。DWCシステムのように根のほとんどを培養液にダイレクトに浸します。
    なのでネットポットの底から苗の根が伸び出してからNFTシステムにセットしないと根が培養液にコンタクトできず萎れてしまいます。とくにDIYのNFTシステムは、この段階でつまずくことが少なくありませんが、既製品のシステムはこの辺りの問題が起こらないよう設定されています。

  3. 培養液をためておくリザーバー
    葉もの野菜では一株につき3ℓ前後、トマトなど果菜類は一株につき5ℓ前後必要ですが、水分の蒸散などを考慮して必要な培養液量の約1.5倍容量のリザーバー容器が必要です(1〜2週に一度培養液を全て交換)
    例 : 葉もの野菜レタス10株X3ℓ=約25ℓ 必要なので30〜40ℓのリザーバータンクが必要。

  4. 培養液を栽培トレーに汲み上げる循環ポンプ +予備のポンプ=合計2つ
    NFTハイドロポニック・システムは、培養液を栽培トレーに24時間汲み上げつづけないと苗がすぐ萎れてしまいます。なので循環ポンプというパーツが故障で止まってしまうと、野菜が全滅してしまうリスクが高くなります。しかしモーターを使う電気製品は、継続使用で故障しやすくなったり、夏場はモーターの発熱で培養液の水温をあげてしまうこともあります。なのでリザーバータンク内には循環ポンプを2つセットしタイマーで交互に作動させる、などの工夫がとても大切です。

  5. リザーバー内の培養液に空気をおぎなうエアーポンプ
    培養液1リットルあたり1〜2L/minの吐出量が必要です。
    タンク容量     推奨吐出量(目安)
    20L                 20〜40 L/min
    40L                  40〜80 L/min
    100L              100〜150 L/min

  6. CANNA AQUA など 再循環システムに適した肥料
    根が常に培養液に浸っているNFTシステムでは、培養液のpH値、EC値、水温などのメンテナンスは毎日必要です。再循環システム専用に開発された
    CANNA AQUA ヴェガ(生長期または葉もの野菜専用)CANNA AQUAフローレス(開花期専用) は、培養液のpH値が最適範囲から外れにくくメンテナンスがとても簡単になります。





最後にNFTシステムでのおおまかな栽培管理ポイントです
何よりも大切なことは、欲張らないことです。特に果菜類は、
苗の頃はたやすく見えても
果実が実る頃になると1メートル以上に育ち、一般家庭で5株以上育てると手に負えなくなります。


養液が流れる厚みが ほんの1mm〜3mmになるようにNFTチャネルの傾斜角度と流量を調節します。システム本体は、完全に水平な場所で設置しなくてはなりません。NFTチャネルから排水された培養液は、再びリザーバータンクにもどりNFTチャネルへとくみ上げられます。NFTシステムは、培養液を再循環させるハイドロポニック・システムです。

一 般的なNFTシステムは、チャネル、またはガリーと呼ばれる細長く底面が平らなパーツにプラントを植え、リザーバータンク内の水中ポンプで培養液をくみあ げてチャネルに流しつづけます。プラントの根元は、スポンジ、ロックウールやクレイ・ペブルスなどとネットポット内で支えます。

プラントの根は、培養液の流れにそって、NFTチャネルの底面で平らなマット状に発達します。ごく薄い培養液の表面でプラントの根は、肥料、水分、そして空 気を豊富に吸収できるため、根の発達と生長が早く、多収穫になります。また、システム設置が複雑ではなく、栽培管理がカンタンでランニングコストが安く多収穫になるため、既製のNFTシステムならばビギナーにも向いています。

一方で、培養液の流れが深すぎたり速すぎたりすると、根に酸素と肥料の欠乏が起こり、根ぐされや収量減につながりますが、基本的なマニュアルに沿って栽培をおこなえば、栽培効率とランニングコストとにも非常に優れたハイドロポニック・ システムであるため、オーストラリアでは商業用施設栽培でさかんに取り入れられています。

培養液を流す水量は、約1リットル/毎分が一般的です。こうなるように培養液を流しつづけるためには、NFTチャネルに「1:40」の勾配(1mにつき25mm傾斜)をつけることが望ましいとされています。
培養液の水量が約2リットル/毎分を超えると、根が肥料を吸収できなくなります。また、チャネルを長くしすぎると排水口付近のプラントに肥料が欠乏します。

NFTシステムのポイントは、培養液をたいらに、ごく薄く流すことでプラントの根が酸素を豊富に吸収でき、早く生長し収穫量が豊富になることです。しかし、底の浅いチャネルでキュウリやトマトなど果実が実るプラントを育てると重みでチャネルが凹み、内部の空間がせまくなるので酸素欠乏が起こります。栽培したいプラントの種類によって、慎重にNFTチャネルのサイズを選び、あらかじめ支柱の準備や誘引方法を決めておく必要があります。

一方で、塩ビパイプなどの円筒形のパーツでつくるNFTシステムを DFTシステム(Deep Flow Technique)といいます。

底が丸いパイプでは、プラントの根がルートボール状に発達するため、根の内部で酸素欠乏が起こりやすくなります。それを防ぐためには、24時間タイマーなどで2つのポンプを時間差で作動させ一定間隔で培養液の厚みが1mmになるように流量を変化させるか、一定間隔で水中ポンプのスイッチをOFFにし培養液の流れを止めるなどして、根への酸素供給量をふやす工夫をします。


これがすべてのNFTハイドロポニック・システムにあてはまるわけではありません。たまに市販のシステムについて質問を受けますが、メーカーごとに正解が違いますので、かならずNFTシステムを購入した店舗で確認してください。