2014年6月16日月曜日

本日は、DWCシステムについてです。

6月というのは、こんなに暑かったでしょうか? それにしても、夏至が近づくといつまでたっても明るいので、「まだまだ明るいけど、なんだかビールが飲みたい気がするな〜」と思って時計を見ると、「あらま! もう6時過ぎてる!!!」ということがよくあります。



毎年勝手に芽生えるようになった「カボチャ」たち。毎日のように雨が降った先週、はじめて雄花が咲きました。花の中をのぞいてみると、ミツバチが花粉まみれになっています。この時にもし雌花が咲いてれば、このミツバチがきっと受粉してくれてたんですねぇ。




















人によってスキかキライか、ものすごく好みが分かれる花「トケイソウ」。今年はたくさん咲きました。
毎朝「きもちわるい〜」を連発しながら、この花の前を通り過ぎるオトーさんもいらっしゃれば、住人であるワタシが近くで庭作業をしていても、まったく気がつかれないほど「じ〜〜〜〜っっっ」と見入ってしまってるオトーさんもいます。

























耐寒性もあり、とてつもなく繁殖力が強いので、すでに5月からグリーンカーテンとして機能してくれます・・・が、梅雨の季節は地獄です。ちょっと目を離したスキに、周囲の木に手当り次第に登りはじめて、覆い尽くしてしまいます。もう剪定バサミを用意しているようでは時間が足りなさすぎるので、最近では目にとまったツルを手でブチブチとちぎってます。










































自家採種のためでしょうか?  プリプリの種さやがついた「大根」、もちろん三浦半島の畑の様子です。それにしても、海はやっぱり風のニオイがちがいます!

























さて、今回は定番の水耕栽培システム「DWCシステム」についてです。

DWC=Deep Water Culture system、またはBubbler system などで知られていて、構造が非常にシンプルで、手軽に安くつくることもできる水耕栽培システムです。



















主なパーツは、フタのついたバケツ、大きめのネットポット、クレイ・ペブルス培地、吐出パワーの大きめなエアーポンプ、エアーチューブ、そしてエアーストーン。

バケツの底にエアーストーンを、バケツの外側にはエアーポンプを設置し、このふたつのパーツをエアーチューブでつなぎます。バケツの2/3〜3/4ほどまでを培養液で満たし、バケツのフタに空けた穴に、クレイ・ペブルスをヒタヒタに入れたネットポットをはめ込みます。

栽培スタート時に植物の根がまだネットポットの底から伸びだしていないとき、培養液の水位をどのくらいにすればよいか? 悩むところですが、正解はエアーポンプで培養液にエアーを送ったとき、その水圧で培養液の表面化からシブキが飛ぶので、そのシブキがネットポットにシャバシャバとかかるくらいの水位でOKです。

その後、ネットポット全体から根っこがペロペロと伸びだしてきたら、培養液の水位を下げて、根っこが空気に触れる空間をつくります・・・つまり根っこが培養液にどっぷりと浸らないようにします。が、生長いていけば、根っこはもちろん培養液中にどっぷりと伸びだすので、DWCシステムではエアーポンプを24時間動かしつづける必要があります。
「24時間つねに」・・・英語で言うところの 「24/7」です。(24/7=24 hours/ 7days a week)

ち・な・み・に、このブログではチョコチョコと英語の言い回しをワザと入れるようにしておりまして、それはつまり、「ハイドロポニックスについてのノウハウは、日本語ではまだ入手可能な情報が乏しいときがあるのが事実で、できればガーデナー自身で英語圏から正しい情報を得ようとしてほしいところ。そんな時、ひとつでも理解できるワードが多くあれば、取っ付きやすくなるにちがいない・・・だといいな!」という、ちょっとした願いからです。

ワタシ自身、当初は「Tap Water」ですら、分からなかったため、英語圏のガーデニング専門用語には、白髪がドバッとふえるほど苦労させられた経験があって、それはもちろん、今もまだ進行形です。念のため言っておくと、Tap Water は、水を叩くのではなく「水道水」です。



では、最後にDWCシステムのメリットとデメリットを・・・

  1. 構造がシンプルでパーツが入手しやすいので、誰でも安くカンタンにつくれますが、pH値とEC値をほぼ毎日計測する必要があるシステムなので、フタを持ち上げた時に根っこを切ったりしないように気を使います。

    栽培をスタートしてみてわかる、いくつかのデメリットを最小限にするためには、「既製品」をGETするのが無難です。
  2. ひとつのシステムにつき、一株を育てるのが無難です。一株以上を育ててしまうと、エアーストーンが根っこに覆われ、ルートボールが酸欠になりやすくなります。また、DWCシステムは、リザーバータンクを設けることができないので、培養液は5L〜10L程度しか使用できません。

    培養液量が少なく、根っこが常に培養液にふれているので、pH値とEC値ともに変化しやすくなり、培養液のメンテナンスは忙しくなりがちです。また、トマトなど数メートル以上に育つ野菜は、マックスで一日5Lもの培養液を吸うので、水切れに対して、毎日注意しなくてはなりません。つまりDWCシステムもまた、いろんな種類やたくさんの本数の栽培をすると、大きく後悔する水耕栽培システムです。
  3. 1週間〜2週間に一度は、培養液をゼンブ取りかえなくてはならないのは、DWCシステムでも同じです。
  4. キュウリ、スイカをはじめとしたウリ科、イチゴをはじめとしたバラ科、ホップなど宿根タイプのツル性植物は、根の酸素要求量が多く、特に開花後に酸素が足りなくなって根っこが茶色くなってしまうので、DWCシステムは、すべての植物が思うように育つ水耕栽培システムではありません。

    DWCシステムでは、根が低酸素状態に強い丈夫な性質の野菜や植物だけが、よく育つことを知っておくと、後々便利かなと思います。



と、いうことで、どの水耕栽培システムにも共通して言えるのは、「長くても一年以内に栽培を終えられる植物の栽培が無難ですよ」ということかと思います。




2014年6月10日火曜日

梅雨空のしたのホップたち。

ムシムシムシムシ・・・蒸し暑いです。
朝のコーヒーを優雅に楽しんでいるワタシの横で、ダンゴムシがチョロチョロと壁を歩き回れるのも、この高温多湿な陽気のせいです。

この時期の植物たちの生長の早さときたら、一晩で景色を変えてしまうようなスゴさがあります。イチゴたちからはタコの足のようにランナーが一気に何本も伸びはじめ、ツルというツルは、背を伸ばして手当たりしだいにまわりのものに絡みつき、すこしでも繁殖に有利なポジションを占領しようと必死です・・・雨のすき間をぬうようにして、草刈りに追われる日々が待ってます。



去年の冬、うっかり種を捨てたらワサワサと生長した「コリアンダー」。ゲリラな豪雨のせいで、きれいに倒れました。
























風が吹くたびにコリアンダーの香りがプ〜ンとただようので、高温多湿な空気とあいまって、目を閉じれば、もうここはバンコク・・・



2株のカスケードホップたち、とても豪快に生長する品種です。しかもアロマホップなので、不動の人気があるのもうなづけます。


























センテニアル・ホップ。植えた場所が悪くて貧弱に見えてしまいますが、毎年イチバン最初に毛花が見え始める早生タイプだし、根を深く伸ばせる場所ならば、↑のカスケードなみに大きく生長できます。



























これはチヌーク・ホップです。毎年スタートが遅い品種ですが、夏本番になってからの生長のすごさは目を見張るものがあります。



























この3つの品種の中では、毎年イチバンおそく毛花が出始めるのに、イチバンでかい花になるのがチヌークです。植物の生長イチジルしい梅雨の季節は、雨が固形肥料の養分を根っこに届けてくれるので、追肥にはもってこいの季節です。また、手元にある時には「モミガラ」をホップのマルチングにつかっていますが、モミガラにはケイ酸が豊富にふくまれているので、ホップたちが少しずつケイ酸を吸えていれば、耐病性が高くなる気がします。



















去年植えて放置しておいたら、今年も元気にツルを伸ばしはじめた「花豆」たちが、チヌークのとなりにいます。花豆は、白い花が咲く苗と赤い花が咲く苗をいっしょに植えないと、結実しにくいと言われています。




























ラッキーなことに赤と白、両方の花が咲きました・・・が咲くばかりで、昨年に引きつづき実る気配はありません。「ホップのジャマにしかならん! もう切るからね!!!」と言われつづけているとこをなんとか押しとどめていますが、今日見たらなんだか丈が短くなってます・・・さ・て・は・・・ヤッコさん、やりやがったな!!!


























アブラムシだらけになったイチゴの老葉を窓から投げ捨てたら、あっというまにアリンコたちが集まってきました。巣に持ち運んで飼うのでしょうか・・・

























ホワイトセージに住み着いたカマキリ。アップにすると一人前のフォルムをしてますが・・・

























まだこんなにチビッコです。カメラを向けると「ナニ? ナニ? ナンの用? なんかしたら逃げるからね。」と言いたげにこちらをじっと見据えます。

























と、いうことで、今年の夏は「ちびっこカマキリの成長日記ブログ」といったことになりそうな予感です。

2014年6月4日水曜日

暑い夏こそ、オーガニックパワー?

関東の今年の梅雨入りは、いつになるんでしょうか? 去年のいまごろは、もうとっくに梅雨でしたが、そういえば雨量が少なく涼しい日が続き「ブドウ」の出来が、とってもよかったんですねぇ。



 今朝は、フキの葉につつまれた「マルベリー」をいただきました。とってもきれいです。パンケーキに生クリームといっしょにのせて食べたらウマそうです。もちろんやってみます。ところで、マルベリー・・・ニッポンゴでは「桑の実」です。

























桑の葉っぱは、カイコのエサなので、絹の産地にお住まいの方はひとめでお分かりになるんだろうと思いますが、ワタシは果実が実っているところを見て、初めて「おお、この雑草は桑であったか!」と理解できる始末です。






昨年の11月に種まきからスタートさせたホワイトセージの実生苗たちは、すっかりそれらしいカタチに育ちました。最近の暑さで、水やりの回数が増えました。




























飛び散る水やりのシブキから、なにかが必死に逃げようとしてました。孵化したばかりのカマキリの子どもです。シャッターによじ登ろうとして、つるつると滑り落ちていました。まだまだ捕食者という風格はゼロで、バッタにさえ捕食されてもおかしくない頼りなさです。



























「そうだ、アルガンを育てよう!」という思いつきで育てはじめた「アルガンツリー」。あまりにも生長がおそいので、ひとまわり大きなポットに植えかえようと思います。
日本では、栽培についての情報があまりない植物なので、植えかえた後2〜3日は、無難に日陰で涼しく管理しておこうと思います。長期栽培になるので、長期間根づまりを防げる長繊維タイプのココ培地を70% + ポッティング・ミックス培土を30%の配合にしました。この配合にはたいして肥料は含まれないので、水やりは、ほぼ毎回薄めの培養液にしています。




























ちょっとシクジリ気味の今年のブルーベリー、剪定時期を間違えて、花が少なくなってしまいました・・・が、災い転じてなんとやら、花数が少なかった分、果実の肥大がものすごいことになってます。果実がついてからの肥料は「Bio Flores」にしています。





















気温が上がる夏は、光合成でこさえた糖類が果実へ溜められる前に、酸素呼吸に浪費されやすくなります。なので、糖分とミネラルがたっぷりと入っている有機肥料は、植物の夏バテを解消して「勝手においしく育つ感」をアップさせてくれます。

























「Bio Canna」のような、養液土耕用のオーガニック液体肥料は、フラッド&ドレイン・システムをはじめとしたあらゆる水耕栽培システムでは、絶対に使えません。
また、ロックウールやクレイ・ペブルスなど水耕栽培用培地にも使えません。そして、ココ培地もまた、ココ専用肥料がベリーベストであって、間違いないのです。


テラ・プロフェッショナル培土がベリーベストですが、最近増えてきたココ培地やピートモスが配合された園芸培養土にもナイスです。

赤玉などを使った一般的な園芸培養土や土壌での露地栽培では、ココ培地を50%以上ミックスしてあげると、よくなります。元肥が多く入った園芸培養土の場合は、水やり3回に1回ほどオーガニック液体肥料の培養液を与えると無難ですが、その回数や肥料濃度は植物の様子を見ながら決めるということになるので、ビギナー向きではありません。



ところでその昔は、「植物の根が肥料として吸えるのは、無機成分だけだ」というのが定説でしたが、世界中の農業生産者やガーデナーの経験から「そうでもなくね?」と勘づきはじめ、現在では、「植物の根は、糖分、有機酸、アミノ酸をなんの疑いもなく吸う、むしろ大好物だ。」という常識が誕生するにいたりました。

「いやいや、作物の種類によっては、アミノ酸よりでかいタンパク質なみの高分子でさえ吸えるし、むしろ収穫が増えた!」という実験結果も見られます。このあたりは、さらに研究が必要な段階なんですが、とくに「糖分」の効果の大きさは、見過ごすにはあまりに惜しいものがあります。
話せば長いことになりますので、バックリとふれますと・・・


  1. 有機培地内の有用微生物を増やす。生産現場では、植え付け前の土壌殺菌にも活用され、農薬がほぼいらないコンディションまで持っていける。
  2. 養液土耕用をはじめとした多くの有機肥料の原料となる「糖分」は、食品製造加工で大量に出る食品産業廃棄物なので、農業や酪農飼料に活用すれば、ムダにならずエコロジカル!
  3. 糖分が足りてればチッ素過多にならないから、徒長しにくく病気にもつよくなる。花付きがよくなり、果実もおいしく肥大する。有用微生物がふえるので、露地栽培だと使いつづけるほどよい土になる(とはいえ、使いすぎはNGです)。

などなど・・・です。


ところで、話はBioCannaにもどりますが、この糖分ベースの養液土耕用オーガニック液体肥料は、ものすごく配合比率がしっかりしてるので、使えば使うほど「どれだけ活力剤に気を使っても、やっぱベース肥料がしっかりしてることにはゼッタイかなわないんだな!」と思いっきり納得できる・・・ことが多いです。


このような有機肥料での栽培の水やりは、ハンドウォータリングはもちろん、ドリップイリゲーション・システムをつかうと、手軽になります。

ドリップのタイミングですが、実は「これで絶対に失敗しない!」というマニュアルは、ありません。あるガーデナーではうまくいっても、大失敗だったガーデナーもいる、というケースがほとんどだからです。

ハンドウォータリングで何度かオーガニック栽培を経験して、ベストな水やりタイミングを理解してから、ドリップ・イリゲーションシステムにトライする、というのが無難だと思います。


























培養液をドリップし終えた後、そのまま放置しておくと目詰まりしたり培養液が腐敗したりすので、できれば各ポットからドリップパーツをいちいち外して、内部に水を通して洗い流すくメンテナンスをしたほうがいいです。




2014年5月30日金曜日

Flood & Drain System あるいは、Ebb & Flow

やっと晴れた! と思ったら、ウンザリするような蒸し暑さです。
こんな天気がつづくと、プランターには案の定キノコが立ちます。


























育てやすいとはいえないバラ「アンティークレース」は、いつもより多く花をつけました。雨に当たるとボタボタと花が落ちるので、突然のスコールが降りだすたびに、急いで軒先にとりこまなくてはなりません。洗濯物よりも優先されます。
ところでこのバラだけ、アリンコから異常に好かれます。



























冬のあいだ抜かずに放置しておいたら復活して花を咲かせた「ディアスキア」。毎年買い替える必要がないとわかって、うれしい発見となりました。




























消費するのを忘れて、今回もまんまと開花させてしまった「コリアンダー」は、最近話題のベルギービールのフレーバーとしても伝統的に活躍してきました。




























一方、やっと収穫までこぎ着けた固定種のニンジン「黒田五寸」です。これっぽっちですが、加熱せずにそのままポリポリ食べてしまっても甘くておいしいです。






















今朝ご近所のかたからいただきました。「アサツキ」の根っこです。「ゴハンがすすむよ〜」と、おっしゃってました。
昨年と同様に細かく刻んで味噌とあえていただきま〜す。
























・・・ということで、フラッド&ドレイン・システムについては、昨年秋から折に触れてご紹介しています。




























フラッド&ドレインとは、「Flood= 冠水する、と、Drain=排水する」


・・・というとおり、培養液を「冠水して排水」させて、植物たちに培養液を与える方法です。「Ebb & Flow」とも呼ばれています。


同じ培養液をくり返しフラッドさせるので、培地はクレイ・ペブルスを使います。ロックウール培地でもできないことはないですが、「ロックウールはクレイ・ペブルスよりも保水性が高く含気性が低い、くり返し同じ培養液をつかっていると肥料成分のバランスが少しずつ崩れる・・・」などなどの理由で、特に半年以上の長期栽培になる場合は、ベリーベストではありません。


↓苗がこんなに小さい時は、午前中にたった一回のフラッドだけでOKです(真夏は、2回必要かもしれません)。苗が大きく育つにつれフラッド回数を増やしていきます。下段のリザーバータンクから循環ポンプをつかって培養液を上段の栽培テーブルに汲み上げます。


















栽培テーブルは「Grow Table」とか「Grow Tray」などいろいろな呼び名があるので、栽培トレイとよぶこともあります。

深さが15cm程度の栽培テーブルが主流ですが、大きく育つ植物を一年以上育てると伸びた根っこがフラッド口やドレイン口をふさいでしまいトラブルが起こりやすくなるので、最近は20cm以上の深めのテーブルが多く、さらにバケツ自体を栽培テーブルのかわりするタイプも登場しています。

栽培テーブルの中央、またはもっとも低いところに「INLET(流入口)」と「OUTLET(排水口)」の2つをとりつけてあって、フラッドさせた培養液は栽培テーブルのどの位置まで溜めるのがベストなのかと言えば、培地の上部表面から1cm下までが限度です。水位は「OUTLET」側の高さで調節します。



↓リザーバータンクから培養液がどんどん汲み上げられ、ちょうど「OUTLET」側のスクリーンから排水がはじまった時の様子です。OUTLETから排水されはじめたタイミングで循環ポンプをとめてフラッドを終了させてしまうのがベストです。





















フラッド & ドレイン・システムは、しくみもパーツも思ったよりシンプルなので、設置がむずかしくなく、酸素が豊富になるので生長が早く病気にも強く、収穫も多くなることが最大のメリットです。
実際、今回のトマトたちは春を過ぎたころから「サビダニ」がでましたが、症状がすすむスピードがものすごく遅かったので、ほとんど気になりませんでした。根に酸素が触れていると免疫力が高くなることが、つくづく理解できました。


















「フラッド & ドレイン・システム」で、覚えておきたいこととは・・・

  1. 大粒タイプのクレイ・ペブルスを使います。これは、良くも悪くも保水性が低いことを理解しておく必要があります。
    保水性が低いクレイ・ペブルス培地は、発芽にはまったく向きません。しかし、挿し木とりには向いているので、挿し木から収穫までをワンシステムでおこなうことが可能です。とはいえ、エアロポニック・システムほど効率の良いクローンマシーンとは決して言えません。
  2. 品質確かなクレイ・ペブルス培地を選ぶ必要があります。ハイドロポニック用ではない「クレイ・ペブルスに似たエクステリア用砂利」などは、予想だにしない生長トラブルが起こりえるため論外です・・・

    というのも、なにか生長トラブルがおこると、肥料が原因だと思ってしまうガーデナーさんが少なからずいるのですが、よくよく話を聞くと、培地のチョイスに問題があったり、栽培システムに適した培地を選んでいなかったり、基本的な培養液の管理に思いちがいがあったりetc、ということがタクサンあります・・・というより、ゼンブそれです。

  3. 発芽、または挿し木の発根のステップでは、保水性の高いロックウールを使います。プロパゲータ(育苗専用システム)などで、3cmキューブほどのロックウールで発芽や発根をさせたら、5cm〜10cmキューブのロックウールへセットしてからフラッド & ドレイン・システムのクレイ・ペブルスに植えこみます。

    3cmほどのロックウールのまま、クレイペブルス培地に植えこんで、システムでの栽培をスタートさせてしまうと、保水性が少なすぎて根っこが思うように伸びません。「ちいさなロックウールのまま、もう植えこんでしまった!」という場合は、フラッド回数を増やすか、時おりハンドウォータリングで培養液をロックウールにかけてあげる、しかありませんが、酸素が少なくなるので、根ぐされや徒長、または手間がかかる、といったデメリットはあります。

  4. 欧米では、このタイプのシステムで、何年にもわたってパパイヤを育てている強者ガーデナーもいらっしゃいますが、長くても一年以内に栽培が終了する植物をチョイスしたほうが無難です。

    要するに、「手間を惜しまないのであれば、何だって栽培できるのです!!!」、が「手間が少なくて、収穫が豊富!!! というハイドロポニックスのメリットは一体どこへ??? 」という気持ちになるよね!!!! ということです。
  5. フラッドは、一回につき15分までが目安です。
    夜間は、基本的に昼よりも少ない回数のフラッドでOKですが、一日を通して3〜4時間に一回ごとのフラッドをする、という設定でも問題は起こりませんでした。

    ポンプを作動させる分数ですが、基本的には、栽培テーブルに培養液がくみあがっていき、ドレイン口から排水がはじまるまでの、たった2分〜4分ほどでOKです。
    たった数分間作動させるためには、デジタルタイマーがベストです。なかには、モーター機器と作動とせるとズレていくデジタルタイマーもあるので、対応しているものをチョイスしてください。


    循環ポンプの吐水量(揚程の高さ)は、栽培テーブルの高さまで揚水できればOKなので、大きすぎるポンプをそろえる必要はありません(・・・が、あくまで好みです)。

    フラッドが少なすぎると、もちろん生長が遅くなり、多すぎると、もちろん徒長しやすくなったり根が傷みやすくなります。この辺りの判断でフラッド回数や時間を決めることが大切なので、このシステムは、中級〜上級ガーデナーのほうが向いていると言われています。

    ※水が足りなくてしおれた場合は、茎ごと葉っぱもクタッとなりますが、根ぐされの場合は、葉っぱだけクタッとなって茎はピンッとしています。
  6. 一日のほとんどがドレイン・サイクルなので根っこには酸素が豊富にあります。リザーバータンク内にエアレーションをする必要はありませんが、そんな理由から、有機活力剤は、あまりたくさん使うことができません。活力剤をたくさん入れすぎると、オリなどがでやすくポンプやパーツが目詰まりしやすくなることがあります。

    また、培養液は1〜2週間ごとにすべて取りかえる必要があるので、培養液の使用量は多くなります。リザーバータンクは、最低でも栽培テーブル容量の1.5倍の容量が必要です。

  7. フラッド & ドレイン・システムでは、植物の根っこはダイレクトに空気に触れていられるので、イチゴやキュウリなど酸素要求量の多い果菜類の栽培も可能です。

2014年5月22日木曜日

ホップ・ヘッズからのお便り

ここは、ジュラ紀を再現した博物館・・・

























・・・ではありません。今日の突然のスコールがあまりにすごすぎて、雨水管から放水された雨水のようすがあまりに「滝」そのものだったので、遊んでみました。



























さてさてさてさて、仕事場で育てているホップを以前におくばりした方から、「Thanks! さっそく植えましたよ〜!」という、とてもうれしいお便りと、お写真がとどきました。
「センテニアル」、「カスケード」、「チヌーク」です。




























↓このホップは、この方がお育てになってらした日本オリジナルの品種だそうです。


























特徴はザーツに似ているそうす。日本でのホップ栽培に詳しいおヒトならピン!とくる通り、こちらの方は岩手県在住でらっしゃいます。

























and his nice beer ... cheers!




























・・・と、ここで終わらせるつもりでしたが、これで終わりではなかったのです!






なんということでしょう!
写真を受け取った数日後のこと、「このザーツににた日本品種ホップ」がワタシのもとに届いたのです!!!
「うれしかったから、お返しに・・・」と、この方が育ててらしたホップを送ってくだすったんですね!  アメリカン・ホップを西洋の方に送り、ニッポン品種ホップを西洋の方からいただく・・・というクロスにクロスを重ねた、それはそれはタノシい事態になったわけです。こんなミラクルな交流は、ホントにうれしい!



























Xソ暑かった週末のせいで、すでに展開していた葉っぱは萎れてダメになってしまいましたが、ココ培地に植えかえて加湿ミストをあてておいてやると、新しく伸びたツルからすぐに葉っぱが展開しはじめました。



























萎れてしまった葉っぱの付け根からも、もうすでにわき芽が元気に展開しはじめています。しばらくココ培地のポット栽培で静養させてから、地植えにします。




























ところで、地植えしてから3年目のホップ「カスケード」。もう毛花が咲き始めています。ホップは、ツルが2〜3m伸びてからでないと花をつけないようです。

























「変わった葉っぱのホップが伸びてきたな・・・」と思ったら、去年植えた「花豆」でした。去年種からスタートさせた「花豆」の根っこが、冬のあいだイモのようにパッツパツに太っていたので、放置していたら、まんまと今年もツルが伸びだしました。「花豆」は、植えっぱなしOKな宿根草だったことを生まれて初めて知りました。が、ミゴトな「花豆」を実らせてくれるかどうかは、秋になるまで分かりません。





















2014年5月19日月曜日

水耕栽培はずせないこと。パート2

半袖姿で歩く人々を見ることがまったくめずらしくないほどに、初夏を思わせるお天気が続きます。

そんな週末は、麻生区環境センターで「Veg&Fork マーケット」が開催されていました。


















川崎市麻生区は、JAによるファーマーズ・マーケット「セレサモス」があったり、柿生という地名からも分かる通り、日本最古の甘柿禅寺丸柿発祥の地だったり、なによりも川崎市でイチバン農地面積がひろく、まさに川崎の「農」を語る上では外せないエリアです。

当日の会場には、授乳ティピがあったりと、お子サマづれのファミリーにもうれしい気遣いが・・・




























距離的には近いのですが、気持ち的にはあまりなじみがない麻生区だったので、ようやくたどり着いたのは昼下がり、目的の自然栽培の農産物たちは、ことごとく売り切れていました。午前中は、ものすごい来場者の数があったそうです。また、農産物やコスメ、屋台グルメばかりでなく、ライブもやってました。プラプラ歩いてるだけでも飽きません。次回は秋の開催だそうなので、今度こそ、野菜やスイーツをGETしたいと、思います。




















さて、おハナシは180℃変わりまして、挿し木取りについてです。
↓手軽に失敗なく、さらに最短の日数で挿し木が発根できるシステムでは、「エアロポニック」がもっともパワフルです。
























エアロポニック・システムは、市販のシステムをGETしてもよいし、10L程度の小さなシステムならば、DIYで作ることもできます。

【その1】360℃マイクロスプレーでつくるエアロポニック・システム
http://desktopfarmer.blogspot.jp/2013/12/diy.html

【その2】挿し木取りのポイントをからめたエアロポニック・システムの作り方はこちら:「さあ、挿し木をとろう!!!」
http://desktopfarmer.blogspot.jp/2011/09/blog-post_09.html

「不親切なD・I・Yプチ講座〜クローンマシーン編〜」http://desktopfarmer.blogspot.jp/2011/09/diy.html






エアロポニック・システムでの挿し木取りに向く植物は、夏野菜やハーブなど茎がヤワラカく寿命が短い「草本=そうほん」に分類される植物です。

しかし、果樹、樹木など、生きている年月が長期間にわたり、表皮が木質化(もくしつか)し、木に育つ植物、いわゆる「木本=もくほん」の挿し木取りは、システムの管理が長期間にわたってしまうので、エアロポニック・システムは向きません(いやいや、何ヶ月でも根がでるまで管理できるのだ! という場合は、OKです)。


挿し木取りの大きなポイントは、

  1. 発根しやすい枝をえらぶ
  2. 乾燥を避けて湿度を高く保ち、培地の水切れを起こさない
  3. 高温、強い光は控える



1.「発根しやすい枝」ですが、

「トップのほうの新しく出た枝がいい!」というガーデナーも入れば、「いやいや、根元に近い古い枝のほうが、発根率がいい!」というガーデナーもいますが、理屈の上では、「C/N比=炭素率」が高くなってる根元の枝の方が発根しやすいコンディションだと思います。

C/N比と挿し木の発根に関しては、こちらでドーゾ!
http://desktopfarmer.blogspot.jp/2013/05/blog-post_30.html


イチバン大切なことは、挿し木をとる親株(マザープラント)に濃い肥料を与えないことです。「挿し木を取りたいな!」と思ったら、約一週間ほど薄めの培養液で管理して、体内のチッ素量を下げてからにします。

屋外で育てている植物であれば、3日以上よく晴れたあとに挿し木をとるようにすると発根しやすいコンディションになっているはずです。



2. 「湿度を保ち、水切れを起こさせない

挿し木の枝は、根がないので葉っぱから水分が蒸散しすぎるとすぐにしおれてしまいます。なので、「湿度」は、ものすごく大切です。植物は、葉っぱからも多少の水分や養分が吸収できるから、ということもあるのですが、大きな理由は、空気が乾燥するとニンゲンのお肌とおなじで、葉っぱの老化が早くすすんで細胞の修復力が弱まったり、新たな細胞分裂がしにくくなったりするからです・・・つまり発根しにくくなります。
湿度は、かならず温度とセットで管理せねばならんのですが、挿し木取りは温度25℃前後、湿度70%〜85%がGoodです・・・ちょうど今ごろの季節に、超音波加湿器をかけたような状態がベスト・・・と、想像してください。




3. 「高温、強い光は控える

しつこく言ってることなのですが、水温が上がると酸素がへります。そうなると、雑菌も増えやすく挿し木が腐りやすくなります。
とくに夏場は、エアロポニック・システムのポンプをずっと作動させて挿し木にスプレーしているとタンク内の水温をお湯状態にしてしまうので、タイマーで15分ON/OFFにするなど、挿し木の切り口が乾燥してしまわない程度に、ポンプを休ませることが必要になります。逆に水温が冷たくなりやすい冬は、ポンプを作動しつづけていれば水温を上げる効果があるってことになります。

挿し木取りのときの光の強さですが、強すぎる光は高温や乾燥もつれてくるのでゼッタイにNGで、晴れた日の日陰の明るさ・・・または10000lux以下で十分です。

「照度計なんて、買えないよ!」というおヒトは、こちらをドーゾ!
iPhoneが、照度メーターになります(・・・が、あくまで目安とお考えください)。
https://itunes.apple.com/jp/app/light-meter-lux-measurement/id642285909?mt=8&ign-mpt=uo%3D2
注意したいことは、栽培用LEDは光量が少なく挿し木取りに便利ですが、冷却ファンがついているので空気が乾燥しすぎることがよくあります。湿度計できっちり湿度をチェックしながら保湿を心がけることがポイントです。

また、30℃以上の高温は葉っぱからの水分蒸散がすすみ、発根する前にしおれやすくなったり、加湿していても雑菌がガツガツ増えやすいので、あたたかい春の曇りの日・・・を目指すことがポイントかと思います。




または、タイタンのようなフラッド&ドレイン・システムならば、挿し木取りから収穫までひとつのシステムでできるので便利です。それについては、また次回!