「クローン」というと、なんだか大それたことのように聞こえますが、大きく育ったイチゴの株は、春に実をつけたあと、初夏にさしかかる頃に
←こんなふうに、子苗であるランナーをニョロニョロッとタコの足のように出すので、この子苗を発根させて大きく育てて、その年の新苗として、流通したり栽培されたりしていきます。
イチゴなどクローンでふやす植物では、優秀なマザープラント(親株)の存在が、不可欠ですが、ランナーからイチゴを育てた今年は、親株のコンディションが、どれだけ子苗に影響するか、よくわかりました。
今年でたランナーから大きくなったイチゴ苗です。右側のイチゴの方がコンディションがよいです。このふたつのイチゴは同級生で、品種は両方とも「あかねっ娘」ですが、親株が、それぞれちがいます。
ふたつとも、まったく同じ培地、まったく同じ培養液で管理してきました。
8月ころから、ココ培地用ベース肥料をCO2を吹き込んだタイプの炭酸水100%でうすめてつくった培養液だけをあげ始めて、現在も同じです。(pH値管理なし、水温だけ18℃〜22℃になるように気をつけてます。)
炭酸水のおかげかどうか分かりませんが、今年のイチゴたちには、まあっっったくアブラムシがでてません。
↓これが、親株たちです。右側の親株なイチゴは、葉っぱが大きく上を向き、イキオイがあります。左側の親株イチゴは、葉っぱが小さく横にひろがっています。
親株と子株をならべてみました。奥のふたつが親株チーム、手前のスリットポットが子株チームです。
子株の葉っぱは、親株の葉っぱや茎と、よく似ています。さすがクローン苗です。
右側の優秀な親株と子株は、葉っぱにつやがあって、茎が上を向いていて葉っぱが持ち上がっているので、根もとがチラホラと見えます。
イチゴにとって、ランナー子苗をだす作業は、とっても大変な体力がいるんだと思います。
なので、元気に根っこをたくさん張った親株であればあるだけ、ランナー子苗に養分を送ってあげられるので、親株がちがう同級生の子苗に、ここまで生長の差がでたようです。
ということで、あまり優秀でなかった親株イチゴでしたが、今年の秋、このコはイチバン先に花芽をつけてくれました。ワタシの「思いこみ」ですが、「ひとつの株が、ツボミをつけると、まわりの株も、つられてツボミをつけはじめる・・・」と信じてます。
おかげで? 優秀な子苗たちもやっと花を咲かせる気になった、と思っています。 ので、役に立たないムダな命はひとつもないんだな・・・とキレイにまとめたいと思います。
ちなみに、クローンでの植物の繁殖方法は、挿し木や葉挿し、根っこで株分け・・・などいろいろありますが、イチゴをはじめ蘭や食虫植物など、種子でふやしにくく、無菌状態での繁殖がベストな植物では、ウイルスフリーで優秀なDNAをもった株が、大量に増殖できる「組織培養」という方法も多く利用されています。
「 組織培養=ティッシュカルチャー 」については、過去に「おウチでできる組織培養、キッチンカルチャー」にトライしたことがあります。・・・めでたく失敗しましたが。
組織培養は、優秀なマザープラントから切り取った葉っぱや茎を細かく切りきざんで、肥料と植物ホルモンをふくませた寒天培地で、細胞分裂させて大きく育てていきます。
なので、きざんだ植物片の数だけ、おなじDNAをもった優秀なクローン苗がたっっっくさん、つくれることが最大のメリットですが、デメリットは失敗が多いってことと、クローン苗が一人前になるまで年単位の時間がかかる植物もあるってことです。
ちなみに、「組織培養」に必要な器具ですが、寒天培地と植物ホルモンさえGETできれば、・・・
水耕栽培用の肥料、pHダウン剤とpHアップ剤、pH/EC測定メーター、蛍光灯などのグロウランプ、ついでにインラインファンとエアフィルターをもってるおヒトなら、
その材料で、おウチでできてしまいます。
あとは、手順と培養液レシピを把握して、無菌ボックスと圧力鍋、電子レンジなどなど、なんとでもなる材料をなんとかすればOKです。
興味のあるおヒトは、こちらで・・・
http://desktopfarmer.blogspot.com/2010/07/1.html
http://desktopfarmer.blogspot.com/2010/07/2.html
ということで雑菌のすくない冬になったことだし、そろそろ「キッチンカルチャー」のリベンジをしたいと思っているところです。