さて、いよいよ緊急事態宣言が出されました。おウチにいる時間を少しでも充実させるべく、皆さま色々工夫されているかと思います。
世界中の時事ネタや、英語(主にスラング)のお勉強にもなる9gag.comで、ポピュラーなカテゴリーにJAPANがあるのは、なんとも誇らしい気持ちになります。海外の方にしてみたらニッポンの日常は、とてもエキセントリックに感じるんだろうと思います。
培地について
その3 : クレイペブルス(ハイドロボール)
粘土を高温で焼成して発泡させたクレイペブルスは、有機成分をふくまない無機質で不活性な性質です・・・? つまり水に浸しておいても水質が変化しないので、肥料の培養液を長時間安定して保つことができます。クレイペブルスは、培養液をくりかえし循環させる「再循環式ハイドロポニック・システム」をはじめ、エアロポニック、DWCでも安心して使える培地です。
クレイペブルスの特性は :
- 原料は 粘土
・ - 生産地は ヨーロッパをはじめ最近は中国でも作られてます。CANNA AQUA Clay Pebblesのようなヨーロッパ製のものは、ハイドロポニックで安心して使えます。
しか、黒っぽい色をしたクレイペブルスは、孔げき率が低く(スキマが少ない)、ずっしり重たいです。黒っぽい色をしたものはイオウ含有量が多く、培養液のpH値をぐんぐん下げることがあります。 - pH値は中性ですが、未使用のクレイペブルスにかぎり、しっかり洗って次に紹介するプレ・ソーキングをしておかないと培養液のpH値とEC値をぐんぐん上げることがあります。
・ - 保水性はとても低く、毛細管作用もあまりありません。クレイペブルスだけを培地にする場合は、ドリップ式やフラッド&ドレインなど定期的に培養液に浸るハイドロ・システムでは問題ありませんが、鉢底に水を溜めておくだけの底面吸水システムにしてしまうと、培地全体に水分がいきとどかず、苗がしおれやすくなります。
・ - 通気性はとても高いです。空気をたくさん含めるので、酸素要求量が多いキュウリやイチゴなども、トラブルなく多収穫に育ちます。
・ - 再利用ができます。レンガなので腐ることがなく、屋内外の鉢植え用底石としても使えるほか、土に混ぜると排水性を高めることができます。
未使用クレイペブルスの前準備
新しいクレイペブルスには、細かな砂やホコリがたくさん付着しています。洗わずにハイドロポニック・システムで使うと、培養液のpHとECがぐんぐん上がるトラブルが起きます。
事前にフラッシング
新しいクレイペブルスを大きめなサイズの洗濯ネットに入れて、水道水でジャブジャブ洗い流します。洗い流す水の色が透明になるまで、よく洗い流してください。目安はバケツに浸した水のEC値が、水道水と同じくらいになるまでです。
事前にプレ・ソーキング
ECが水道水と同じになったら、ハイドロポニック用のpHダウン剤でpH5.5に調整した水を1日に一度取りかえながら、少なくても24時間以上浸します。ハイドロポニック・システムでエアストーンを使う場合は、エアストーンも一緒に浸します。
その後、ベース肥料を0.4mS/cm以下(=4000倍)に希釈した うっす〜い培養液に浸します。これで、新しいクレイペブルスは、安心して使えるコンディションになりました。
栽培中のメンテナンス
基本的にクレイペブルスは無機質で不活性な培地ですが、どの培地にもわずかに保肥性があるので、培養液がくりかえし流されるたびに、クレイペブルスの内部と栽培システムのリザーバー内に老廃物や不要な成分がたまります。1〜2週間に一度は、培養液をすべて取りかえて、リフレッシュ&リセットしなくてはなりません。
栽培中のフラッシング
クレイペブルスの表面に白い粉のような肥料成分のカタマリがあらわれはじめたら、フラッシングが必要です。肥料濃度が濃すぎて、植物が吸収しきれなかったり、夏に水分だけが蒸発すると残留肥料が結晶化してしまうからです。
この析出した肥料塩類は濃度が高いので、植物や培養液にあまりよくありません。通常の2倍に希釈した培養液や、フラッシング専用の資材で洗い流します。 それ以降は、培養液の肥料濃度を薄めにして管理してください。
クレイペブルスの再利用
クレイペブルスは、清潔に洗浄と消毒をすれば安全に再利用ができます。ただし、菌根菌などの有用菌を使ったアクアポニックスなどの場合は、殺菌しないでください。
- 水10Lに対して、300mlのオキシドールを加えた水に、だいたい1時間浸して、よく乾かす。
・ - 0.02%〜0.05%にした洗濯用ハイターの希釈液で漂白、殺菌します。水に加える分量は製品によって違うのですが、厚労省が資料を作ってくれています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000617981.pdf
最低1時間置き、水道水でよくすすいでから、日光に当ててしっかり乾かします。塩素は空気中の炭酸ガスに触れると気化して消えるので安心です。
・ - てっとりばやく、熱いお湯に浸して消毒することもできます。しかし、カルシウムなどは高温で固まりやすいので、あらかじめ弱酸性に調整した水に浸してカルシウムやシリカなど高温で析出しやすい肥料成分をザッパリ溶かしておいた方がいいと思います。