2012年5月28日月曜日

Urban Farms in Vancouver B.C.

アーバン・ガーデンとは、ガーデナーやコミュニティーが、都市部の狭小スペースをフルに活用して知恵と工夫でつくる菜園や花壇だったりもしますが、いつか紹介した「ウインドウ・ファーム」や、おウチでできるアクアポニックスも、アーバン・ガーデンのひとつだといえます。


窓辺畑化プロジェクト・水耕カーテンをつくろう

http://desktopfarmer.blogspot.jp/2010/03/blog-post_17.html

アクアポニックス・プロジェクトfor東北

http://desktopfarmer.blogspot.jp/2012/02/for.html




そして、カナダ・バンクーバーでも、各コミュニティーによって様々な目的でUrban Farm=都市型農園が、設置されています。

バラード通りとデビー通りの交差点にある「Davie Village Community Garden」です。
(デビー通りは、レインボーのフラッグが掲げられたサブカルチャー色の濃いオサレなオサレなエリアです。)
http://www.cityfarmer.info/2008/10/31/davie-village-community-garden-vancouver/















大きな高層ビルや一流ホテルが建ちならんでいて、菜園にさしかかると、突然に空が開けて「おおっ! 畑がある〜!!!」とびっくり。















道ゆく人々は、自由にこの菜園の中に入って見学したり、休憩することもできます。
「Raised Bed」とよばれる欧米ではメジャーな花壇の手法です。板を四方に横にわたし、土止めにしています。アイアン製のラティスなどよりお安くつくれるし、見た目もオサレです。










さきほども触れましたが、デビー通りはバンクーバーのゲイ・ストリートで、感度の高いレストランやバー、クラブが庶民派なお値段で楽しめるので、学生さんなどを中心としたローカルな若い世代の人々で、いつもにぎわっています。

そんな場所柄を反映してか、こちらのアーバン・ファームは、見た目も楽しめるステキな区画が多くありました。










バンクーバーは、世界で3本の指に入る人気避暑地だけあります。見飽きることも疲れることもなく、いくらでも歩ける海岸に沿ったサイクリングコースと歩道・・・















観光客がかならず訪れる、グランビル・アイランド・・・














グランビル・アイランドの「Public Market」では、カナダ土産はもちろん、ローカルな人々も日々のお買い物にやってきます。









カナダといえば、

メープルシロップと、サーモン。


海と大地のめぐみにあふれています。















しかし、今日の本題「アーバン・ファーム/都市型農園」に話をもどしますと、私がもっともご紹介したいバンクーバーの「都市型農園」は・・・

「SOLEfood Urban Farm Project」です。この農園は、バンクーバーでもっとも貧困が激しい地区、「DownTownEastSide」いわゆるDTESと呼ばれる地区にあります。















DTESの「East Hasting Street」沿いのような貧困ぐあいは、日本では見たことがありません。本当に・・・すべての持ち物をカートに詰めこんでうろつく人々や、マットレスが通りを占領しています。














ここは、ドラッグ中毒者の溜まり場といわれています。明らかに私より若い男の子や、私と同世代だとおもわれますが、どう見ても親と同じくらいにの年齢にしか見えないガリガリの女性が、ひたすら一点を見つめてたたずんでいるのです。


とはいえ、殺人などの凶悪事件が多発しているというわけではありません。

暗くなってから歩くとか、路地裏に立ち入らない限り、いきなりビストルを突きつけられたり、強盗にあうというような危険はありません。昼間には、150cmにも満たない背丈の地元の中国人のおばさまたちが、道を塞ぐようにたむろしているホームレスの方々のなかを普通に歩いていたりもします。





このDTESは、20世紀はじめまで実は日本人街と中国人街で、貿易で大きな富を築いた日本人たちのお屋敷が立ち並んでいたようです。第二次世界大戦がはじまると、日本人たちはすべての財産を政府に没収され、その後、なんとなく見放された感がつづき、スラム化していったようです。
現在でも、このDTES=ダウンタウンの東側では開発がほとんどされず、最近の不景気のせいでホームレス人口は増加する反面、生活保護がへりつづけ、経済がまったく麻痺している状態となっています




そこでこのDTESのど真ん中の2カ所につくられたのが、
Save Our Living Environment」= SOLEfood UrbanFarmProjectです。















貧困地域のホームレスの人々が野菜の育て方や販売までの農場経営について学び、食とともに職をえることで、自立を促すのとともに、

この貧困地域で収穫した食材を販売したりレストランでつかってもらうことで、経済を自分たちの手で回していけるようにしよう・・・というプロジェクトです。














デビーストリートのアーバン・ファームと大きく違う点として、「家庭菜園」という雰囲気は皆無で、収穫のための農園ということと、農園の周囲が金あみで囲まれていることです。
SOLEは、フォトグラファーであり、都市型農園の推奨者マイケル・エイブルマン氏を中心に、設立されました。

あるホームレスだった男性は、この農園での学習を通して、「注射器を鍬に持ちかえることができたんだ」とうれしそうに語ります。






しかし、この地域にあるもうひとつの農園は、まさにカメラを向けるのもはばかられる場所に設置されていて、さらに高いフェンスにおおわれていました。




ダウンタウン・イーストサイド、DTES界隈の路地裏では、ヘロインやアンフェタミンなどのハード・ドラッグが売買され、道ばたで使用していることもあります・・・が、なにより多いのは「アルコール中毒者」です。彼らの多くは、お腹がふくれるまえに酔っぱらってしまえるウイスキーやジンなど、アルコール度数が高いものを好みます。

そのため、バンクーバーはもとよりカナダでは、路上での飲酒は違法で、もし道ばたで堂々とお酒を飲んでると逮捕されます。カナダではスーパーでもコンビニでもアルコール類は販売されていません。お酒類は、パブやレストランで一杯ひっかける以外には、リカーショップというアルコール専門店でしか入手できないのです。しかもリカーショップには、栓抜きさえ売られていません。(家で飲む前提で、お酒を販売しているので、買った後に、すぐそのへんで飲める環境は作らない! ということのようです。)


ということで、一口に「アーバン・ガーデン」、「アーバン・ファーム」といっても、地産地消を考えてもらうキッカケとなったり、企業の宣伝に活用されたり、アートになったり・・・と、その役割や価値観は本当にさまざまです。

日本では、アーバン・ファームの先駆者PASONAさんが、自立困難な若者たちのための農業学習と自立を支援する活動を続けられています。

パソナさんや、SOLEfood UrbanFarm Projectのように、経済的自立が困難な世界各地の貧困地域や人々にこそ、「アーバン・ファーム」は、本当に必要とされていくのかもしれないと思いました。