2014年5月19日月曜日

水耕栽培はずせないこと。パート2

半袖姿で歩く人々を見ることがまったくめずらしくないほどに、初夏を思わせるお天気が続きます。

そんな週末は、麻生区環境センターで「Veg&Fork マーケット」が開催されていました。


















川崎市麻生区は、JAによるファーマーズ・マーケット「セレサモス」があったり、柿生という地名からも分かる通り、日本最古の甘柿禅寺丸柿発祥の地だったり、なによりも川崎市でイチバン農地面積がひろく、まさに川崎の「農」を語る上では外せないエリアです。

当日の会場には、授乳ティピがあったりと、お子サマづれのファミリーにもうれしい気遣いが・・・




























距離的には近いのですが、気持ち的にはあまりなじみがない麻生区だったので、ようやくたどり着いたのは昼下がり、目的の自然栽培の農産物たちは、ことごとく売り切れていました。午前中は、ものすごい来場者の数があったそうです。また、農産物やコスメ、屋台グルメばかりでなく、ライブもやってました。プラプラ歩いてるだけでも飽きません。次回は秋の開催だそうなので、今度こそ、野菜やスイーツをGETしたいと、思います。




















さて、おハナシは180℃変わりまして、挿し木取りについてです。
↓手軽に失敗なく、さらに最短の日数で挿し木が発根できるシステムでは、「エアロポニック」がもっともパワフルです。
























エアロポニック・システムは、市販のシステムをGETしてもよいし、10L程度の小さなシステムならば、DIYで作ることもできます。

【その1】360℃マイクロスプレーでつくるエアロポニック・システム
http://desktopfarmer.blogspot.jp/2013/12/diy.html

【その2】挿し木取りのポイントをからめたエアロポニック・システムの作り方はこちら:「さあ、挿し木をとろう!!!」
http://desktopfarmer.blogspot.jp/2011/09/blog-post_09.html

「不親切なD・I・Yプチ講座〜クローンマシーン編〜」http://desktopfarmer.blogspot.jp/2011/09/diy.html






エアロポニック・システムでの挿し木取りに向く植物は、夏野菜やハーブなど茎がヤワラカく寿命が短い「草本=そうほん」に分類される植物です。

しかし、果樹、樹木など、生きている年月が長期間にわたり、表皮が木質化(もくしつか)し、木に育つ植物、いわゆる「木本=もくほん」の挿し木取りは、システムの管理が長期間にわたってしまうので、エアロポニック・システムは向きません(いやいや、何ヶ月でも根がでるまで管理できるのだ! という場合は、OKです)。


挿し木取りの大きなポイントは、

  1. 発根しやすい枝をえらぶ
  2. 乾燥を避けて湿度を高く保ち、培地の水切れを起こさない
  3. 高温、強い光は控える



1.「発根しやすい枝」ですが、

「トップのほうの新しく出た枝がいい!」というガーデナーも入れば、「いやいや、根元に近い古い枝のほうが、発根率がいい!」というガーデナーもいますが、理屈の上では、「C/N比=炭素率」が高くなってる根元の枝の方が発根しやすいコンディションだと思います。

C/N比と挿し木の発根に関しては、こちらでドーゾ!
http://desktopfarmer.blogspot.jp/2013/05/blog-post_30.html


イチバン大切なことは、挿し木をとる親株(マザープラント)に濃い肥料を与えないことです。「挿し木を取りたいな!」と思ったら、約一週間ほど薄めの培養液で管理して、体内のチッ素量を下げてからにします。

屋外で育てている植物であれば、3日以上よく晴れたあとに挿し木をとるようにすると発根しやすいコンディションになっているはずです。



2. 「湿度を保ち、水切れを起こさせない

挿し木の枝は、根がないので葉っぱから水分が蒸散しすぎるとすぐにしおれてしまいます。なので、「湿度」は、ものすごく大切です。植物は、葉っぱからも多少の水分や養分が吸収できるから、ということもあるのですが、大きな理由は、空気が乾燥するとニンゲンのお肌とおなじで、葉っぱの老化が早くすすんで細胞の修復力が弱まったり、新たな細胞分裂がしにくくなったりするからです・・・つまり発根しにくくなります。
湿度は、かならず温度とセットで管理せねばならんのですが、挿し木取りは温度25℃前後、湿度70%〜85%がGoodです・・・ちょうど今ごろの季節に、超音波加湿器をかけたような状態がベスト・・・と、想像してください。




3. 「高温、強い光は控える

しつこく言ってることなのですが、水温が上がると酸素がへります。そうなると、雑菌も増えやすく挿し木が腐りやすくなります。
とくに夏場は、エアロポニック・システムのポンプをずっと作動させて挿し木にスプレーしているとタンク内の水温をお湯状態にしてしまうので、タイマーで15分ON/OFFにするなど、挿し木の切り口が乾燥してしまわない程度に、ポンプを休ませることが必要になります。逆に水温が冷たくなりやすい冬は、ポンプを作動しつづけていれば水温を上げる効果があるってことになります。

挿し木取りのときの光の強さですが、強すぎる光は高温や乾燥もつれてくるのでゼッタイにNGで、晴れた日の日陰の明るさ・・・または10000lux以下で十分です。

「照度計なんて、買えないよ!」というおヒトは、こちらをドーゾ!
iPhoneが、照度メーターになります(・・・が、あくまで目安とお考えください)。
https://itunes.apple.com/jp/app/light-meter-lux-measurement/id642285909?mt=8&ign-mpt=uo%3D2
注意したいことは、栽培用LEDは光量が少なく挿し木取りに便利ですが、冷却ファンがついているので空気が乾燥しすぎることがよくあります。湿度計できっちり湿度をチェックしながら保湿を心がけることがポイントです。

また、30℃以上の高温は葉っぱからの水分蒸散がすすみ、発根する前にしおれやすくなったり、加湿していても雑菌がガツガツ増えやすいので、あたたかい春の曇りの日・・・を目指すことがポイントかと思います。




または、タイタンのようなフラッド&ドレイン・システムならば、挿し木取りから収穫までひとつのシステムでできるので便利です。それについては、また次回!