2011年5月19日木曜日

オトナリの国のスイカ爆弾

衝撃的なニュースが目に飛び込んできました。収穫を間近にむかえたスイカたちが、畑でつぎつぎに破裂しているというものです。

【 中国でスイカが爆発─新たな食品スキャンダル勃発 】












ニュースに目を通せば、なるほどですが、スイカを破裂させていた犯人は「ホルクロルフェニュロン」というフニュフニュしたネーミングの合成ホルモンです。日本でも果実栽培の多くに使われていました。
このホルクロルなんとかの、バックリとした効果は「細胞を増やして大きくする!」です。
細胞分裂をうながして細胞の数自体をふやしてくれる・・・というサイトカイニン効果と、分裂した細胞を大きく肥大するのをうながすジベレリン効果があるっつーことです。

この「ホルクロルフェニュロン」の効果は、果実それぞれで適量がちがうようですが、結実して実がついたあとじゃなくって、花芽が咲いて満開になってるときに薄めを散布する・・・が一番効果が大きいそうで、隣国のスイカの場合、散布する時期が遅かったのが原因らしいです。

合成ホルモンは、ほんとに効き目がシャープで、分かりやすく言えば効きすぎるのが問題みたいです。雑草を枯らす「除草剤」には、「合成オーキシン」が使われているものがあります。
このへんの説明にもってこいのサイトを発見しました。「理科ネットワーク」さんの「植物の生活と環境」のコンテンツは、「植物学全般について、もっと分かりやすい説明求む!!」というヒトにピッタリです。
(リンク先のご指定によりトップページのみ貼らせていただきました。)


ということで、バイオ技術がめざましく進む昨今、次から次へと「この資材は画期的!!! これさえあれば、もうバッチシ!!!」と思わず飛びついてしまいたくなる農業資材がでてきますが、私のつたない経験から思うに、「これさえあれば!」という単品の資材はないと思ってます。最強とも言える合成ホルモンでさえ、すべての植物に同一な効能はでないそうです。

なぜなら、もしすべての植物に共通して、何代にも渡って、まったくおなじ効果を発揮しつづけられる資材があるとすると、逆にいえば地球上すべての植物がイッセイに枯れてしまうリスクがあるからかなと思います。ひとつひとつの植物にとってベストな環境がすこしづつ違うのも、同じ種類の植物でも発芽が早いのもあれば遅いのもあって個性がある・・・っていうのも、とっても大切な種の保存の原理が働いているからだとおもいますし、「今年はアノ害虫に食い荒らされて、たくさん種子を残せなかった、来年はアイツに負けない遺伝子を残そう。」という年をまたいでリベンジをする、したたかな植物たちのたくましさに出会ったこともあって、植物っていう存在はやっぱり、ヒトサマの都合にあわせて操れる相手ではないかもしれません。

使ってみたら、よい効果がでる肥料や活力剤、ホルモン剤などの農業資材は、ほんとにいっぱいあるんですが、その単品資材だけの力量というよりは、「元気に生長するために必要な体内サイクルのうちの、どこかの歯車を回して、循環をよくしましたよ!!!」ということかなと思います。

例えば、水耕栽培用の肥料資材ひとつを見ていても、実際に育てくらべてみると最先端の肥料と、昔からスタンダードに売られている肥料のそれぞれの魅力やメリットを再発見したりして、そうなってはじめて「活力剤」の意味が理解できたりなんてことも多々あります。

「温故知新」は,いつの時代でもかわらないテーマでありつづけるようです。