2012年2月27日月曜日

ハイドロ肥料 2パートor3パート??? その2

ということで、今回は、ハイドロポニックス専用の2パート肥料についてです。


「 生長期用 / 開花期用 」が、さらに「 A / B 」に分かれているものが多い2パート肥料は、Aパートにリン酸、Bパートにカルシウム・・・というように、もっとも結合しやすい肥料要素はキッチリ分けてあるので、栄養バランスの良さからみても3パートには劣りません。

あと、3パート時代よりも肥料の配合技術が進化しているので、培養液のpH値が適正範囲から外れにくいように、独特のpHバランサーが配合されてる2パート肥料がほとんどです。なので、培養液を作ったときだけpH値調整をすれば、次に取りかえるまではpH値の調整はあんまし必要ないということになります。

そういうタイプの肥料に使われているpHバランサーとなるものは、たくさんあります。例えば、このブログにちょくちょく登場するケイ酸や有機酸にも、そういった作用がありますが、有機酸は炭酸に似ていて一時的にpH値がギュ〜ンと下がりますが、「見かけのpH」と言われてしまうほどpH値の持続力が弱いので、「培養液をつくった後、数時間置いてから、そこでpH値を調整して植物に与えてください」という注意事項を書くメーカーもあるわけです。でも近頃のベース肥料には、ほとんどが有機酸が配合されているし、数時間も待たなくても培養液を作った時にpH値を調整して植物に与えて、翌日もう一回測定する・・・というプロセスでOKだと思います。

そんなこんなで、培養液の厳密なpH/EC値管理が必須となる3パート肥料よりも、手間が少しラクになるので、めんどくさがりのガーデナーや、ついつい種を撒きすぎて間引きするのもかわいそうで、苗がたくさんになっちゃった!!!という欲張りガーデナーは、2パート肥料向きかもしれません。












ここで、2パートのベース肥料が誕生した背景をのぞいてみると、もちろん「3本混ぜるのは、めんどくせ〜」というニーズが多々多々あったことが大きいです。

それと、果実を収穫する果菜類や穀類などは、圧倒的に「生長期」よりも「開花期」のほうが栽培期間が長いのですが、「生長期」と「開花期」に分けちゃえば、3パートにしなくても2パートだけでイケル! という確証がチラホラでてきたという背景もありました。

しかし、「生長期パート」と「開花期パート」に分けられた「A/Bの2パート肥料」は、つまるところ「4パート肥料」ということになるのですが、上記の通り「果実を収穫する植物」は、「開花期間」のほうが圧倒的に長いので、「生長期パート」を与える期間が短く、「生長期パート : 開花期パート」は、一般的には「1 : 3」くらいの消費量比率になりがちです。

その上、種子からの「実生栽培」ではなく、「挿し木」発根から栽培をスタートさせる場合は、「生長期パート」肥料を、ほぼ使わないというガーデナーが欧米では圧倒的に多いです。限られたスペースで大きく育つヤサイを育てる室内栽培の場合、どうしてもコンパクトに育てる必要があるのと、すでに開花を経験した親株はフロリゲンを持っていると考えられるため、光が十分にあたる草丈が低いうちに、とっとと開花期モードの肥料を与えて花を咲かせ果実を実らせた方が、収穫までが最短ですみ手間やコストも減らすことができるという考え方もあり、結局欧米では「もうメンドクサイから開花期用の2本だけでOKだわ!」という思い切りのいい男前なガーデナーもたくさんいます。

「じゃあ生長期用パートは、いらんのか? 」と思いますが、厳密にはあればあったほうがいいし、挿し木のもとになる親株のコンディション維持には、生長期パートが必要です。あと、栽培期間がながいトマトやイチゴでは、一番最初の果実が熟して収穫したあと、成り疲れをさせないためにも、チッ素が多めに配合されている生長期用パートを一時的に与えたりと、細かく言えばキリがないほど、いろいろ使い方のテクニックはあるようです。



ちなみに、2パート肥料と言えばココ培地専用肥料の存在が大きいのですが、緩衝作用が高く保肥性がある「ココ培地」は、ほとんど不活性な性質で腐食・分解しにくいので、欧米ではロックウール栽培に近い「ハイドロポニックス」として認識されてます。ところがココ培地は、その保肥性がゆえに、同じ養液を溜めて使い続けるエアレーションや循環式などのハイドロ・システムは「完全にNG」なのと、ココ培地には、もともとカリウムが多いので「カルシウムとマグネシウム」が不足しがちとなります。










逆にその保肥性を活かして、同じ比率のNPKを与えつづけても、植物が自分のニーズにあわせて、勝手に肥料を選んで吸収するということもできちゃうため、ココ培地専用の2パート肥料は、「生長期/開花期」が共通で、「カルシウムとマグネシウム」が多め「カリウム」が少なめに配合されてます。





ということで、2パート、3パート、いずれにしても無機質の肥料と不活性な培地で育てる「ハイドロポニックス」のデメリットとして「炭素源やケイ酸源など」や微生物とのキャッチボールで得られる「アミノ酸、酵素、微量ミネラル」など、土壌ならあたりまえに得られる要素が圧倒的に不足しやすいということがあげられます。
大昔はムダだと思われていた、これらの生長促進効果が評価されるにつれ、それらがタップリと配合された「ハイドロポニックス用活力剤」の種類も、増えていくこととなりました。

こんな背景もあってハイドロ先進国の欧米では、肥料はもとより活力剤の種類もたっっっくさん誕生してしまったわけですが、ほとんどのガーデナーの選択基準は口コミだったり近場でGETできるからだったりコストパフォーマンスだったりと、イロイロです。しかもベース肥料から活力剤まで、ゼンブを同じメーカーで揃えて使ってるガーデナーは、むしろ少なくって、ガーデナーそれぞれの好みやシステムや培地や経験値で、「ベース肥料は、このメーカー」「活力剤は、このメーカー」というように、「好み」で独自の組み合わせを楽しんでいます。

最後にさらっと、1パート肥料についてですが・・・

2パート肥料が定着すると、その後さらに必然的に1パートが誕生するわけですが、1パート肥料も定着した現在は、初めてハイドロポニックスにトライするビギナーが、まずは1パート肥料から使い始めて、なれてきたら2パート肥料に 移行していく・・・というパターンがもっとも多いようです。

その昔は2パート肥料をそのまんま1本にまとめちゃいました! 的な1パート肥料があって、カルシウムや硫黄やリン酸の欠乏症状がでちまったりしたようですが、近ごろの1パート肥料は、最新の技術を駆使しているので(例えば緩衝作用が高い粘土をつかったりとか・・・)もちろんそんなことは解決ずみのようです・・・が、使ったことがないので正直よくわかりません。