ようやく秋晴れがつづくようになりました。今年の夏は、来る日も来る日も、あまりにも雨が降ったので、花たちに毎日かかさず水やりをする、という夏から秋のマスト・ルーティンをすっかり忘れていた今日この頃です。
チヌーク・ホップの収穫をしました。こんなにも毬花がいくつもくっついた奇形花を初めて見ました。

栽培専用LEDライトでアロカシアとビカクシダを管理するようになってから、皆様ぐんぐん育つようになったので、60W出力(120Wを50%に調光)のLEDライトを50cm下に下げて、ライト直下の一番高い葉面位置で、PPFD 約206 µmol/m²/sの光強度にしました。ライトから50cm直下のPPFDは 約206µmol/m²/s、同じ位置で50cm左右ずらした位置のPPFDが約158µmol/m²/sです。色温度は光合成効率の高い暖色系の白です。暖色系の白は、植物を鑑賞するにはあまり向きませんが、一番よく育つ色だと実感しています。

高性能な植物栽培用LEDライトは、壁面にあたって反射する光も考慮し、グロウスペース全体に光がバランスよくいきわたるように設計されています。
LEDチップから放射される光がどう拡散するかは、LEDチップを保護するする光学レンズやLEDチップの配置で決まります。たとえば光学レンズを装着している場合は、一般的な栽培用白色系LEDの場合、約120°の広い配光角を持つものが多いです。一次レンズには効率よく光を拡散させて消費電力を抑える役割もあります。
さらに一次レンズを二次レンズで覆うように装着するLEDは、光の進行方向や広がり方を制御し、照射対象に効率よく光を届けるよう設計されていることがあります。この二次レンズには90°〜150°など、さまざまな配光角の製品がありますが、120°以上の広角になると、広範囲をカバーできるように思えて、実際には光が栽培エリア外に飛んでしまいムダになる光量子が増えやすいと言われています。
LEDライトの配光バランスの良し悪しを視覚的に確認する方法のひとつが、植物を置いた状態で床面の明るさや、植物の影の出方を見てみることです。配光バランスが良く、さまざまな方向から光が届く環境では、植物の葉が重なっていても影が比較的薄くなり、床面にも光が届きやすくなります。つまり下の葉にもまんべんなく光がとどき、株全体の葉が均一にバランスよく生長して、横枝の花や果実も大きくなるということです。(ただし、床面の明るさはあくまで目安です。実際の光の均一性は植物の葉面におけるPPFD分布を計測することが確実です。)
暖色系の白、3400Kの色補正をするとこんな感じです。培地が軽くなったら、ハイドロポニック肥料の薄めの培養液をたっぷりと与えています。

植物育成LEDライトとハイドロポニック肥料でアロカシアやビカクシダを育てると、根がよく動いて増えるので生長スピードが加速します。まだ小さいうちは、最適な気温と湿度環境で、PPFDが100〜200 µmol/m²/sのあいだでよく育つようです。
PPFDメーターを持っていないので、分光照射メーターで計測した分光分布図と照度(ルクス)のデータをPPFDに変換してます。分光照射メーターは「その照明が、何色の光を、どれくらい出しているか」を示す、こんな画像です。

分光照射メーターで計測した分光分布図はこんな感じでした。今回使用しているLEDの仕様書の分光分布図と、まったくと同じです。光合成に有効な400nm〜780nmのブロードバンド・スペクトルをバランスよく放射する理想的な栽培用LEDです。
そして、同じ位置で計測した照度は11,400ルクスでした。ルクスからPPFDに換算する計算式はとても複雑です。
照度(ルクス)をPPFDに換算する方法は・・・
1. Lux→PPFD換算係数を求める
分光データから2種類の量を計算します。ひとつは、人間の視感度を考慮した照度に相当する量。もうひとつは、400~700 nmの光子数に相当する量です。この比率から、LED専用の換算係数 k が得られます。
k = PPFD / Lux
単位は、µmol/m²/s/lxです。相対分光分布を S(λ)、人間の明るさに対する標準感度を V(λ) とすると、波長をnmで扱う場合の計算式は次のようになります。
k = [10⁻³ × ∫(400~700) S(λ)λ dλ] / [683 × N_A × h × c × ∫(380~780) S(λ)V(λ) dλ]
ここで N_A はアボガドロ定数、h はプランク定数、c は光速です。この計算では、相対分光分布の倍率は分子・分母で打ち消し合うため、校正された相対スペクトルであれば、絶対放射照度がなくても換算係数を求められます。ただし、分光測定器の感度補正や測定範囲の制限による誤差は残ります。
2. LuxからPPFDを推定する
求めた係数をLuxに掛けるだけです。
PPFD = Lux × k
さらに、1日の照射時間を使えばDLI(1日に受け取る光の総量)も計算できます。
DLI = PPFD × 照射時間 × 0.0036
・・・はぁぁぁ? 何を言ってるんだか、サ・ツ・パ・リ・わかりません。
なので、そのLEDのメーカー仕様書にある分光分布図と、計測したルクスの数値をAIになげて「このLEDライトのPPFD換算係数を出して!!!」と頼めば、ルクスからPPFDに換算できる係数を教えてくれます。カンタン、カンタン!
ただし、数千円からお手頃な価格でGETできる照度計でもルクスを計測できますが、お手頃な照度計は人の目で感じる明るさ=緑色光を中心に測るので、正確なPPFD値に換算できないことが多いことに注意が必要です。
左の一番大きいのがビカクシダ・リドレイです。貯水葉の直径が11cmほどになり直径8cmのネットポットから貯水葉がはみ出してきましたので、来週もう一度培養液をあげたら板付けしてみようと思います。
3週間ほど前に到着した同一人物たちです。この時のリドレイは5〜6cmほどの大きさでした。みなさまスイッチが入ったかのように、結構なスピードで生長しています。
熱心な愛好家の方は、よくご存知だと思いますが、ビカクシダは赤色光(R)のほうが遠赤色光(FR)よりも多いとコンパクトに育つ、遠赤色光の方が多いと葉の一枚一枚が大きく早く広がる、と言われています。とくにR/FR比率が気になる方は、使用しているグロウライトの波長領域を正しく評価できる分光照射メーターは便利だと思います。
しかし、この2016年の研究では青、赤、遠赤の3色LEDでしかテストしていないので、もっと幅広いPAR領域を放射するLEDで育てたらどうなるのか?
光の色にこだわるよりも根張りを重視して、バランスの良い肥料、根の活力剤、古い根を分解する酵素活力剤と、保水性と通気性のよいココ培地で育てたら生長スピードや草姿がどうなるのか?
これからとても興味があります。