CANNAオフィシャルサイトに
「かけ流し式システムでの栽培 Run-To-Waste (かけ流し式 ): 入門編」
がアップされたので、記事をカンタンにまとめました。
“ Run-To-Waste ” 日本では「かけ流し式」と呼ばれる水やり方法は、
特別な技術が必要でも、高価な機材が必要でもなんでもなく、単純に一度与えた水を再利用せず、捨てる、ってことです。お庭で育ててる野菜やお花に、ジョウロやホースで水やりするのも“ Run-To-Waste ”です。
つまり、青空のもとでのプランター栽培や、畑の作付けをしているガーデナーにとって、“ Run-To-Waste ”とはなんなのか? なんてホトンド気にしなくてもよいのですが、ハイドロポニック・ガーデナーには大きな意味を持ちます。
NFTシステム、DWCシステム、再循環システム、フラッド&ドレイン・システム、そしてエアロポニック・システムなど、ハイドロポニック栽培のすべての水やりが、培養液をくりかえし与える再循環式です。その理由は、ハイドロポニック・システムに使用するロックウールやクレイペブルスなどの培地とシステムに使われる容器が、酸やアルカリで変質せず、保肥性もない不活性な性質なので、1〜2週間、おなじ培養液をくりかえし植物に与えても大丈夫、という前提があるからですね。
それに対して、植物繊維が原料である有機培地をつかったCOCO栽培やTERRA培土でのソイルレス・ポッティング栽培での水やりは、“ Run-To-Waste ”、かけ流し式の水やりでなくてはなりません。つまり培養液を再利用する栽培はNGです。有機培地に与えた培養液の排水には、根が排出した老廃物や培地にたまっていた肥料の吸い残しなど、多くの不純物が含まれているため、再循環させると生育障害の原因になってしまいます。
“ Mass Flow〜 マス・フロー 〜 ”について。
さて、“ Run-To-Waste ”と聞いて「なんのこっちゃ? 」と思っても、「かけ流し式の水やり 」と言われれば、「なんだ、普通に水やりすることか!」と理解しやすいと思いますが、“ Mass Flow ”は、日本の園芸用語だと「蒸散」という解釈がされていて、記事では蒸散とはちがう意味合いで使われているので解説しておきます。
記事中の“ Mass Flow ”とは、肥料成分が水に溶けて植物が吸収できる状態になる、と説明されていて、「マス・フロー計測器=固形の肥料が水に溶けた量を測定するメーター」なんて使われ方をしています。
ということで、この記事がいいたいことは、“ Run-To-Waste ”は、一番ナチュラルで、生長トラブルも少なく、培地も肥料の種類もあまり選ばず失敗が少ない水やり方法ですが、自動化するにはコストや設備が必要だし、排水を捨てる手間がかかります。ハイドロポニック栽培は、“ 培養液の再循環 ”ができるので、捨てる水も少ない栽培方法ですが、使用できる資材が限られていることと、培養液のメンテナンスの手間がかかります。
どちらがベストなのかは、育てる植物と育てる人とのニーズ次第です ってことです。