2010年5月11日火曜日

ココ培地、水耕栽培のバラたち

室内栽培ココ培地のバラたちが、咲きました。

バラをそえれば、作業用台車もこんなにハナヤカに!?

「水耕栽培」のひとつ、ココ栽培でそだててます。

ちょっと今さら感がつのりますが「養液栽培」というのは、培地じたいには施肥をしないで、肥料など低分子になってる養分を水に溶かして培養液で肥料を吸わせる栽培方法をひっくるめた総称で、







「水耕栽培」は「養液栽培」のうちのひとつです。水耕用の培地は肥料やpH値に影響しないものでないと使えません。

英語では、培養液で育てる栽培方法をひっくるめて
「 Hydroponics 〜ハイドロポニックス〜」です。

「 ハイドロポニックス = 養液栽培 」と訳するのが、いちばん正しいのかもしれませんが、「 ハイドロポニックス = 水耕栽培 」って覚えているヒトのほうが多いような気がします。

厳密にいえば「水耕栽培」ってのは、培地そのものは植物の根元をささえる程度のちいさなもので、根っこのほとんどが培養液に浸かっている状態を指すようです。

ほんとは、ロックウール培地だけで育てて培養液を水やりしてたら「ロックウール栽培」だし、ココ培地だったら「ココ栽培」なんですが、メンドクサイのでロックウール栽培でもココ栽培でも「 水耕栽培 」って呼ばせてもらってます。

むかしは「水耕栽培」で使ってもOKな肥料や養分は「 化学肥料=無機肥料 」以外はムリでムダというのがあったり前でしたが、いまでは有機成分の肥料や活力剤はもちろん、ビタミンや糖分、はたまた微生物まで「 水耕栽培でつかうと効果あるね 」となりました。それは根っこが分子の大きな有機成分もがんばって吸えてるってことがわかってきたからです。(とはいえ、土壌用の有機肥料は分子がバカデカすぎて、そのままではいくらなんでも水耕栽培ではNGです。)

愛しのアンティーク・レースが、やっと咲きました。


ウドンコ病に悩まされ,毎日毎日ふき取っていた苦労も、開いたバラを見ていれば、よい思い出です。








それにしても、バラの無農薬栽培ってほんとうに忍耐力の勝負です。

ケイ酸資材をあげはじめてから,ウドンコは葉っぱに出なくなりましたが、ツボミは抵抗力がないので、なかなか撃退できませんでした。

藻類が効くって聞きかじり、ロックウールの表面にただよってた「アオミドロ」をツボミに塗ってみたりもしました。(効果は未知数です)

コーヒーオベーションというミニバラです。

バラやパンジーを水耕栽培用の肥料で育てていると、お店で並んでいる同じ花の色とは、ずいぶん変わるんですよ。

花びらの色は、実はミネラルの効きでかわるそうで、ウチのバラやビオラたちは青〜紫系の赤がつよく出ます。
これは鉄分がよく効いてるってことらしいです。




詳しく調べないとその他の色については分かりませんが、きっと花卉の生産者の方なんかは、花びらの色目の出し方を知りつくしているんだと思います。

バラの切り花生産現場では、レタスのような培養液に根っこをひたす水耕栽培ではなくて、ロックウールや土壌の培地に、うすい培養液を毎日ドリップする灌漑(かんがい)システムがほとんどなようです。バラとイチゴはおなじ属で根っこも似ているので、培養液につかっていると根っこが茶色くなってしまうようです。

これから暑いさかりになって、培養液の水温が30℃とかになっちゃうと、いくらエアレーションしてても酸素は足りなくなるし、植物の根っこは呼吸がはげしくなって生長や花を咲かせてる余力がなくなってきちゃいます。

そこでココ培地なら、高温ストレスから根っこを守ってくれるし、培養液タンクに比べたら湿度も上がらないし酸素も確保してくれるし有機成分も劣化しにくいので、高温多湿な日本の夏場にぴったりなんです。

2010年5月10日月曜日

棚田だなー!!

ゴールデンウィークの連休中、開放的な気分で山間部をドライブしていて、つい申し訳ない気持ちになってしまうのが、汗だくになって田植えをなさる農家の方々を見かけるときです。

5月の連休は日本のおおくの地域で、ちょうど田植えシーズン最盛期なんです。

なんて思いながらも、雑草がきれいに刈り取られたあぜ道や、若い水稲が水面からズラッと顔をのぞかせている景色を眺めていると、とても新鮮でスッキリとした気分になれます。














千葉県鴨川市は、日帰りできるし海あり山ありウマいものありで、見どころたくさんのチョーお気に入りスポットです。そして今回、鴨川には「 棚田 〜たなだ〜」がいっぱいあることを発見しました。



田植えシーズンのこの時期の早朝の景色がいちばん人気で、水をいっぱいにたたえた水田に朝もやがかかったり、まわりの山々や朝日や夕焼けが水面に映りこんだ写真がたくさんあります。

イネがグングン生長する初夏にはいちめん鮮やかな新緑になり、稲穂がみのる晩夏になると見下ろすかぎり黄金色で、まるで金色の海の波のようです。















ここは「日本の棚田100選」のひとつ「大山千枚田」。東京からいちばん近い棚田です。

じつは、この棚田はオーナー制度になっていて、応募が通れば田植えから収穫まで参加できるんだそうです。ちょうどこの日はオーナーさんたちが田植えのまっ最中でした。おジャマにならないように写真を撮らせていただきました。















平地の四角く切った田んぼならば、大きな田植機でシュパッシュパッと田植えできちゃいますが、棚田は段差もあるし1枚1枚の田んぼが小区画・不定形なので、手植えか小型の田植機しか使えないそうです。

この千枚田がある大山地区でも、農家の方々の高齢化がすすむにつれ、労働力と人手不足から、耕作放棄された棚田が増えていってしまったそうです。














そこで、貴重な民間農法のノウハウや地元文化を絶やさないために、棚田のオーナー制度をはじめ農家の方以外でも水稲づくりに参加できるカタチにされたそうです。

東京からいちばん近いこの棚田、いまでは参加希望者がとっても多く、参加できない希望者も出てきてしまうほどだそうです。

収穫したお米から日本酒の仕込みも体験できるということです。たのしそー!
参加したい気持ちをぐっとこらえて、ひとまずは室内の水耕稲作をがんばります。

2010年5月7日金曜日

〜ハイドロボール〜上手に洗って再利用

タフな植物を枯らしてしまった時に、なぐさめもかねた便利な言い訳が「 この植物とは相性がよくなかったんだなぁ 」です。

よほどのことがないと

枯れたりはしない「ポトス」が

連休明けに枯れていました。

ハイドロカルチャーで育てていたんですが、

根ぐされしてました。







培地は「ハイドロボール」というもので、ハイドロカルチャーで一番使われている培地です。「ハイドロボール」とは、バックリといえば「 チョコに入ってるパフみたいで、丸っこいカタチをしたレンガ 」です。

「ハイドロボール」の内側には、気泡がたくさんあるので軽くて通気性がよくて肥料成分やpH値に影響しないので、ハイドロカルチャーや水耕栽培の培地によく使われてます。ハイドロボールには粒の大きさにバリエーションがあって、細かい根っこの観葉植物には小さな粒のハイドロボール、野菜など根っこが太くてたくさん張る植物には大粒のハイドロボールにすると、酸素量や水分量が丁度よくなります。

ドイツの「ハイドロトン」というメーカーが有名ですが、英語では「Expanded Clay」とか「Clay Pebbles」なんてよばれてます。

「ハイドロボール」自体には保水性がほとんどないので、水耕栽培なら培養液を循環させて「ハイドロボール」にドリップさせる循環式のように培地全体に培養液が行き渡るシステムが向いてます。

「ハイドロボール」は、ほかの水耕栽培用の培地にくらべてちょっと割高ですが、くり返し使えるのが、大きなメリットです・・・ということで、枯らしたポトスに使っていた「ハイドロボール」を再利用するために洗いました。

使用した「ハイドロボール」の中や表面には、肥料成分がかたまって塩基がかたまったり、病原菌が住みついたりしてしまいます。

水だけでガラガラッと洗っても根っこや肥料のカスなどはあらかたキレイになりますが、消毒や塩基ぬきをしたほうが安心して再利用できます。






市販の「オキシドール」を水道水にちょこっと入れて「ハイドロボール」を洗ってみました。塩素系の漂白剤でもいいそうですが、ニオイが苦手なのでオキシドールにしました。

「オキシドール」を水に入れるとブクブクと泡が立ちます。「オキシドール」っていうのは薄い濃度の「過酸化水素水」のことです。

「過酸化水素」は活性酸素のひとつで、濃度が高い「過酸化水素水」だと爆発したり火傷したりと、とっても危ないので「毒劇物」に指定されてます。薬局で手軽にGETできる「オキシドール」は濃度が3%ほどです。薄い濃度のものは安定剤が入ってますが、それでも殺菌効果があるし、「H2O2」なので蒸発すればカンタンに水と酸素に分解されます。
つまり「ハイドロボール」を安全に消毒しておソウジできるってことです。

「過酸化水素水」は「オゾン水」に効果が似ていて、とくに水温の高くなる夏場は水耕栽培の培養液にいれるとメリットが多いので、大規模な水耕栽培の野菜の生産現場では「35%過酸化水素水」を使って、培養液の消毒と酸素の供給をいっぺんにやったりすることがあります。

海外のホビーガーデナーでは、「35%過酸化水素水」を使うヒトがたくさんいるのですが、上手に使いこなすには注意しなくてはいけないことが山ほどあるので、こちらで説明しました。
http://desktopfarmer.blogspot.com/2010/05/blog-post_31.html

で、水1Lにオキシドールを30mlほどいれて数時間つけておいたハイドロボールですが、

そのあと水道水でガシガシときれいに洗い流してからザルにあげて一晩おいて、オキシドールをとばしました。









100%の消毒と塩基ぬきはモチロン無理ですが、
水で洗っただけよりも、遥かにキレイになります。
しかも容器にへばりついていた苔なんかもキレイになって一石二鳥!!

ちなみに、根グサレがでてしまったり収穫がおわった水耕栽培のシステムに、オキシドールや過酸化水素水の希釈液を入れてぐるぐると30分くらい作動させると、システムのおソウジもできちゃうそうです。

この「ハイドロボール」、内側に気泡がたくさんあるので微生物なんかが引っかかって住みつきやすいそうです。海の中の魚礁ににてますね。

なので水耕栽培で有用な微生物資材を使うのに向いてるそうです。有用菌を使う場合は「ハイドロボール」を消毒しなくても病原菌の繁殖は抑えられるので、酵素系の活力剤や水で洗えば再利用できるそうです。逆に「過酸化水素水」や「漂白剤」で消毒すると有用菌が死んでしまうので、年に一度くらいの消毒でいいそうです。

もちろん「ハイドロボール」を培養土やココ培地にちょっとまぜてると酸素量と微生物をふやすこともできますが、土には戻らないので捨てる時にゴロゴロと残ってちょっと困ったりします。


2010年5月6日木曜日

連休明けは、水やりラッシュです

ゴールデン・ウィークは、お天気に恵まれて、みごとな行楽日和でした。

おとなりの県の海岸を朝から晩までぐるっと一周したおかげで、はやくも日焼けしました。山も気持ちいいですが、広い海と空の開放感はたまりません。

























お天気に恵まれた連休のおかげで、仕事場のプラントたちは花ざかりで、みんなノドがカラカラでした。

バラ・多肉・ホップ・お米・・

生長段階が違うので、

肥料レシピもそれぞれ違います。

水を汲んでは培養液をつくりpHを調整して・・・

あー、いそがしかったー




水耕栽培のお米たちも元気です。

半分ヤッツケで植えた
ココ培地+ペットボトルのイセヒカリの方が、

なぜだかVIP扱いのロックウールのイセヒカリよりも

グングン伸びてます。






ココ培地の培養液の方が水温が高いので、生長も早いのかもしれません。

同じロックウール培地で育てているイセヒカリでも、エアレーションなしの方が微妙に生長が早かったりして、お米ってほんとうに不思議です。

2010年4月30日金曜日

Grow Your own Rice! 室内田植え

ついにイセヒカリを田植えしました。

田植えといっても、たかだか18本の稚苗をロックウールポットにポコッとはめ込んだだけなのですが、なんだかヒトシゴト終えた気分です。














イネが風にそよいでる様子をみていると、なんとも気持ちが安らぎます。














ところで、このイセヒカリの稚苗は全体に緑色がうすく、葉の先はちょっぴり枯れ込んでいます。


普通、水稲作の稚苗の管理は、

窒素をタップリとあげて、

濃い緑色の苗になったほうが良いといわれてます。



ところが、水稲の稚苗を

「どう見ても窒素不足!!」

な状態にするのが

「匠の技」のひとつだそうです。









窒素をたっぷりと吸った濃い緑色の水稲の稚苗には,虫がつきやすいうえ徒長気味になり、倒れやすくなってしまうそうです。

室内なら台風なんてこないので稲が倒れる心配はありませんが、室内栽培で病気や虫がいったんつくと、農薬なしでは駆除がものすごく大変です。それに「 幼苗期の苗を窒素不足にするといいかも!  」なんてアイデア、今まで思いもつかなかったので「虫や病気もつきにくくなるなら」とトライしてみました。



ところでミニバラの

コーヒーオベーションが房咲きしてます。

アンティークな色調のバラが好きです。












まさにアンティーク・テイストなバラの代表、「アンティーク・レース」もツボミがつきました。

が、

このバラは、「咲かせるのがむづかしい」とは聞いていましたが、ここまでとは!!
ツボミがつくと、ことごとくウドンコ病にたかられてしまいポトリと落ちてしまいます。














ウドンコ病はイチゴやメロン,キュウリの生産者泣かせのしつっこーい白カビ病です。無農薬で野菜やバラを育ててるヒトはダレでも泣かされた覚えがあると思います。ナス科にはナス科のウドンコ病、バラ科にはバラ科のウドンコ病、とそれぞれ植物の分類によって発生するウドンコ病はカビ菌が違うようです。

カビ菌は、アルカリ性に弱いので「石灰資材」でも撃退できるんですが、石灰などが培養液に入るとイッパツで養分バランスが崩れます。

そこで生産者の方々は「水溶性のケイ酸資材」で、この難局を乗り越えていらっしゃるとか。ケイ酸は石灰のようにアルカリ性ですが、与えすぎても障害もでないので安心です。水溶性のケイ酸は、イチゴでもバラでもスイカでもメロンでも稲でもトマトでもウドンコ病以外のカビ菌や害虫避けの効果がでているとのこと。

とっとと手持ちの「水溶性ケイ酸資材」を培養液に加えました。カビ性の病気が葉っぱに出ている場合は、薄めに希釈してまんべんなく葉面散布したほうが速効性があるみたいです。

「アンティーク・レース」にも、しっかりと葉面散布してみました。無防備なツボミは、まだ油断ならない状態ですが、葉っぱに広がっていたウドンコは、ほぼきれいになりました。(新芽にはウドンコがつくので、一週間に一度は葉面散布を続けます)

「水溶性ケイ酸資材」、無農薬栽培のつよい味方になってくれそうです。

2010年4月28日水曜日

ガーデンショーで「タネ マモル オカタ」3

つまり固定種の野菜なら毎年タネを買い直さなくてもOKですが、F1品種の野菜だと、どんなに立派な実がなっても、翌年のタネとしては使えません。

でもF1品種だって固定種化は、できるんです。

そもそも、いま固定種として残っている日本独特の品種も、始まりはF1品種だったはずです。おなじF1品種どうしをF2、F3、F4・・・とくり返し交配させて、その都度にF1品種の特徴をもった株どうしだけを交配させていくと、F1品種のよさが安定していって、F7くらいで晴れて固定化となります。
ただ、F2、F3、F4・・・のたびに大量にタネをまくことになるそうで、とっても時間がかかります。














ベーシックなF1品種のつくりかたですが、ホップやパパイヤ、キウイなど雄カブと雌カブがべつべつの雌雄異種ならカンタンです。雌カブに、交配させたい別品種の雄カブとを受粉させればOKです。
でも植物の花の多くは、雄しべと雌しべが一緒になっているので、ほっとくと勝手に受粉して永遠にF1品種は生まれません。

そこで雄しべが役に立たない「雄性不稔」、つまりオカマな突然変異がでてくるのをひたすら待ちわびるか、無理矢理つぼみから雄しべだけをコツコツ抜き取ったりと地道すぎる作業が必要でした。

ところが最先端の「遺伝子組換作物=GMO」のつくりかたは、やり方がすこしばかり乱暴です。
ひとつは植物の細胞核内のDNAに放射線をあてて,人為的にDNAに異変をおこさるやり方。

もうひとつは植物の細胞にガンを起こさせる病原菌の遺伝子をくみかえてから植物に感染させ、ヒトサマが意図したような突然変異を起こさせるというものです。

そこに植物の意思なんてものはなく、なんとも心がざわざわとしてしまいます・・・





F1品種にハナシはもどりますが野口種苗さんのおハナシによれば、企業が肥料食いのF1品種ばかりをデザインした意図は肥料と農薬をいっぱい買ってもらうためだったそうです。

第二次世界大戦がおわったら、たくさんの国が食料不足になって
「タネを制するものが世界を制する」モードになりました。
化学兵器のニーズがめっきり減ったところで、化学兵器をつくっていた大企業は、肥料やら農薬やら除草剤やらF1品種やらの開発をはじめました。こうして食糧自給率130%の米国の農業は、合理性と利益性ばかりを優先した化合物まみれの巨大化した農場、ファクトリー・ファーム化ばかりが進んできました。




日本にF1品種の野菜や穀物がなだれ込んできたのは、食糧不足の絶頂だった戦後だそうです。アメリカは、戦争が終わっていらなくなった爆弾を肥料にして日本に買ってもらうために、肥料食いと農薬好きなF1品種の作物のタネとともに日本に売り込みました。
(ある肥料成分は爆発性が強いので、いまでも厳しく管理されています。)


そして今、スーパーに並ぶ野菜はぜんぶといっていいほどF1品種です。


ところが近ごろはオーガニックブームが盛り上がって、人気のある野菜は減農薬と減肥料の安心そだちへと変わりつつあるみたいです。








新しい品種のトマトのタネには「耐病性にすぐれ肥料もあまりいらない。とっても甘くておいしいトマトが盛夏でもよく実り、スズナリに」という能書きを目にすることが多くなってきました。
でもでも「これは昔ながらのやり方で交配させたF1品種なのかな? もしかして遺伝子組換作物(GMO)じゃないのかな?」なんていう不安が頭をよぎります。

それにしても、タネの権利を独占的に独り占め&販売することに、そんなに大きな価値があるんでしょうか? 世界的な大富豪さまは、ノルウェーに世界中の種子の銀行をおつくりになるくらいなので、きっとキレイゴトではない側面もあるのかもしれません。

そこで「野口種苗」さんは、ひとりよがりな商業主義がまきおこしそうな地球規模での生態系の破壊を防ぐために,現在も「固定種/在来種」の保存と大切さを訴えつづける活動をなさって多忙を極めていらっしゃるというわけです。

多少ムシに喰われたって不格好だって、ホビーガーデンならオイシくて安全なのがいちばんです。おウチで育てるなら,ゼシ固定種を!! っていうことなんですね。


以上、「ガーデンショーに行ってきました」というおハナシでした。


2010年4月27日火曜日

ガーデンショーで「タネ マモル オカタ」2

明日、4月28日は満月です。

わたしのツタない経験からだと、関東地方ではゴールデン・ウィーク近辺の満月が害虫の産卵の第1ピークだと思います。外で育てているバラやミカンなどは無農薬で育てたいのですが、この時期の害虫の繁殖力はハンパないです。木酢液やニーム程度ではヘコタレませんから、タマゴが産みつけられてしまったら仕方なく薬剤を使うことがあります。

害虫がいっせいに孵化する満月の3日後なら、たった一回の薬剤散布でも効果がデカイです。明日から3日後だと5月1日です。そのためだけにGWのお出かけをガマンするヒトもいるとは思えないのですが、このタイミング以外でダラダラと薬剤をかけても害虫をイチコロにできないだけでなく虫に耐性がついてしまったりします。

昨日にひきつづき、「東京インターナショナルフラワー&ガーデンショー2010」のおはなしです。














「ネスト=鳥の巣」というオーストラリアのメーカーのデザインです。まんなかは、ベッドになってます。ゴロンと寝たら気持ち良さそうです。


どうやってベッドまでたどり着くかといえば
「入らないでください」から入ります。

「夏ここでビール飲んだらヨサゲだけど蚊取り線香がいるなぁ・・オーストラリアならゲッコーが近くに来てくれるかなぁ・・」
などと妄想はつきません。







ところで、なぜ野口種苗さんは固定種にこだわるのかといえば、こちらにヨクヨクご説明があるのですが、野口さんの講演会でお聞きしたことをバックリとまとめると、「オイシくてヒトにも環境にも安全で栄養価の高い農作物が,安くつくれるから」だそうです。

だったらF1品種は「マズくて危険、栄養がカスカスで、高くつく」のかといえば全部がそうとも言い切れませんが、「流通に便利」なことを最優先にデザインされたF1品種の作物たちに関していえば、当たらずとも遠からずだそうです。

そもそも「F1品種」というのは・・・

大きくちがう特徴をもつ親どうしが交配すると、その子どもは親の優勢遺伝子だけをいつなんどきでも引き継ぐ両親のイイトコ取り状態。ところがF1品種どうしが交配して「F2」の子どもができたら,今度は親の劣性遺伝子しかでてこない。っていう、いわゆるメンデルの法則ってやつです。

これは野菜にかぎらず動物でも人間でもおんなじで、人間の優性な遺伝子の特徴は、たとえば「色素が黒,髪はちぢれる」です。
アフリカ系の肌が黒く髪がちぢれた方と、アジアの肌が黄色く黒髪ストレートヘアの方がご結婚されると,産まれてくるお子は、肌と髪が黒く髪はちぢれます。アジアの方と北欧の金髪の巻き毛で肌が抜けるように白く瞳がブルーな方とが、ご結婚なされた場合は、髪は黒くストレートで瞳も黒・・・という遺伝子が強くでます。

例えば、流通の都合だけを優先したニンジンのF1品種をつくろうとしたら

「やたら丈夫で、でっかく育つ家畜用のニンジン」

「ちっちゃいけど、栽培期間の短くてすむニンジン」をかけあわせると・・・

「でっかく育って栽培期間が短くサイズも収穫時期もビシッとそろう、それほどオイシくないニンジン」ができるわけです。


一方で、「固定種」の特徴ですが、「エアルーム・トマト」のグリーンゼブラやタイニーティムのように、遺伝子がすっかり安定していると、穫れたタネは親とおなじ特徴を受けつぎます。つまり固定種の品種は「自家採種」ができるってことです。
固定種の品種は、その土地に適応しているので、肥料が少なくても丈夫に育つし害虫の耐性もついているので薬剤もほとんど使わずに元気に育ちます。

ただ、固定種のデメリットは「発芽の時期と収穫の時期、作物の大きさ」がそろわないことです。固定種はとっても個性的なコが多いってことですね。

厳しい自然環境のなかをたくましく生き残ってきた固定種は、台風や干ばつなどの自然災害が起きても全員が死なないように、同時に発芽させないとか、個体差を大きくして少しの養分でも生き残れるちっさなヤツもいる、という知恵をもっているそうです。

・・・