2013年9月24日火曜日

The Power of KOYASHI!

つい先日のことです。「葛飾区郷土と天文の博物館」で行われていた特別展「肥やしの底力」にいってまいりました。
特別展時エリアは撮影禁止ということで、展示物の撮影はできませんでした。が、どんな主旨の展示内容だったかと言えば・・・

http://www.museum.city.katsushika.lg.jp/exhibition/past-exhibition/2013-08/

「江戸時代、世界最大の都市といわれていた江戸。田園都市でもあった江戸の町は緑地帯や農村を町の内部や周辺に持っていました。葛飾区はその周辺の農村の一つとして発展してきました。
江戸周辺の農村の役割の一つは、町に住む人たちに野菜などの食糧を供給すること、そして町の生活廃棄物を「肥やし」という形で使い、環境を衛生的に保つことでした。

 博物館では、平成16年度に特別展「肥やしのチカラ」を開催し、葛飾区が江戸の町から排出される人糞尿を下肥として利用し、質の高い野菜を生産して町の人たちに還元してきた歴史を紹介しました。
今回の特別展、「肥やしの底チカラ」は前回の「肥やしのチカラ」をさらにグレードアップし、新たに発見された資料をもとに、江戸・東京と近郊の農村の間の下肥を通じた交流を明らかにします。」





















その昔、江戸の葛飾区から近隣の埼玉県にかけては、育てた野菜やお米をお船に乗せて綾瀬川をくだって江戸の台所を支える田園都市として発展したんだそうで。


そして、当時世界最大の都市だったといわれる江戸の人々のお便所にたまった下肥は「葛西船」とよばれる「下肥運搬船」で肥料として買い取られ、この地域で育つ野菜たちを育んでいたんだそうです。※当時、農民たちはお金を払って、お屋敷から「下肥」を購入していたんだそうで、お奉行に「下肥をもっと安くしてくれ!!!」という嘆願運動も起こっていたそうです。
















同じ江戸近郊とはいえ、江戸西郊にあたる中野、世田谷、そして多摩丘陵にのっかった八王子や川崎などの多摩地区では山林が豊富なので、おもに植物や米ぬかを発酵させた堆肥が肥料の主役だったそうです。(とはいえ、当時大山道とよばれた国道246号が下肥を運搬する街道だったことは有名です。)


ちなみに「葛飾区郷土と天文の博物館」のプラネタリウムはクオリティーが高く、「どうせ寝ちまうだろう」と思ってトライしてみたら、ナレーションもステキで思いのほかオモシロかったです。



























江戸時代の野菜たちは、堆肥や下肥などの100%有機肥料で育てられていたそうですが、時代がうつり変わり戦後になると、次第に化学肥料が主流となっていったということでした。ここで展示されていた「ネギの栽培」についての記述が気になりました。その地域の特産品であったネギは、毎年の収穫後に品評会がおこなわれ、評価の高いネギをだした農家さんは尊敬されたそうですが、その農家さんは決まって化学肥料ではなく下肥を使っていたそうです。

だからといって、ついよくばって下肥をたくさんネギに追肥しすぎるとネギの葉っぱが焼けてしまうし、ビビって控えれば丈がスンナリ伸びないし・・・と、その加減が農家さんの腕の見せドコロだったそうで。





耳ざわりのよい「オーガニック肥料」だって、与えすぎれば植物が負けてしまうし土も腐ってしまいます。しかも現代では「オーガニック肥料原料」は世界中で生産、輸出されていて、生産した国によっては軽・重金属などで汚染されていないとも限りません。


かといって、クリーンな水耕栽培や養液栽培の野菜は、糖度が高くなるほど硝酸イオン値も高くなる場合があります。出荷の回転率を考えればホビーガーデニングではあたりまえの「収穫前の肥料抜き」が十分できないことも多々あるかと思います。

ということで、江戸時代の農業は、理想的な循環型農業に近いものだったと思いますが、害虫発生からの感染病の拡大や、喉にのぼってきた寄生虫で窒息してしまったというお子さんもいたようです。




























「肥やしの底力」が開催されていた葛飾区郷土と天文の博物館から、車で足を伸ばすと「男はつらいよ」でおなじみの帝釈天があって、「源公」が鐘をつく姿がマブタに浮かびます・・・
























昭和世代に有名な「うわさ話をしていると、主人公が最悪のタイミングで帰ってくるおダンゴ屋とらや」さんは、今もお元気に営業中。


























ということで「ムダがなくってオイシかった、究極の循環型農法で育てられた江戸時代の野菜たち」に思いをはせながら、改めて「オーガニックorインオーガニックよりも、使う量とバランスが大切なんだな!」と思いました。