2011年6月3日金曜日

ピート? ピートモス? その2

うすぐらい雨降りな日が続きますが、そんな朝はいつもより空気が静かで、ウグイスの鳴き声がよく通ります。近所のウグイスは、最近メキメキと歌が上達しています。通勤途中のカルガモには、いつのまにか3羽のヒナと並んで泳いでいます。


「ピート = 泥炭」とは、植物が腐植した土壌で、石炭になるまえの物質だという分かりやすい画像を、こちらのサイトからイメージをお借りしました。「燃料資源は、どうやってできるの?」的なことを説明されているサイトです。
http://www.factmonster.com/dk/encyclopedia/energy-resources.html

-「Coal is Formed=石炭になり始め湿地帯に生息する植物が枯れ落ち、数百万年以上の時を経て形成されます。
-「Moist Fibrous Peat」水分を多く含む繊維質のピート
-「Lignite=褐炭」炭化がそれほど進んでいない褐色の石炭。
-「Bituminous Coal=瀝青炭」褐炭よりさらに炭化が進んだ石炭。石炭より水分を多く含み、柔らかい。
-「Anthracite=無煙炭」炭素を92%〜98%含む最も炭化率の高い石炭。







ということで、ピートってのは、北欧など緯度が高い寒冷地の湿地帯で、ものすごく長い時間をかけて植物が枯れては積もり積もっていったものが、腐植/炭化していったもの、ということで、「ピート=泥炭層」を英語では「Peat Layer/Peat Bogs」、泥炭地帯を「Peat Land」その他イロイロ呼び名があります。

ピート層は、年月が経てば経つほど炭化が進み、茶色から褐色、そして黒へと色が濃くなっていきます。そして、まさにピート層のスタート部分は、湿地帯などの沼の上に積もっているので、土や砂にいろんな植物が入り交じっていて、塩基が多くpH値は中性で、ヘドロもたくさん含んでいるので園芸用培地には適さないそうです。

その上に、新たなピート層がどんどん積もって厚くなっていくほど、沼からの水分と、養分になるミネラルが少なくなっていって、腐植酸も増えていくので、強酸性で肥料が乏しく、、雨水だけで生きられるスパグナム属系のミズゴケしか生えてこなくなっちまうんですね〜。

そんなこんなで、一口に「ピート」といっても、性質も用途もイロイロあるんです。

ちなみに、ピート層はいついかなる時でも、規則正しく上・中・下の順で積み重なっているわけではなくて、地形や条件によっては、いきなり上位ピート層ってこともあるので、日本では「ヨシ・スゲなどを含むのが低位泥炭/ワタスゲ・ヌマガヤを含むのが中位泥炭層/ミズゴケを含むのが高位泥炭層」と、植物の種類でピート層の種類を分類しているそうです。

ピート層ができていくプロセスを、イメージで見るとよく分かる気がします。層が厚く積もっていくほど、水分・養分・pH値の変化で、生えてくる植物の種類が変わっていきます。

1番目→水生植物
2番目→水生植物+葦(アシ)
3番目→葦+スゲ
4番目→スゲ+湿地林
5番目→スパグナム属のコケ類






(このイメージは、こちらのサイトからお借りしました!)



では具体的に、このピート層ごとの特徴は・・・
「ピートの上層部分の分類」
ドイツでは、地表から25cmまでの深さまでをさし、スパグナム属以外にも、周辺から飛んできた葉っぱだの動物の死がいだのも含まれていることもあり、含有物が一定ではないため植物培地にするには、採掘したあとしばらくの間は天日干しする手間がいります。メリットとしてはミズゴケの茎がまだ生きているので、保水性が高いんだそうです。

スパグナム・ピート=スパグナム属のコケから形成されるピートモスのことで、「スパグナム・ピート」とも呼ばれるそうです。腐植が部分的に始まって間もないピート層で、保水性がとても高いです。最高品質の園芸用ピートとされる「ホワイトピート」は、このピートモス層から採られます。EC値が低く保水性がありフミン酸やタンニンなどの有機酸をたくさん含むのでpH値が3.5〜4.5程度の強酸性です。なので腐敗菌や病原菌や害虫などが含まれていません。つまり園芸用培地にイチバン向いてます。
園芸用培地にするには、有機酸を中和させて調整する必要があります。バルチック海に接するエストニアやラトビア産のホワイトピートが有名です。

「ピート・リター」=ピート上層の表面で、リター層とよばれる部分です。リター層とは、地表近くの層で、枯れ落ちたばかりの植物が積もっている部分のことを指します。地表なので葉っぱや茎、果実などなども混ざっているそうです。保水性が高く酸度が高いので、腐敗防止と消臭効果が高く家畜小屋に敷きつめられたりもします。園芸用には垂直掘削法で採掘された繊維が長めのものが向いています。

「ピートの中層部分」は、カラード・ピート、グレイ・ピートと呼ばれます。ホワイトピート層とブラックピート層の中間にあり、ホワイトピートよりも腐植分解が進んでいるので、両方をまぜたような色をしています。ピートリターやホワイトピートよりも保水性は低くなります。

「ピートの下層部分の分類」
「ブラック・ピート」=有機物の分解が進みまくり目が細かく、もうほとんど変質しません。名前の通り黒に近い色をしてます。乾燥すると硬く圧縮状態になるので、乾燥時期に採掘されたブラックピートは、燃料や活性炭のフィルターとして使われます。

「ガーデン・ピート」=冬と春に採掘されるブラック・ピートで「ソイルレス・ミックス培土」のポピュラーな材料です。北欧にあるブラック・ピートは、冬になると完全に凍結します。凍結した状態のブラック・ピートは、圧縮されず保水性が高い状態になります。上層のピートよりも目が細かく、含める空気の量はへります。凍結と解凍をくり返したブラック・ピートほど保水性が高く、良質なガーデン・ピートとされます。腐植が進んでいるため、水や酸素に触れると分解されやすいので、時間の経過とともに培地が目詰まりしやすくなるので、ポット用培地や培地の再利用には、パーライトやココ培地をブレンドしたりします。目詰まりしやすい反面で、炭酸ガスも発生しやすいため、畑ではマルチング資材(表土を覆う資材)にして、作物の葉うらからCO2を吸わせる効果的な方法もメジャーです。



ということで、物覚えも物忘れも異常に早い私のために、後々ピートについて思い出せるように書いてる部分が大きいブログです。
実際に、ピートがメインのソイルレス・ミックス培土(Terra)で土耕栽培をしてみると、「まぁ簡単!」と思います。保水性が高く保肥性も高いので、思いのほか水やりの回数と肥料の減りが少ないです。ココ栽培になれてるガーデナーなら、最初はビックリするかなと思いますがココ栽培とほぼ同じでカンタンです。


最後に、雑菌や腐敗菌が生きられない酸性のピートでできた泥炭地帯では、こんなミイラもできてしまうんだそうです。

http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/0709/feature05/gallery/index.shtml