2013年12月19日木曜日

循環式ハイドロポニック・システムでのトマト栽培

昨日の予報は午後から雨か雪、の関東でした。川崎ではかろうじて雪は降りませんでしたが、目がうつろになるほどの凍える寒さとなりました。

室内栽培で育てはじめたミニトマト「千果」ですが、本日は「循環式ハイドロポニック・システムGEMINI」で育つ苗のご紹介です。肥料は循環式システム用に開発されたCANNA AQUAをつかってます。




























循環式ハイドロポニック・システムってのは、リザーバータンク内の培養液をくり返しドリップして植物に水分と肥料を吸わせる原理で、培養液をドリップするので「ドリップ・システム」に分類されます。


ドリップ・システムに分類される代表的なものには「循環式システム」と、「かけ流し式システム」の2種類があります。

GEMINIのように、循環ポンプで培養液をくみあげて培地にドリッブし、培養液がリザーバータンクへ落ち、そこから再び培養液を循環させるか、または、エアーポンプの空気圧で培養液を押し上げてドリップするエアーリフトタイプの「 循環式システム」と・・・

培養液を培地にドリップしたあと、リザーバータンクに戻さず捨ててしまう「かけ流し式システム」があります。

循環式システムには、スキマが多くて保水性が低く培養液を劣化させたり肥料バランスをくずさない培地・・・つまり、クレイペブルス培地がベリーベストです。




かけ流し式システムは、同じ培養液を二度と使わないので、保水性と保肥性が高い培地・・・ココ培地でもポッティング・ミックス培土でも・・・そして実はロックウール培地もかけ流し式システムがベリーベストです。









さて、クレイ・ペブルス培地をつかった循環式ハイドロポニック・システムでの管理のコツは、なんといっても「ドリップするのは一日でほんの数回」ということで、これはフラッド&ドレイン・システムと同じです。

というのも、植物の根っこは「培養液のドリップがとまって、ほどよく培地が湿っている + 空気がたくさんある状態」のときに、肥料と水分をいっぱい吸える、からです。


なぜかといえば、根っこが水分と養分を吸うためには酸素が必要なので、水に浸っていると圧倒的に酸素が吸えないので、ドリップがとまって培地が少しずつ乾きつつつある時に培養液の吸収量がマックスになる、からです。


そんなこんなで循環式システムの栽培ポイントをまとめると・・・



保水性の少ないクレイペブルスをチョイスすることがベストなので、循環システムで発芽からスタートさせることは困難です。ちいさなロックウール培地で発芽させて、根っこが培地の底からはみ出してきたら、5cm角か10cm角のひとまわり大きなロックウール培地に植えまししてから、循環式システムにセットします。これがイチバン確実でカンタンだと思います。

苗が小さなころは、1日にたったの1回、15分間だけ培養液をドリップ、でOKです。しかし、夏場などで培地の乾燥が早すぎて苗がシオれてしまう時は、ランプ点灯時間帯にドリップ回数をもう1回ふやしたほうがよいと思います。


だんだん大きくなってきたら、1時間おきに15分間だけドリップするのが一般的ではありますが、クレイペブルスをたくさん使う大きい循環式システムの場合は「4時間〜5時間にたった1〜2分間だけのドリップがイチバンいいんだ」、というガーデナーもいます。

このあたりの、なんともアイマイな説明に関しては、「クレイ・ペブルスの量と乾く早さと植物のコンディションを見ながら、最終的には自分で決めてください」ってことです。




























たとえば、ドリップ回数を少なくしていて、水切れで苗がシオれてしまうならドリップ回数を増やした方がいいし、ドリップ回数を多めにしていたら、根っこが茶色くなったり花が咲いても実がならないなどの酸欠症状がでれば、ドリップ回数を減らした方がいい・・・って感じで判断したらいいと思います。

ところで、葉っぱがシオれた時はいつでも水が足りないとはかぎりません。根っこが傷んだり腐ったりして水分を吸えなくなった時も葉っぱはシオれてしまうので、水切れだと思ってドリップ回数を増やすと逆効果です。水切れでシオれるときは、葉っぱだけでなく茎も一緒にシオれます。





培養液の管理は、1週間〜2週間ごとにリザーバータンク内をすべて取りかえるか、数日ごとに2リットルずつ培養液を入れかえるか、どちらかをおこないます。
培養液を取りかえた翌日は、生長がさかんな時ほど老廃物でEC値がすこしだけ上がるはずだし、肥料バランスがすぐに崩れるのでpH値も変化しやすくなります。リザーバータンクの容量が大きくなるほどpH値とEC値は安定しやすくなりますが、EC値がおなじでも肥料バランスは崩れているので、定期的に培養液を交換した方が無難です。
また、培養液を交換してから一週間経っていないとしても、pH値が5.5〜6.5くらい(これは肥料メーカーによってちがいます。)から2回目に外れたら培養液をすべて交換した方がいいです。

あと、クレイペブルスの表面に白く肥料が固まってしまうような時は、培養液でクレイ・ペブルスをいったん洗い流します。んがっ!!! 培地に肥料が固まってしまう時は、植物が肥料を食べ残しているってことも原因のひとつなので、肥料濃度を濃く与えすぎてないかも、チェックしなおした方がよいかと思います。

循環システムには循環ポンプをつかうので、ポンプが空中で空回りしてしまうことがないように、培養液の量をまめにチェックして継ぎ足しをおこないます。



気温が10℃以下になってしまうような場所では、サーモヒーターなどで培養液を温めてからドリップしたほうがいいです。低温障害で葉っぱが紫色になってしまうような場合は、夜のあいだも温めた培養液を1時間ごとに15分間ドリップをくり返す、という解決策もありますが、ドリップ回数が多すぎると根ぐされなどが起こりやすくなります。

一般的に、植物は花を咲かせると根っこの生長が衰えます。この時に根っこに酸素が足りなくなると急激に根っこが茶色くなり、ボロボロとちぎれたりしてしまいます。

ドリップ回数が多すぎると根が傷みやすいケースは、水温が高くなる夏場ですが、植物の種類でも起こりやすくなります。
例えば、キュウリなどのウリ科、イチゴなどのバラ科は、根っこのまわりに空間があって酸素がたくさん吸える状態じゃないと花が咲いてからドロドロと根っこが老化しやすいです。なので、個人的にはイチゴ栽培はココ培地がイチバンお気に入りです。

トマトは根が酸素欠乏にわりと強いのでドリップ回数がすこし多くても、根っこが培養液に浸かりっぱなしのエアロスなどのDWCシステムでも問題なく育てやすいです。
なので、育てたい植物は、酸素がいっぱいないと正常に育ちにくいのかどうか? ということをあらかじめ調べてから、どのハイドロポニック・システムがベストか? ココ培地なのか? いやいやポッティング・ソイルなのか? などの栽培方法を選ぶと、あとあとラクチンだと思います。