2013年6月27日木曜日

ネズミ警ら隊長、あらわる!

「うわぁ〜!!! ヘビッ! ヘビッ! ヘビィ〜ッッッ!!!」この叫び声を聞くのは,今週2度目です。

どうやら玄関先で、こんなものに目がとまり・・・














独特の存在感を さらに目で追っていくと・・・






















それはそれはラブリーなアオダイショウをめっけてしまった! んだそうです。

「 オッハヨー!!! 」とアイサツしても、チロチロと舌を出してこちらの気配をうかがうだけで、微動だにしません。つい先日は、ベランダにあるブルーベリーのマルチング材をバッサバッサとそのへんにまき散らしていたアオダイショウを発見したばかりですが、そのコはもっと小さな顔をしていたので今朝あらわれたアオダイショウは別人のようです。























実はこのアオダイショウよりも前に、キジトラ柄の毛皮を着た「ネズミ警ら隊第一号隊員」が冬から夜ごとあらわれるようになったのですが、第一号隊員は我が家の玄関マットの上を休憩場所と決めたきり、彼の関心はもっぱら「マットは気持ちよく乾いているか?」「ライバルがテリトリーに侵入してこないか?」だけになってしまっていました。家の中でたまにネズミの糞らしきものを見つけては「あいつ,ちっとも働かねーなー!」と危機感をつのらせていました。













というわけで、相変わらず「クマネズミ」たちの侵入にビクビクとおびえつづけていた我が家でしたが、アオダイショウが二匹も同居してくれていれば、もう大安心です。



さて、こちらもいつしか芽生えてきて、すっかり繁殖するようになった「ヤマブドウ」です。今年はじめて花が咲いて果実が実りました!!!  雌雄異株がスタンダードであるヤマブドウですが、どうやらウチのは「雌株」か「オカマ」だったようです。























そして今年の冬のあいだ、ヒーターマットで加温栽培をしていたアラビカ種の「コーヒーの木」たちは今・・・






















↓ワッサワッサと育ちつつあります。そろそろひとまわり大きな観葉鉢に植えかえるか、はたまた布製ポットに植えかえて収穫目的栽培にしてしまおうか、たのしくたのしく思案中です。























そして最後に、室内栽培をタノしむガーデナーさんたちにとって、ちょこっと便利なiPhone アプリの紹介です!!!

手持ちのiPhoneを「照度計」として使える
「Lux Meter by Vlad Polyanskiy」


iPhoneで明るさを計れるアプリのほとんどはカメラの露出計アプリなのですが、このLux Meterはルクスで照度が表示されるので、育成ランプの明るさを計ったり位置を決めたりする時に便利です。


さっそく手持ちの照度計と計測結果を比較してみたのですが、ワタシのiPhoneは防水用ケースに入っているせいで半分くらいの数値しか出ませんでした。iPhoneのカメラレンズを利用して照度を測るので、このアプリで明るさを計るときはケースから出したほうがヨサゲです。


2013年6月25日火曜日

満月に太るくだものたち。

23日の夜,ついうっかり見逃してしまった「スーパームーン」でしたが、その前日の夕方には夕方に降り出したニワカ雨のおかげで「虹」を拝むことができました。
















梅雨に入ってからポツポツと咲き始めた「ムクゲ」の花でしたが、いよいよ満開になりつつあります・・・町内でナイスな散歩コースとなっている農道に、毎朝オニのように落ちる花たちをホウキではかねばならぬ日々のはじまりです。























我が家のカキの実が、大きくなりはじめました。今年は、カキの花が咲いた頃に日当りと風通しがよくない場所のわき芽を摘心して、枝をスッキリさせてみました。今のところ、青いまま生理落果してしまうカキの実が例年よりも少ない気がします。
















このカキの木のせいで、夏の間はほとんど日が当たらないベランダで育てているブルーベリー「ティフ・ブルー」です。毎日雨振りだから・・・と安心して水やりを怠っていると、培土がカラッカラになっていたりします。ベランダにある植物なんかは雨で濡れにくいうえに高温多湿な空気のおかげで、根っこの吸収が活発になってて思いのほか土が乾くのが早くなってます。















もうひとつのブルーベリー、「バルドウィン」。ティフブルーと比べてみると果実の大きさに倍以上の差がでました。果実の肥大がさかんなプラントほど培土が乾くのも早いのは、日々真剣に植物を育ててるおヒトならば、大きく実感なさるところかと思います。







最後に、つい最近見かけた「街に咲く花々」です。化繊100%であろうこの色彩!!!
「あ〜これ? ヴェルサーチっぽいゴージャスなリゾート感がたっぷりでしょ? 前に出るプリントのトップスは夏にぴったりよ! 」などと言い倒して売り込めそうです。
それにしても、読めば読むほどカオスな英語の文字列は・・・

2013年6月21日金曜日

梅雨の夏至と石灰防除

シトシトと雨降りな「夏至」の日となりました。

梅雨の季節は植物の生長もはやく、ふと気がつくと庭やベランダで育てているトマトやらキュウリやらゴーヤやらが、「 別人か? 」と思うほどグ〜ンと大きくなってる頃かと思います。

湿度が高いと水分はもちろん養分の吸収もさかんになるので、とくにトップ(茎頂部)で細胞分裂が活発になって急に大きく生長するんだろうと思いますが、困ったことに細胞分裂がさかんな部分ほど、細胞壁が弱くなりやすいので、病害虫や雨の浸透圧に耐えられなくなってカビ病が広がったり、葉っぱが溶けちゃったりってことが起こりやすいようです。

なので、雨が長く続いたあとは「カキガラ石灰」をバッサバッサと花咲か爺さんのように葉っぱに振りかけまくっています。























「石灰」を葉っぱに振りかけると、夏野菜を中心に多くの植物の免疫力がアップして、病気やストレスに対して、ものすごく丈夫になるという「石灰防除」は無農薬や減農薬栽培を実践している農家さんの間で広まっています。ところが、「消石灰」や「生石灰」では葉っぱが焼けたりする障害が出たケースもあるので、今のところワタシがトライして問題がでなかった石灰資材は、「苦土石灰」や「炭酸カルシウム」です。

カキガラ石灰は「有機石灰」にカテゴライズされますが、主成分は「炭酸カルシウム」なので、酸などで少しずつ分解されると「CO2」も発生させてくれるオマケつきです。そのうえ、水に溶けるとアルカリ性になる石灰資材で、多少なりとも病害菌たちの消毒もできます。

しかし「石灰防除」のメリットは、なんといっても「細胞壁の強化」なんだろうと思います、というのも細胞壁はカルシウムイオンを含んだペクチンでできているので、細胞分裂が盛んになればなるほど、または細胞分裂が盛んなところほど、カルシウムイオンがたくさん必要になるわけで、そこでカルシウムが不足すると、新しくできた細胞たちは壁がペラッペラに薄くなりがちで、浸透圧ストレスに弱くなっちまうっていうことのようです。

そのうえ、以前紹介したように「カルシウム」は植物体内で移動が遅いので、根元から遠いトップ部分ほど不足しやすい肥料でもあります。

数日間雨が続いたあとには、葉っぱにダンゴムシがついちゃってたり、なんとなく葉っぱにハリがない花や野菜の葉っぱに手当り次第にカキ殻石灰を振りまいていきます。一瞬は白く汚れてしまいますが、一晩雨が降った次の日の朝は、どの植物も葉っぱがピーンッッッと起き上がっているのがなんとも楽しいです。























とくに、グリーンカーテンにしているツル性植物に「石灰防除」は効果がでかいと感じているのですが、現在ワタシが屋外やベランダで育てている花インゲンやホップをはじめ、トマト、カボチャ、バラ、ラベンダー、ジャガイモ、そしてゴマノハグサ科の花々すべてに、新芽を中心にカキ殻石灰をまんべんなく撒いています。














今は育てていませんが、雨に溶けやすいウリ科のキュウリやスイカなどには特に効果が大きいようです。
「でも、土がアルカリ性になりすぎないの? ウチでは弱酸性を好む野菜を育てているんだけど・・・」という不安も当然わきますが、ワタシがいままで試した炭酸苦土石灰やカキガラ石灰に限って言えば、障害らしい障害はまったく出ていませんし、農家さんでも出ていないようです。

とはいえ、石灰防除は、二週間に一度くらい、あまりたくさん撒きすぎないのが無難だと思います。また、室内栽培のココ培地やポッティング・ミックス培土では、培養液の成分に影響するので、肥料に詳しくないガーデナーにはあまりおススメはできません。


2013年6月18日火曜日

梅雨のなかのフレーバー

夏風邪が、はやってるようです。喉や鼻がやられたと思ったら、ギュ〜ンッッッと発熱するパターンが多いようなので,お大事に。

さて、「雨降らないなぁ〜、毎日晴れるから花の水やり、忙しいな〜!!!」と愚痴っぽくなっていたら、きっちりシトシトと連日雨が降り続きました。そんなあとにカ〜ッと晴れると、クラクラめまいがするほど雑草たちが伸び放題となっています。

生け垣にからみまくっていやがった恐怖の「ヘクソカズラ」のツルをバリバリと刈り取っていると特有のくっさい香りにまざって、さわやかなアロマが・・・「山椒」の実がたくさん実っていました。






ところで、最近植えかえたばかりの「ウバタマ」です。このハンドメイド感のある素焼きのポットは、軽くて通気性がよいのでとっても気に入ってます。梅雨にダメになりやすいバラでもラベンダーでも、絶好調で育ってくれます・・・ちなみに、ウバタマなど多肉の培土は、ほぼ50%をココ培地にして、あとはピートモスやパーライトなど通気性のあるソイルレス・ミックスにしてからというもの根ぐされ知らずになりました。






















↓だいたい2年前の同一人物です。今年は冬のあいだサーモヒーターマットを敷いておいてあげたので、だいぶ大きくなりましたがそれでも興味のないおヒトが見たら「ぜんぜん大きくならないね!」と言われてしまうことが、「多肉愛好家」が切なくなる瞬間です。


















さてさて、ついこの間まで、雨をキラキラ反射して宝石のようだった「コリアンダーの花」は・・・







本日,晴れてハーベストとなりました。「自家栽培コリアンダー」です。漢方薬っぽい香りがストロングです。このコリアンダーは、から煎りしてミルで挽いてカレーに入れてもよし、土に撒いて育ててもよし、あとはクラフトビールのフレーバーとしても使うことができます。コリアンダーとオレンジピールが入ったベルギータイプの白ビールといえば、「水曜日のヌコ」が有名です。
http://www.yonasato.com/suiyoubinoneko/















ビールといえばホップ!!! 我が家のグリーンカーテン「センテニアル・ホップ」は、早めに開花し始めたのが功を奏し、かつてないほど花が大きくなっています。

































ところで、つい先週北海道特産の「白ワサビ」をGETしたので、食べもせずに早速地植えです。お土産やさんの気さくなマダム店員さんいわく「あのね、コンポトス? コンポストか! そういうのをやってるような、くっっっさい土に植えるといいのよ! いい? くっっっさくて、やわらかい地面よ!!! これ、ものすごい丈夫だから緑色の芽がいっぱいでてくるわよ!」
果たして我が家のミミズコンポストの近くに植えてみるとマダムがおっさる通り、ものの3日でもうこの有様です。






















空にかかる暗い雲がとれたら、もういよいよ容赦のない夏本番がきます!!!













2013年6月11日火曜日

決して溜めてはならぬ排液と栽培の5大要素

現在、室内栽培でミニトマト「千果」たち6株と、「千果」の挿し木4株を育ててます。太陽などの自然光はまったくゼロで、光源はMHランプ400Wひとつだけで多くの光量を必要とするトマトを育ててます。
室内の温度はファンの送風や排気だけでコントロールしているので、夏日には室温は27℃ほどになります。なので、MHやHPSで600Wは強すぎると感じてます。室温が高くなる夏場は必要以上に強い光は植物の生長にとってマイナスなので、MHランプ400Wでさえ、トマトの茎頂部(トップ)から40cm以上離しています。





トマト6株にMHランプ400Wひとつでは,もの足りないと感じるおヒトもいるかと思いますが、いたって元気に育ってます。



























ところで、「アーリーセーフ」の集中散布のおかげで、室内栽培のトマトたちの「サビダニ牧場化」の悪夢は無事防ぐことができました。ところが,最近新しく展開したトマトたちの新芽に「カルシウム欠乏症状」が出てきてしまいました。
新しく展開した葉っぱがクシュッといじけています。

























植物は主に根っこから肥料を吸収したあと、茎頂部の新芽まで届きやすいミネラルとそうではないミネラルがあるため、肥料の欠乏/過剰の症状は、新しい葉っぱに出やすいです。

植物が根っこで吸収しても、新芽まで届くのが遅い肥料ミネラルは,カルシウム、マグネシウム、そして微量要素などがあります。とくにカルシウムとマグネシウムは中量要素といわれるだけあって、チッ素やカリなどの三大要素のつぎ・・・または同じくらいの量が植物には必要なため、何らかの原因で植物の体内バランスが崩れてしまうと、ソッコーで欠乏症がでやすい肥料ミネラルともいえます。

























とはいうものの、ココ培地にはココ用肥料、水耕栽培にはハイドロポニックス用液体肥料、ポッティング・ミックス培土にはそれ用の肥料・・・を基本通りに与えていれば,基本的に肥料の過不足症状は、ほとんど起きません・・・じゃあナニが原因だったのかを考えるときに、役立つのが「植物栽培における5つの大きな要素」でっす。

「植物栽培における5つの大きな要素(おもに培養液で育てる養液栽培において)」

その 1 : 光強度(波長のバランスも大切ですが、なにより光の強さ)

その 2 : 培養液をつくる水質、培養液の酸素量、水温と肥料バランス

その 3 :  培養液や培地内の肥料濃度(EC値やppm値)とpH値

その 4 :  温度/湿度/換気/CO2濃度など植物の周辺環境

そして5番目がもっとも重要で、それは・・・

その 5 : ガーデナーである「ア・ナ・タ自身」!!!


上記の5大要素のうち1〜4は問題なしだったので、やっぱり「ワ・タ・シ自身」に問題があったわけです。今回ワタシがやっちまったのは、「ポッティング・ミックス培土に水やりしたあと、排液をトレイに溜めたままにしてしまったこと」でした。

ポットの底から流れ出た古い培養液の排水は、植物が健全に育つ肥料バランスになっていないし、培地から溶け出た成分などでEC値がメチャメチャ高くなってるときがあります。




「ポットの底から流れでた排水を溜めたままにしておくのは、よくないよ」とアドバイスしてくれたスタッフの指摘をキチンと聞かなかったせいで、こうなりました。



















肥料の中でも「チッ素」は吸収されやすく新芽までも届きやすいミネラルなので、古い排液に浸っていた根っこは「チッ素」は吸収できたものの、吸収されにくい「カルシウム」が不足してしまったってことのようです。

























ということで今回のカルシウム欠乏症がでた原因は、なによりも「 能書きはそれなりに言えるようになったワタシ自身!!! 」でした、ハハハハハ・・・

ちなみに、今回使っているポッティング・ミックス培土は自作ですが、CANNA COCO培地やCANNA TERRA培土で育てるときも、ポットの底から流れでた排液をきっちり捨てないと、だんだんと新芽がおかしくなってきてしまうハメになりやすいです。

CANNA COCO培地やCANNA TERRA培土をはじめ、すべてのココ培地やピートモスなどの有機質の培地への培養液を与える方法は、自動給水ならば「Run-to-Waste = 培養液をかけ流して排水は捨てるシステム」のみで、または手で水やりをする「ハンド・ウォータリング」のどちらかです。

つまり、ココ培地などの天然有機培地では、培養液をくり返しかけ流す「循環システム」と、ポットごと培養液に浸したりエアレーションするなどの「DWCシステム」「Ebb&Flowシステム」は、もってのほか!!!  ゼッタイにゼッタイにゼッタイにNGデス。


※トレイの底に培養液を溜めて栽培する「底面給水栽培」は、培土の表面から培養液を与えるのではなく、ポットの底にだけ新鮮な培養液を給水するので、当てはまりません。

2013年6月5日水曜日

COCOとTERRAの再利用テストのようなもの

とある街の街路樹になっていたボトルツリーの種、落ちていた種を拾って撒いたら発芽しました。これは感動です。






















「ボトルツリー」は、日本では「木綿(キワタ)の木」という名前があり、キワタの実のなかはフワフワしたコットン状態になることから「木になる綿=キワタ」というようです。
一方、コットンの原料となる一年草の「木綿(モメン)」を「草綿」と読み、区別しているようです。

このボトルツリーの種も、前回紹介した「弱酸性水にエアレーションしつつ種に一晩じっくり吸水させる方法」で処理しておいたものです。
















さてさて、仕事場では園芸資材と栽培方法のテストをかねて、なにかしら育てつづけているのですが、そのナガレの中で「培地全体にめいっぱい根っこが張ったトマトを地上部だけカットして撤収させたあとに、小さな苗をそのまま植えたら育つもんなのだろうか?」という栽培実験のようなものをしてます。

「プランター不耕起栽培」とでもいえばいいのでしょうか? 結論から言えばおススメできません。せめて古い根っこをすべて取りのぞかないとNGデス。

↓左が「CANNA COCO ココ培地」、右がガーデンピートがメインの「CANNA TERRA ポッティング・ミックス培土」です。















↓このトマトたちをカットしたあとに古い根っこも引き抜かず、そのままミニトマトのアイコの幼苗を植えてしまいました。「一度つかった培地を再利用するには、COCO培地とTERRA培土のどちらが向いてるか? 」ということに興味があったからです。






















その結果は・・・やっぱり「COCO培地のほうが再利用には向いてる」でした。ココヤシの繊維からできてる「COCO培地」は有機質の培地ではあるんですが、ものすごく分解されにくい繊維でできていて、しかも繊維に細かな孔がたくさんあるので、肥料や水にさらされたり微生物が増えたりしても、ものすごくユックリとしか分解しないため、保水性と保肥性、含気性が長期間保てる、耐久性にすぐれた性質をしています。






















しかし「CANNA COCO培地」自体には肥料が含まれておらず、ガーデンピート主体の「TERRAポッティング・ミックス培土」よりも保水性と保肥性が劣るため、「勝手に育つ感」はあまりなく、水やりの回数はTERRAよりも多くなり、毎回肥料を溶かした培養液を水やりする必要があります。そのかわり、一度使用したCOCO培地は、繊維の角が取れて丸くなめらかになるため、再利用のCOCO培地のほうが根はりがよくなるという結果も出ています。

※市販されている「ココ培地」は、メーカーによって処理方法や成分調整のスキルに差があり、ク溶性の肥料あらかじめ入れてあるココ培地もあるため、すべての「ココ培地」に当てはまるわけではありません。




↓一方、そのガーデンピート主体の「TERRA培土」ですが、はかなく、はかなく育ってます。まだ花も咲いていません。























無酸素、無菌状態の永久凍土で形成される酸性のガーデンピートは、石灰でpH値を微弱酸性に調整したあと、やっと園芸用土として使用できるようになります。なので、pH値調整後のガーデンピートは、養分や水分,温度が加わればもちろん菌が繁殖できるようになります。
そのうえ、日本のような温暖な気温と湿度、酸素のなかでは、半年ほどで分解がはじまり根っこが目詰まりしやすくなります。

COCO培地は、古い根っこをとりのぞいたうえで水で肥料を洗い流し、最後に酵素系の活力剤をたっぷりと含ませるだけで、大きな問題が起こることなく再利用できますが、分解が早いTERRA培土は、もともと再利用に向いている性質ではありません。

「TERRA培土をどうしても再利用したい!」と思うときは、私は苦土石灰とミミズコンポストなどを「適量」追加し、水はけをよくするために「COCO培地」と「パーライト」など排水性がよくなる不活性な園芸用土を30%ほど追加してから使用しますが、それでも初回ほどの「シャープにグングンと育つ感」はうすいな、といつも感じます。

2013年5月30日木曜日

挿し木 & 発芽の成功率アップ作戦

今年の関東は,例年より早い梅雨入りとなりました。雨に濡れたコリアンダーの花がこんなにキレイだとは、生まれて初めて知りました。































さて、先週の土曜日5月25日は満月,種まきにベストなタイミングでした。


ということでその前日の金曜日に「花豆」の種まきをしたところ、ものの4日ほどでミゴトな発芽ぶりを見せてくれました。花豆の正式名は、「ベニバナインゲン」です。
















花豆には、紫や白があります。紫色の「紫花豆」が優性遺伝子で、「白花豆」は劣勢遺伝子なんだそうですが、「紫」と「白」をいっしょに植えたほうが収穫量が増えるんだそうです。































さてさて、「発芽は、水、温度、たまに光、そしてなにより酸素!」ということで、今回は、エアレーションを入れた水に花豆たちを一晩じっくりと浸して、それからココ培地に「播種(はしゅ)」しました。
↓は、「花豆」ではありません。今は「大豆」に吸水させてます。種子の量とエアストーンの大きさに合った容器でOKだと思います。





















鮮度のよい種は、なんにもしなくても発芽しやすいのですが、それでも管理状態によっては発芽率が低かったり、発芽のタイミングがバラバラになってしまったりします。そこで種まきの前に、たっぷりの水に種を一晩ひたしておくと、十分に吸水させることができるので発芽が早くなったり発芽のタイミングがそろいやすくなります。

ところで、春から初夏の種まきは、発芽に適した水温を維持できますが、水中の酸素量が減るので酸欠が心配だし、雑菌の発生も心配です。

ということで、まず種子を浸す水にはpHダウナーを数滴だけ加えて、雑菌が繁殖しにくい弱酸性にします。








ちなみに、水道水には炭酸が含まれているので、ただの水道水にエアポンプでエアレーションを続けると炭酸が空気中に抜けていくにつれて、水のpH値が上がります。カルキが完全に抜けると水道水のpH値は、だいたいpH7.5〜8.0の微弱なアルカリ性で安定します。

なので、「 ただの水道水にエアレーションを続けていたらpH値があがってしまった!!! ナニが原因なんだ!!!!!」と、アタフタする必要はありません



植物に与える培養液は、肥料濃度(EC値)が高い培養液ほど、pH値とEC値の変動は少なくなります。逆にいえば、培養液の肥料濃度が薄い培養液ほど、植物の吸収などによってpH値とEC値の変動は大きくなります。

ちなみに一口にエアポンプといっても、多くの空気を水中に通気できる「インペラー式エアポンプ」というものは、培養液にCO2も多く吹き込まれるため、培養液のpH値がどんどん下がってしまうということがたまに起きるようです。欧米でインペラー・ポンプをつかった水耕栽培システムがかなり話題になったことがありましたが、容量よりも大きなポンプをつかってしまうと、培養液のpH値が下がり過ぎてしまう問題が起こったようです。それでも、インペラー式のエアポンプは培養液中に酸素を豊富に取り込めるため、水温が上がってしまう真夏にはヨサゲだし、根毛が発生しやすくなるというメリットもあります。





   

種を浸す水に、根の活力剤を加えるのもGoodです。コノ場合は、活力剤を加えたあとにpH値を弱酸性に調整します。

















このように、pH値調整した水にエアレーションしつつ、一晩ひたした「花豆」の種は、その4日後からワッサワッサとゲンキに発芽しはじめました。
























そして、コトゴトく失敗を続けてきた「沈丁花」の挿し木取りでしたが、今年はなんとか成功しました。
その勝因は,今思えば「炭酸水の葉面スプレー」だったと思います。とはいえ、炭酸スプレーをした挿し木と、していない挿し木で発根率の比較をしなかったので、言ったもん勝ちになってしまいますが、とにかく「挿し木の発根率と発根量」を高める秘訣のひとつは、プラント体内の「C/N比」を高くすることです。


























このブログで何度か登場してきた「C/N比」とは「炭素/チッ素の比率」のことですが、挿し木をとる親株(マザープラント)の植物体内の炭素(Carbon)の割合が、体内のチッ素(Nitrogen)よりも多いと発根しやすい挿し木となり、炭素の割合がチッ素よりも少ないと発根する前に腐りやすくなる・・・ということです。

















       




        






「じゃあ,挿し木のC/N比を高くするには、ナニをどうすればいいの?」ということですが・・・親株のC/N比が高い部分、または親株のC/N比を高くしてから、挿し木をとればいいわけです。

まず、土壌で育てている植物たち、たとえば果樹類、バラやハーブなどの宿根類では、日当りのよい場所で管理したうえで、3日以上よく晴れた日のあとなら、体内のチッ素量が低下しているので、挿し木とりに理想的です。

また、5月〜6月までの春から梅雨の間と、9月〜11月の初秋から晩秋にかけて挿し木取りをすると発根率が高くなります。これらは季節の変化が原因で、土壌中のC/N比が上がる期間にあたります。
冬が終わり春になり気温が高くなり雨が降ると、土壌中で微生物がグワアァァァッッッと増殖します。微生物たちは無機チッ素をガッガッツ食べて有機チッ素に変えたりガスに気体化させるヤツもいたりして、結果的に土壌中の無機チッ素が少なくなり炭素量が上がるため、土の中のC/N比が上がります。秋バージョンでは、枯れ落ちた植物たちが地表に落ちて、これを分解する微生物が活性化するためC/N比が上がります。

このような理由で土壌中のC/N比がとくに高くなるのは、5月〜6月までの間と9月〜11月くらいまでの秋・・・

ということになるため、この時期の植物は体内のC/N比も高くなり、さらに数日晴れたあとならば発根しやすい挿し木をとることができます。(低温に弱い植物は春に挿し木、高温に弱い植物は秋に挿し木をすると,管理がラクチンだと思います。)


一方、水耕栽培やココ栽培などの培養液で育てているハイドロポニック栽培の植物の場合は、C/N比が自然に上がるということはありません。ガーデナー自身で、プラントのC/N比を高くしてあげる工夫が欠かせません。

まずイチバン簡単なのは、光量とCO2濃度を最適に保って光合成運動量を増やすことです。適度な光量とは、植物育成ランプでいえば夏野菜では「MH250W〜400W」、冬野菜では「HPS250W〜400W」がナイスだね!と言われています。

また、親株のなるべく根元近くのC/N比が高い部分で、イキオイのよい横枝をカットして挿し木にすることですが、その前に、あらかじめ親株に与える培養液の肥料濃度をうすく管理して、植物体内のチッ素量を減らす必要があります。「このコは親株としてのみ育てる!」と決めてある場合は、薄めの生長期用の肥料レシピで培養液管理を続けると同時に、有機活力剤をたくさん与えて体内のチッ素流転を促しますが、夏野菜などの一年草の親株は約半年から1年くらいがマザープラントとしての寿命だそうです。

しかし、もしも親株体内に多くのチッ素がありすぎると、非常に発根しにくい挿し木となってしまうので、挿し木をとる前には必ず親株の体内チッ素量を減らすことが必要です。


また、挿し木をスムーズに発根させるには、水分、酸素、二酸化炭素とともに、適度な光と湿度が欠かせませんが、挿し木管理の時にCO2濃度を1500ppmほどに維持するとGoodだね!ということも以前ご紹介したことが・・・そういえばありました。
http://desktopfarmer.blogspot.jp/2011/12/4.html