「FSMA 食品安全近代化法案」ってのは、あくまでも米国でのおハナシなんですが、衛生管理がキチンとしてない農場や製造工場が生産する食品が汚染されて、食中毒になる米国人は毎日20万人、年間で7600万人。2006年には、大腸菌に汚染されたホウレンソウが原因で5人が亡くなったそうです。もしも出荷した食品にトラブルが起きても、リコールするかどうかは任意だったんだそうです。そして食品安全法は1833年にルーズベルト大統領が制定以来、なんの改正もされてないのが問題なんじゃあないか! という運びになったようで・・・。
そんなこんなで、農産物や畜産物のトレーサビリティーを徹底したり、食品を生産・製造・加工・流通・輸入するすべての企業の施設や酪農生産者に食品の安全管理の責任を果たしてもらうために、決してお安くはない検査費用を負担してもらったりする必要があるんだそうです。そして万が一,出荷した食品に問題が見つかったら、管轄のFDA(Food and Drug Administration=米国食品医薬品局)が出荷元に強制的に回収させることができたり懲罰を課したりすることができる法律なんだそうです。
当初、この法律が提案されたときは、農産・畜産の品種改良から種子の保持、はたまた生産まで大企業なファクトリーファームしかやっちゃイカン!!!ということもありえる内容だったらしく、当然たあっっっくさんの米国国民が大反発だったみたいです。「政府と大企業が食べ物の利権を占領して、国民を家畜みたいにする気だな!」ってえわけです。
なので、自然栽培や有機栽培の生産農家さんや、家畜をオリにギュウギュウに詰め込んだりせず自然に放牧させてる良心的な酪農家さんたちが、根気よく問題点を提起して廃案にしようと奮闘なさっていたら、去年の暮れに大幅に内容が修正されたFSMAが、ウッカリ議院を通過して、新年早々オバマ大統領がサインなさって立法化されたという流れのようです。
そして「Dark Side of FSMA」食品安全近代化法案の闇の部分といわれていた小規模農家さんなどへの莫大な費用や手続きの負担などなどですが、一応大幅に修正されています。例えば、450Kmの範囲内でしか農産物を販売しないか、年商がだいたい4200万円以下の農業生産者さんにはFSMAが適用されないようです。
あと、ローカルなファーマーズ・マーケットで農産物をダイレクトにお客さんに販売するオーガニックファーマーさんとかにも適用されないそうで。つまりは大企業のファクトリーファームがメインターゲットですよ、あるていどの規模の酪農地をもったトコロでなければ、種子を蒔いても保持してても罰金なんかありませんよー誤解ですよーっっってことらしいです。(表面上だけかもしれませんが)
とはいうものの、FSMAに掛かる予算は$1.4億・・・およそ116億円だそうで、このコストは,タブンまるっと消費者の負担になることになりそうだそうで「無菌である」ことを証明するために、食材がお高くつくことになりそうです。
米国で有名なコメディアンの「ジョン・スチュワート」さんがFSMA制定前にこれを風刺している動画です。ホットドッグや缶詰のパスタなど身近な食材の汚染は、日常的に起きてますよ・・・という事実を自覚してくにつれてパラノイアになっていって、最後には「FSMAを早く施行してくれー!」と恐怖がマックスになったところで、去年の暮れの投票システムのエラーで、FSMAがポシャるかも・・・という流れで終わるという皮肉タップシのオチです。
(見れない場合は、リンク先でどうぞ!)
http://www.thedailyshow.com/watch/wed-december-1-2010/the-food--the-bad-and-the-ugly
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http://www.thedailyshow.com/watch/wed-december-1-2010/the-food--the-bad-and-the-ugly