2025年9月25日木曜日

CANNA記事 ツールを使いこなして、植物を望む方向へみちびく「生育制御」

 キャナ・ジャパンに新たにアップされた記事、

ツールを使いこなして、植物を望む方向へみちびく「生育制御」

についての説明です。



ざっくりばっくり説明すると、培地の水分量と培養液のEC値で、植物の生長傾向をコントロールできるよ、ということです。

根が湿っていると感じる(=培地の水分量が多いか、EC値が低い)と、葉や茎を伸ばす生長期モード(栄養生長)になって、

根が乾いていると感じると(=培地の水分量が少ないか、EC値が高い)、花を咲かせて果実を大きくしようとする開花期モード(生殖生長)になる。

シンプルに培養液のEC値を低くするか高くするかでもOKで、このトリックをつかって、よりよい収穫をめざせます。


この生育制御ツールは、もともとオランダのロックウールメーカーが施設栽培者向けに開発した栽培ガイド「6-phaseモデル」というものです。しかしこれをまるまる日本のインドアのホビーガーデニングに落とし込むと、水やりのしすぎになります。なぜなら、施設栽培の水やりサイクルには、夜間にも自動ドリップで水やりするからです。



CANNA COCO A/B肥料とCANNA COCO培地のラインナップで説明します。

前提として6-Phaseモデルの前提であるVPD(飽差)=0.5〜1.5 kPa の範囲での培養液の水やりサイクルの一例です。


「は? VPD???」と感じるでしょう。 

下の表の避けるべき危険ゾーン以外の色の部分がVPD(飽差)=0.5〜1.5 kPa の範囲にあてはまります。


気温20℃〜26℃が最適な温度範囲なので、それに相当する湿度のうち生長期は60%〜80%、開花期以降は40%〜60%が良いと思います。下は、上の画像の数値だけ抜粋したテーブルです。

生長段階 期間目安 EC合計 (mS/cm) 水やりする時 与える量/10Lポット 水やりサイクル 目的・補足
幼苗期 3〜5日 1.1〜1.5 40%減 4.0 L 週1回程度 過湿を避けつつ根の活着を優先
生長前期 0〜3週 1.3〜1.7 40%減 4.0 L 週1〜2回 根の探索促進、葉茎を伸ばす生長期の管理
生長後期 2〜4週 1.5〜1.9 40%減 4.0 L 2〜3日に1回 樹勢維持、生長期のピーク期間
開花期❶ 2〜3週 1.8〜2.2 50%減 4.0 L 2日に1回程度 開花期にスイッチ、花芽・着果を促進
開花期❷ 約1週 2.0〜2.4 50%減 4.0 L 1日1回 果実肥大ピーク、吸水がさかん。PKを与える時期
開花期❸ 2〜3週 1.4〜1.8 50%減 4.0 L 2日に1回 樹勢調整、果実肥大と品質維持
収穫期 1〜2週 0.4 40%減 3.5〜4.0 L 週1〜2回 根を守りつつ収穫を終える、EC値を落としてストレス回避


このツールの活用方法は、記事でもまとめられている通り、

「 たとえば、生長期後半にいちどだけ培地を乾かし気味に管理し(またはEC値を高める)、花芽誘引をおこない、そのあとは「生長期型」の管理(EC低め)に戻して、花や果実を大きく育てようとするグロワーもいれば、生長期と開花期は、それぞれの生長段階に合った水やり方法を好むグロワーもいます。また、栽培期間を通して同じ管理を続けるシンプルな方法を選ぶ人もいます。

ゴール(収量重視か品質重視か)や栽培規模によってベストな管理方法をチョイスしてください。」ってことです。

2025年9月18日木曜日

ひぇ〜! イネかと思ってたらヒエでした。

 こんなこともあるんですねぇ。ウスウス気が付いてましたけど。これはヒエです。しかもイヌビエです。水稲を育てていたつもりが、いつの間にかヒエに変わってました。葉の節にヒゲが出てこなかっので「これはきっとイネじゃないな」と思ってましたが。




イヌビエは、水田で必ずと言っていいほど生えてくる雑草なうえに、稲を収穫する時期の前に田んぼにタネを落として、しかも食用に向かない。



スズメやシジュウカラなどには人気があるそうなので、登熟したら収穫して冬のあいだ野鳥たちにふるまおうと思います。ジメジメとした水はけの悪い土壌の団粒化をうながし、他の植物が根を張るのを助ける効果があるので、緑肥として毎年出てきてくれれば良いとも思います。


ゲリラ豪雨が当たり前のようになってしまった昨今、斜面に接している家屋では緑肥を育てて水はけをよくするとともに、土が流れないようにしておくことがとっても大切だと身に沁みて感じた経験があります。

いつの年か、雑草がキレイさっぱり刈り取とられた翌週にゲリラ豪雨がふってしまい、むき出しになった斜面の土が、どんどん敷地に流れおちてきて汗だくで土を取りいた苦労は今でも忘れません。かといって緑肥の種子をエンドレスに毎年購入しつづけるのもコストがかさみますし、定着してくれたアカツメクサなどのクローバーは、イネ科の植物ほど根が深く張りません。ですのでイヌビエが毎年勝手に生えてきてくれれば、助かるなと思います。冬のあいだ野鳥や野生動物のエサにもなるかもしれませんし。


昨年秋から室内で育ててきたミニトマトたち。長くなった主茎を切りつめたところ、9月にやや涼しくなってきたタイミングでまた復活してきました。トマトは一年草ではないので、8月の間の猛暑で枯れ込んでしまって見えても、根が残っていれば秋からまた復活してくれる可能性があります。今年の秋もしばらく暑さが続くそうなので、きっと年内に収穫できると思います。






2025年9月11日木曜日

CANNA記事 CANNAはLED、HPS、太陽光、すべての光環境でパーフェクトな結果!


技術が進化しても、植物に必要なものは変わりません。植物にとっての必須肥料要素は、いつの時代も変わらないのです。CANNAは、科学的に効果が証明された、どんな栽培光環境にも対応できる完璧なバランスのベース肥料を35年以上にわたって提供しています。

「グロウライトは、LEDが主流となりましたが、LED専用の肥料を買い足す必要はありませんよ。CANNAのベース肥料は、すべての光源で最高の結果をもたらします。」

とCANNA JAPAN オフィシャルサイトで説明されています。



電気エネルギーを高効率で光に変えるLEDは、HPSやMHよりも葉面温度が上がりません。そのため環境温度があがりにくい冬にLEDで育てると、カル・マグが欠乏しやすいと良く報告されます。もちろんカルマグを多く与えることも解決策なのですが、欠乏症が改善しないからと、あせってカルマグをたくさん与えすぎるとカリウムやリン酸など開花期に重要な栄養素の吸収が妨げられてしまいます。




寒い時にLEDグロウライトで育てる時は室温を上げて環境を調整するか、それが難しいなら培養液のEC値を上げればいいんだよ! LED専用肥料は買わなくてもいいよ!

ということです。さらに詳しくは、この記事で確認できます。

LEDグロウライトにおけるCANNA肥料の 最適な電気伝導率(EC)管理

以前の植物栽培専用グロウライトといえば、MH(メタルハライド)やHPS(高圧ナトリウム)などのHIDランプが当たり前でしたが、現在はLEDグロウライトがポピュラーになりました。




LEDライトでの栽培とEC調整 

HPSランプに比べ、LEDライトで育てると葉の蒸散量が少ないため、それに沿った培養液のEC(電気伝導率)調整が必要です。以下のポイントを参考に、最適なEC管理を行いましょう。:

低めの気温では、EC値を高めに設定 :

LEDライトで加温なしの栽培をする場合(HPSランプよりも低い温度)、培養液のECをわずかに上げます。水分吸収が減っても植物が十分な肥料を吸収できるので、低温下での蒸散不足による肥料欠乏を防げます。
例 : HPSランプでの栽培では通常EC値 2.0で最適であれば、LEDライト栽培(加温なし)では EC値を 2.2〜2.4 に上げてください。

高めの気温では、EC値を低めに設定:

LEDライトであっても、HPSランプよりも(かなり)温度が高い場合は、水分の蒸散量が増えるため、肥料焼けと浸透圧ストレスが起こりやすくなります。これを防ぐためにECを低めに調整します。
例 :  HPSランプでの栽培では通常EC値 2.4で最適であれば、LEDライト栽培(加温あり)では EC値を2.0〜2.2 に下げてください。

栽培環境が同じなら、EC値も同じに設定:

HPSとLEDの栽培環境が同じ温度・湿度であり蒸散率も変わらない場合は、EC値を同じにしてください。つまりゴールは、植物に常に一定の肥料を吸収させることで、そのために栽培環境の変化に合わせて培養液のEC値を調整することです。





2025年9月1日月曜日

CANNA記事 一般的に利用されている園芸用微生物の種類と効果

 CANNA JAPAN オフィシャルサイトに新しい記事がアップされています。

一般的に利用されている園芸用微生物の種類と効果



植物と養分などのやりとりをしたり、免疫を強化して、互いにメリットをもたらす共生関係にある菌類、微生物、バクテリアを「園芸用微生物」とか「有用菌」とか「土着菌」とか、よびます。

キャナ・ジャパンのサイトでは、代表的な「園芸用微生物」として以下の3つが説明されています。

  1. 菌根菌 = 植物の根の内部や表面に共生し、根から糖分(炭素源)を受け取る代わりに、根が届かない土壌中に菌糸を広げて、リン酸や鉄、亜鉛などの固定化された栄養素を溶かして植物に供給します。特にリン酸の少ない環境でその効果が顕著です。


  2. トリコデルマ菌 = 糸状菌(カビ)の一種で、リン酸などの難溶性養分を有機酸によって可溶化する能力があり、さらに根腐れ菌などの病原菌に寄生したり、抗菌物質を分泌したりして病害を抑制します。


  3. 根粒菌 = マメ科植物の根と共生し、「根粒」と呼ばれるコブを形成します。その中でリゾビウム属などの細菌が空気中の窒素(N₂)をアンモニアに変えることで、植物がチッソ養分を得られるようになります。


日本の民間農法では、これらの植物の生育に有利な働きをする自然由来の有用微生物群を総称して『土着菌』と呼んでもいます。『土着菌』は、森林の落ち葉層や腐葉土に自然発生し、人の手を借りずとも有機物を分解し、生命の循環を支えています。

『土着菌』
に含まれる微生物には、

・細菌 (枯草菌や乳酸菌など)
・放線菌 (ストレプトマイセスやアクチノプラネス)
・カビ(糸状菌、コウジカビ、ムコールなど)
・酵母
・光合成細菌

などがあり、その中から特に、植物へのメリットが大きな菌や繁殖力が強い菌が選ばれて、農業用資材(ボカシ肥・堆肥スターターなど)として活用されています。

かつて日本では、トイレが水洗になる以前、下肥(しもごえ)や落ち葉などを活用し、ボカシ肥を中心とした自然循環型の農法でさまざまな作物を育ててきました。なので「園芸用微生物の利用が最先端の農業だ!」とか「バイオスティミュラントが熱い!」とか言われても、「何をいまさら・・・」とポカンな部分もあります。

しかしながら、肥料や農薬の使用を抑え、環境への負荷を軽減しながら、栄養価が高くおいしい農作物を効率よく収穫するためには、園芸用微生物(有用菌資材)の活用は現代でも大きな意味があります。

その土地の風土でずっと栽培されてきた伝統野菜などの固定品種は、微生物と切っても切れない強力な共生関係を築いているので、肥料をたくさん入れなくも毎年きちんと育って収穫ができます。

しかし、肥料成分が十分に得られるハイドロポニック栽培環境で育つ植物は、これら有用菌類の働きがなくても早く大きく育ち、たくさん花を咲かせることができます。とくに、品種改良されたF1品種の野菜や花苗は、根域微生物との付き合いが下手だといわれます。

ココ培地ポッティング・ミックス培土など有機質の培地では、微生物が定着しやすいのですが、とはいえ1年以内で収穫を終わらせる短期収穫が大前提なので、微生物を定着させる意味が薄くなる実情があります。

そのため、ハイドロポニカリーな栽培での園芸微生物資材とは、微生物そのものを繁殖させる目的ではなく、植物ホルモン・アミノ酸・菌体残渣(菌の死骸)・抗菌成分など、微生物の代謝副産物(ポストバイオティクス)を活用する目的が中心です。

ココ培地ポッティング・ミックス培土を問わず、すべての培地で、ピシウムなど根腐れ病が発生しやすくなるのは真夏だといわれますが、しかし実際には、病気が発生する前段階で水のやりすぎや培地の温度が高くなるなどが原因で、すでに根が酸素不足(酸欠)によって変色し始めているケースが非常に多いと言われています。
このため、微生物資材が手元になくても、季節に応じた栽培方法や環境のコントロール(温度・酸素供給・養液管理)を適切におこえば、多くの病害虫の発生は未然に防ぐことが可能です。