2012年11月12日月曜日

ハイドロで起こる培養液の酸欠の恐怖!

TERRA培土のトマトたちは、咲いた花たちが次々と実っています。花たちは、勝手に咲いては勝手に実ってくれてます。受粉作業は、したことありません。(結実促進のホルモン剤もスプレーしたことありません。)














夏野菜たちは、せっかく待望の花を咲かせても、花を咲かせたり実るためのホルモンが不足していると、花が実らずポロッと落ちてしまったり、次の花がどんどん小さくなってしまい、大きな果実が穫れなくなってしまいます。
大きな花を咲かせたり、実らせたり、果実を大きくオイシくする方法はイロイロなテクがあるかと思いますが、大きなポイントとしては「チッ素過剰にしない」ってことは、大切だと思います。

ハイドロ用のベース肥料には、すべての必須肥料成分が、とっても吸収されやすい水溶性で配合されているので、普通だったら「チッ素だけ過剰になっちゃう」ってことは、あまりないと思われがちですが、実はわりと起こってます。

チッ素過多のせいで、花が実らず落ちてしまう原因には :

■培養液の水温やpH値が最適範囲からズレてる。
■光や炭素が不足して、デンプンが足りなくなってる。

ってこともありますが、

■根っこが酸欠になってる!

ってことも、割と起こってます・・・とくに、根っこがメイッパイ張ってきたときとか、NFTなどの列の最後などなど。





Sodapnoicsのトマトたちの培養液のpH値が、勝手に下がってくるようになりました。培養液のpH値が勝手に下がってくるようになったら、ベース肥料を Aqua VegaからAqua Floresにチェンジするタイミングです。














ということで、

【ハイドロで起こる培養液の酸欠の恐怖!】

についてですが、植物の根っこは、ワタシたちとおなじように「酸素呼吸」をしているので、培養液には、常に酸素がないとNGです。そして、一般的に水耕栽培の培養液には、溶存酸素量が8ppmあればGOODだね! って言われていて、培養液の肥料濃度が濃くなり水温が高くなるほど、メキメキと減ってしまいます。

↑このトマトたちを育ててるハイドロ・システムは、培養液を循環ポンプでくみ上げて再び根元にドリップする循環式システムです。培養液に溶けている酸素の量、つまり「溶存酸素量=Dissolve Oxygen」は、4.2ppmでした。



培養液の溶存酸素量をもうちょっと増やしたいな、と思いました。培養液の酸素量を増やすには、もっと大きな循環ポンプに取りかえるって方法もありますが、もっとカンタンな方法があります。
それは、単にタンク内の培養液の量を減らして、培養液が落ちる高低差を大きくするだけです。
ということで、11リットルのバケツのなかの培養液の量を8Lから5Lに減らしてみると・・・
溶けてる酸素の量は、1ppmくらいアップして5ppmほどになりました。

こんなアナログで地味な工夫が、積み重なって大きな結果につながっていくんだと思います。






(ちなみに、スプリンクラーで培養液をしぶき状にするエアロポニックス・システムでは、溶存酸素量は5.5ppmほどありました。エアロポニックスのほうが酸素量は多いようです。)

植物の根っこに必要な酸素量は、8ppmだとOKで、最低でも4〜5ppmはゼッタイ必要といわれてます。
ところが、培養液に溶けている酸素の量が1.5〜2.0ppm以下になると、まずリン酸とカリウムが吸えなくなり、吸収量がガクンッッッと落ちてしまいます。そしてその状態が長期間つづくようになると、今度はカルシウムとマグネシウムまで吸収できなくなってしまいます。

リン酸・カリウム・カルシウム・マグネシウムが不足すると、もちろんチッ素をアミノ酸やタンパク質へと同化できなくなって、チッ素が過剰になります。そのうえ、大きな花を次々に咲かせたり果実を実らせたりする植物ホルモンは、根っこでつくられてるので、根っこが酸欠になれば、もちろん植物ホルモンも足りなくなって花が落ちちゃったり、徒長しやすくなっちゃいます。




ということで、水の溶存酸素量を増やすには、まずバケツなどに汲んだ水を高いところから何度もバケツにうつしなおす・・・という手があります。

浄水器に通していない水道水をくんでおいて、4日ほどたった水です。水のなかには「花崗岩」や「備長炭」をいれて塩素を飛ばす工夫をしてます。この水の溶存酸素量は8.5ppmほどです。(水道水を汲んでおくと塩素は抜けますが、酸素も抜けてしまいます。)














この水を高いところからバケツにうつして、もどす・・・ということを2回ほどやって、溶存酸素量をふやしてみると9ppmになりました。これで、塩素が抜けて酸素はたっぷり、という理想的な水になりました。














水にベース肥料を溶かすと、溶存酸素量はあっというまに6ppmほどまで下がってしまいますが、培養液にしたあとに、バケツからバケツにうつしたり、噴霧器スプレーで高水圧で培養液タンクに注げば、溶存酸素量は7ppmほどまで上げられます。(ほんとアナログですが。)



ついでに、水道水の塩素=次亜塩素酸についてですが、植物にとって、塩素もいちお肥料なので、植物によっては、塩素不足というのも起きてきます。

ので、あまり神経質になりすぎなくてもいいとは思いますが、塩素を抜きたい場合は、水道水を汲んでおいて、4日目もすれば塩素は抜けてオルトトリジン液を入れても黄色くなりません。







このオルトトリジンを入れた水に、少しでも水道水を入れれば、あっというまに黄色になります。
(塩素が含まれていると、黄色に変色します。)

水道水を汲んでおいた場所が、せまかったり、無風だったりすると、塩素は抜けにくくなりますが、そんな場所でも、水にブクブクエアポンプを入れておくと塩素は抜けます。












あ〜と〜、培養液の酸欠が引き起こす、そら恐ろしい? 事態は、酸欠になると根っこが有機酸発酵しはじめてしまうので、培養液のpH値は、ドド〜ンッッッと酸性に傾きます。開花期の後半に培養液のpH値が4とかに下がってしまう原因には、これもあるので、pH値がどんどん下がってしまう時は培養液の酸素量を増やす努力も大切かなと思います。


また、水耕栽培では培養液にブクブクのエアポンプを入れると、pH値はちょこっと上がります(アルカリに傾きます)。