2012年10月29日月曜日

秋の味覚とホップの育ちかた

アメリカセンダングサの花の蜜を忙しそうに集めているミツバチたち。このコたちの甲斐甲斐しい受粉作業のおかげで、秋から冬のあいだ、ワンコたちや子どもたちが、あのメンドウなセンダンクザのタネを体中にビッシリひっつけて帰宅する羽目になります。
























いよいよ、いよいよ、いよいよ、いよいよ、ミカンたちが色づいてきました。
フライング気味に2つほど、味見してみました。

それはそれはそれはそれは、サワヤカな風味があって、それでいてシッカリ甘みが乗ってて、ウマかったです。




























「味わう」といえば、もうひとつ。クラフトビア「ムーンライト」さんから、先日お持ちしたホップたちで仕込んだ「フレッシュ・ホップ・エールが、でけました!!!」という、それはそれはウレシいお知らせを頂きました。





















ウチのカスケードホップで仕込んでくださった「フレッシュ・ホップ・エール」。日本では、なかなか味わえない希少価値の高いクラフトビールです。(今日現在で、たぶん完売してるそうです。)























摘みたてのホップの香りがほのかに漂い、上品な味でした。半分くらいまで飲んだところでグラスのなかの香りをかいでみたら、まさしくカスケードのアロマでした。


















来年は香りをさらに引きだせるよう、トライしたいと思いました。
このビールに使っていただいたホップたちの苗ですが、そろそろ今年3度目の収穫時期がきています。

ホップは、肥料食いです。まだ小さな苗のうちは、根っこがしっかり張りめぐるまでは水控えめで管理しないと、根グサレしやすくなりダメになってしまいがちです。

























しかし、根っこがしっかり張って、毛花が咲き始めたら、水と肥料を切らさないように管理して、こまめにこまめに目を配ると、ホップたちはミゴトに応えてくれます。

ホビーのホップ栽培ならば、あまり難しく考えずに、「ホップの花の伸び具合を毎日見てあげて、毬花がスクスクと大きくならなくなってきたら、肥料と水をタップリとあげる。」って感じで全然OKだと思います。



しかし、ホップ栽培は、プロの農家さんたちの足下にも及ばないので「こう管理すればOK!」などと抜かすつもりはサラサラないのですが、それでも「ホップは、ゼッタイ地植えがいい!!!」と思います。そして「ホップは、2年目、3年目からが本番!!!」だと思います。なので、今年ホップのグリーンカーテンにトライしたおヒトのなかで、収穫がイマイチだった場合は、もう一年そのままにしておいてあげたらいいと思います。
























ホップに限らず、ほとんどの植物は「根の量が、花の数、収穫量に比例」します。その上、ホップなどのツル性植物は水耕栽培やプランター栽培にあまり向いていないと感じています。その理由はハイドロ・システムやプランターで、いままで何度となくホップの栽培にトライしてきましたが「なんだか不調!」な育ち方しかしなかったからです。

その昔は、日本の在来種的なホップの苗を買って、半年以上ず〜っっっとポット植えにして肥料も水も光もしっかりあげてましたが、ウンともスンとも大きくならないので、ある秋に「もう飽きた! 枯れてもいいや!」という気持ちで、庭にテキトーに植えかえてしまいました。
←そしたら次の春、タコのような図太い根っこがビシビシと走り出し、我が家のリッパなグリーンカーテンになりました。ほったらかしの植えっぱなしだったのに、それから3年間ミゴトなグリーンカーテンになってくれていました。

ところが日当りが悪かったので、ツルはよく伸びましたが花はあまり咲かなかったのです。






そんなハイドロ嫌いで、プランター嫌いなホップですが、挿し木の時だけはそうでもないようです。

去年センテニアル・ホップの挿し木を取った時の様子です。



















「エアロポニックス」というスプリンクラーで培養液を供給する水耕栽培システムで挿し木とりをしました。
「さあ、挿し木をとろう!!!」






















1週間ほどで、あっとうまに発根しました。














発根したホップの挿し木たちをブクブク式水耕システムで冬になるまで育ててみました。

液体肥料と活力剤の栄養タップリな培養液を使いました。










挿し木の発根から3ヶ月ほどで、これだけ根っこが伸びました。














この後、真冬になったらやさしく地植えにしました。
ハイドロ栽培から地植えは、根っこの気持ちを思えば本来ご法度ですが、春までの数ヶ月でリカバリーできるし、冷たい土のなかのほうが根っこは休眠しつつ、糖分やミネラルをシッカリため込んで、太くなってくれるのでOKみたいです。















このやり方ならば、挿し木のホップの茎が半年ほどで2cmほどまで太れるので、日当りがいい場所に地植えすれば、ホップの根茎(リゾーム)からスタートさせた苗と同じくらい、植えて一年目からでも、なかなかの収穫が楽しめると思います。






2012年10月25日木曜日

秋の室内栽培、MHランプへチェンジ!

いよいよ秋本番です。風が冷たい日には、冬の気配すら感じます。夏の間、あんなにギラギラして暑苦しかった太陽の日射しも、ありがたく感じる季節となりました。














朝の気温が20℃を下回ることも珍しくなくなってきました。

蛍光灯のグロウランプから、夏野菜を秋に本気で育てることができるMHランプ400Wにチェンジしました。













ランプ真下の明るさは、20cm〜30cmの位置でずいぶんと光量が変わります。MHランプ400Wでは、ランプから30cm真下で光量が33,000Luxほどで、ランプの真下20cmの位置で60,000Luxほどになります。なので、生長期の苗はランプの真下では30cm以上近づけない方が無難です。


トマトをはじめ、スイカやメロンなど強光を好む夏野菜は、最高60,000Luxほどの光量が必要です。もしも太陽光がゼロならば、蛍光灯やLEDでは生長期まではOKですが、花が咲いてからは、満足のいく収穫は難しいかもしれません。MHランプやHPSランプ(高圧ナトリウム灯)ならば、かなり満足のいく収穫が楽しめます。



20,000Lux〜40,000Luxほどの中光を好む野菜は、キュウリ、ナス、ピーマン、そしてイチゴなどがあります。MH、HPSランプなら50cm〜30cmほど離せばOKです。また、窓辺やベランダなどで自然光が確保できるなら、蛍光灯やLEDとの併用で収穫までイケルと思います。



そして、弱光を好むレタス、ミツバなど葉ものハーブ類ならば、花を咲かせなくていい収穫なので、太陽光ゼロでも蛍光灯やLEDだけで収穫まで楽しめます。





そして、太陽光ゼロ、HPSランプだけで強光性野菜を育てたい場合、

1㎡(1mX1m)スクエアで400W必要

といわれます。
このグロウルーム「DR240Ⅱ」のグロウスペースは2.4mX1.2m=2.88㎡なので、計算上では、高圧ナトリウムランプ600Wが2ついるよ・・・ということになるのですが、単純に光量だけの都合なので、気温・湿度・苗のコンディション・・・などなど、植物の身になって考えてみれば、「そんなにいらんだろう!」という状況の方が圧倒的に多いです。

DR240Ⅱには、最終的には400Wを2つ点灯する予定です。(実際、去年のトマト6株も400Wひとつで、ウマウマなのがたくさん穫れました。が、葉かきなどの回数を増やして、なんとか光を確保した・・・といった感じでしたが、コマメに面倒を見れるならば、これでなんとか足ります。)


9月中旬に発芽したトマトたちでしたが・・・

約6週目でTERRA培土のトマトたちにツボミがでてきました。
トマトの種を撒いてからというもの、スーパーでトマトを買う気が、一切起こりません。

とはいうものの、日々のゴハンづくりにトマトがないというのは、なかなかツライので「はやくトマトが穫れるようにならないかな〜・・・」と心待ちにしています。








最後に、植物の光合成の仕組みについて、忘れっぽいワタシ自身のために、ツラツラとメモっておこうと思います。




植物の光合成運動には、「明反応」と「暗反応」の2種類があります。

「明反応」とは、「光」から「ATP」という燃料と「NADH」という還元酵素をつくりだす反応です。ばっくり言ってしまえば、「明反応」は温度に影響されないので、光が強くてCO2の量が多いほどATPとNADHをいっぱい作れるってことになります。

この「明反応」に有効な光ってのが、耳にタコができるほどよく聞く「 赤色光と青色光 」です。これらの明反応に都合のよい光の波長を、「Phyto-Lumen=光合成効率の良い波長」ともいいます。


赤色光は、エネルギーこそ低い波長ですが、葉緑素が100%吸収できる効率のよい波長で夕方に強くなる光の波長です。一方、朝につよくなる青色光は、エネルギーが高くて葉緑素が100%吸収できる波長ですが、いかんせん、紫外線のとなりの波長が短い光なので、エネルギーが強すぎて、せっかく吸収したあとに、あまった青色光のエネルギーをペペッと吐き出しちゃうってことが起きてたりします。

(ところが、ムダだといわれてる緑色の光でもホントは光合成できるし、紫外線にはホルモンの分泌効果や発芽を促進する効果なんかもあるので、健康でオイシい野菜を育てたいなら、すべての色の光を放射する太陽光か、太陽光に近い波長を出すランプがベスト! かな?と思います。)


もひとつの「暗反応」は、「ルビスコ」というCO2を固定する酵素が「明反応」でできた還元酵素をつかって、CO2を糖・デンプンに作りかえる反応で「暗反応=炭素同化」ともいわれたりするんだそうです。一般的に酵素は温度が高い方がよく働くので、この「暗反応」は30℃ほどをピークに温度が高いほど反応が早くなるんだそうです。ただし、光量とCO2どちらかが足りないだけで、CO2を糖へと作る効率はググ〜ッとおちます。

「暗反応」でつくる「糖・デンプン」は、植物の健康・生長の早さ・花芽の多さ・果実のウマさ、そして収穫量、これらすべてを左右します。

「じゃあやっぱり、光量とCO2と温度が高い方がいいんじゃん!」とワタシは一瞬思ってしまいましたが、実は光量が強くなるほど、そして温度が高いほど、光ストレスのせいで光合成と呼吸につかうエネルギーと酵素をたくさん使ってしまううえ、光合成をストップさせるので、エネルギーの差し引きは、すこしマイナスになって、そのうえ生長に使えるエネルギーが減るし、葉緑素もダメージを受けます。


ちなみに、オランダの施設栽培には「1%ルール」というものがあって、「光が1%増えると収穫量も1%増える。逆に光が1%減ると収穫量も1%減る」という内容です。

ということで、結論としては、グロウルームやグロウランプをお持ちのガーデナーならば、最適な温度/CO2濃度/湿度/水分/肥料の管理は、モチベーション次第で、かなりパーフェクトに管理できると思うので、オランダの施設栽培が追求するロジカルな栽培技術を駆使して、それはそれはファビュラスなお値段がするシロガネーゼ、ニコタマダムなベジタブルをつくるのも夢じゃないってことです。
好きなものを贅沢に追求できるのが、ホビーのよさですから・・・

2012年10月19日金曜日

室内栽培〜生長期の管理その2〜

 昨日につづき、室内栽培での生長期の様子の紹介です。


・・・のまえに、昨日の植えかえ(植え増し)での補足です。

大きなポットで同じ培地に植えかえる場合、根元を崩さないようにして植え込むので、根がダメージを受けることはないため、光を弱くしたりというケアは基本的には必要ありません。しかし万が一、植えかえの時に、根っこがひどくチギレてしまったり、今までのポットの底から根っこがたくさんハミダしすぎててカットせざるを得ないような場合は、植えかえた後に苗がクタッ・・・となってしまうかもしれません。そんなときは、もちろん光を弱くして湿度を高めにしてあげて、根っこの回復を助けてあげる必要があります。


そして、もしも植えかえてから半日以上様子を見られない場合も、ねんのため光を弱くしたりランプを遠ざけておいたほうが無難です。



植物の栽培になじんでないおヒトは「根っこって、そんなに大事なの?」と、感じるかもしれません。「根っこ」をニンゲンに例えると、「根は、腸と皮膚」です。活発な皮膚や腸は生きるために必要な水分や養分、酸素を吸収たり病害菌に対してバリアを張って身体をゲンキに保ってくれますが、皮膚や腸の細胞が老化して死んじゃえば「垢/アカ」となって、はがれ落ちていきます。

なので、黒く枯死した根っこは「アカ」なので、ちぎってもプラントにダメージはないし、むしろ新しい細胞が活性化しますが、生きてる「皮膚や腸」をキズつければ、栄養も吸えなくなるし病原菌も入り込みやすくなるし、イロイロとつらいよね、ってことです。



ちなみに、TERRA培土への植え増し時の水やりには、ベース肥料はいりません、根っこの活力剤の希釈培養液でOKです。

しかしCOCO培地には、肥料が入ってないのでベース肥料と根っこの活力剤を希釈した培養液を水やりします。(CANNA COCOベース肥料A/Bならば、水1Lに対してA/B各2mlづつのレシピでOKです。)
ちなみに、これはすべてのココヤシ培地には当てはまりません。じゅうぶんに洗い流してない(チープな?)ココヤシ培地だと、根っこが焼けてしまうことがあります。





・・・さて、いまは、蛍光灯タイプのグロウランプでトマトとイチゴたちを育てています。室温が24℃を下回るようになってきた最近では、安心してランプを苗のトップに近づけられます。














ここまで近づけると苗のトップ部分で、だいたい20,000ルクスほどの光量がありますが・・・















蛍光灯にしても、MHランプにしても、HPSランプにしても、ランプってのは苗に近づければ近づけるほど、どうしても照射範囲が狭くなってしまうので背の高いプラントのトップにしか満足な光があたらなくなります。

このように、ランプの真下にあるトマトだけスクスクと伸びるようになってきました。光があたる様子を遠目で見ると、はじっこのトマトたちには弱い光しかあたってないことがよくわかります。苗の生長の様子から見て、そろそろ本格的にHPSのグロウランプへチェンジする時期だと思います。















ち・な・み・に・・・

植物は、葉の部分的にしか強い光があたらない「スポット照射」が、大の苦手です。たとえ光量がすこし弱くなっても、プラント全体に平均的な光があたるフラット照射を好みます。

例えば、MHやHPSランプを植物の栽培に使う場合、ランプをタテに照らすスポット照射の方が部分的には光が強いのですが、とても狭い範囲に強い光に集中してしまうので、植物の葉が「光ストレス」を起こしてしまい、強すぎる光のせいで活性酸素が発生して葉緑素の劣化がはやまり、光合成の効率が悪くなるからです。



なのでタテに照らす場合、このようなスポット照射を防ぐために、苗からMH/HPSランプの位置を遠く離すことになりますが、そうなると光が弱くなるのでランプの数をふやさねばならない羽目になります。となると、ランプの数が増えた分、空調コストも温度もグングン上昇するはめになり・・・屋根がとっても高い植物園や、設備コストがかけられる施設栽培、ショールーム的な場所むけのランプ設置方法だと思います。





ということで、欧米では植物栽培としてのMHやHPSランプが、タテではなくヨコに照らす水平照射がスタンダードになってるのは、経験的にそっちのほうがトータルで見て収穫率や効率がいいと理解してるからです。なにしろ、植物の生長ってのは、光の強さ、波長やワット数だけで決まるような単純なものではなく、肥料、温度、湿度、酸素に炭酸ガス、そして水etc・・・という環境要因が、光と同じく重要です。なによりも、植物は生き物なので、栽培設備だけで満足せず、植物が何を言いたいのか察してあげる想像力・・・は大切だと思ってます。










ハイドロ・システムのトマトの葉に「水泡症」がでてきました。TERRA培土とCOCO培地の同品種のトマトたちには、でてません。「水泡症」は病害虫の被害ではなく、光が弱いときにトマトの葉にでる生理障害だそうです。やっぱりHPSランプヘチェンジする時がきているようです。















「水泡症」の葉っぱをちぎって、置いておいたら、水泡がすべて消え去りました。














・・・ということで、やっぱりいつなんどきでも、マニュアルや数値だけを重要視せず、ガーデナー自身の目で見て「これでイケそうだ! このままいこう!」「こりゃ、いかん! もしかして、これが原因か?」を判断することが鉄則かなぁと思います。


2012年10月17日水曜日

室内栽培〜生長期の管理の基本〜

さて、TERRA培土とCOCO培地のトマト苗たちをドドッと植え変えしました。ワタシがした「植えかえ」作業は、厳密に言えば「植え増し」作業です。

「植え増し」とは、いままでよりも大きなポットへ植え込むことで、基本的には培土や培地は同じものを使います。なので大きなポットに植え増しすることを「鉢増し」とも言います。トマトや野菜などの一年草の場合、植えかえのとき根っこを切るのはマイナスの効果しかないので、「植え増し」の意味を説明してみることにしました。

(プロの農家さんのなかには、イチゴなどで生長期から開花期へ移行させる時に、あえて根っこをバッツリと切る方もいますが、キチンとした知識なしでトライするのは、決しておススメしません。、また、ランやバラ、果樹、そして盆栽など年単位の植物を植えかえる時は、枯死して伸びなくなった根っこをカットすることが当然必要となります。)

TERRA培土やCOCO培地などで室内栽培する場合は、同じ培土や培地へと植え増ししていくのが鉄則ですが、すでにその培地に適した根っこが発達しているので新しい培地に順応させる必要もゼロだし、一年以内で栽培が終わる植物ならば、生長期に根っこをカットしてしまうのは、肥料やけの原因になったり、生長が遅くなったりして、その遅れた分だけ電気代も肥料代も手間もどんどんかかり、かといって、その分収穫量が増えるわけではないので、結果的にマイナスでしかないと言えます。


・・・ということで室内養液栽培の「植え増し」作業は、根っこをトリミングしないので、植えかえた後に光を弱くするなど、神経質なケアは必要ないと言えます。ただ、根っこの伸びを助けてあげるために、根の有機活力剤を葉面スプレーしてあげることはGOODです。6LポットのTERRA培土に植え増ししてから数日経ったトマトたちです。植えかえた翌日から、メキメキとでかくなりました。














生長期にベストと言われている温度は20°〜25℃、

基本的に室温が低くなればなるほど、ベストな湿度は低くなるのですが、20℃〜25℃の室温なら、ベストな湿度は60%〜70%ほどです。











そして、COCO培地のトマトたちも、昨日3Lポットへ植えかえました。COCO培地は、とてもスペシャルなココヤシ培地なので、きちんと塩類を洗い流してあって、さらに専用のバッファリング剤で保肥性を持たせてあります。
なのでCOCO栽培では、毎回の水やりはベース肥料を希釈した培養液でなければなりません。








COCO培地をはじめ、ココヤシ培地はロックウール栽培とほぼ同じ栽培管理でOKですが、同じ培養液の循環栽培はできません。また、市販のすべてのココヤシ培地がCOCO培地と同じグレードとは限らないので、COCOでの根はりや生長の良さが、すべてのココヤシ培地に共通してるわけではないです。COCO培地は塩分とムダなイオウとカリウムを洗い流し、そのかわりカルシウムその他の塩基性肥料で保肥性を補ってあります。


ちなみにCOCO栽培は、手で持ってみて軽く感じる前に培養液をヒンパンにあげたり、焦って肥料濃度を濃くしてはなりません。苗が小さなうちに培養液のEC値を濃くしてしまうと根の老化が早くなって、結果的に花を咲かせ続ける持続力が乏しいプラントになってしまうそうです。なので生長期前半のベース肥料のEC値は1.0mS/cm前後にキープしてみます。肥料濃度の管理には諸説あるかと思いますが、今回は花がつくまで肥料濃度EC値を低めに管理してみて、根っこがたくさん張って花が咲いてきてから、徐々に・・・思いっきりEC値を高くしてみようと思ってます。


ハイドロ・システムのトマトたちも同じで、培養液のEC値を0.7mS/cm、水温23℃にしています。















かなり遅れてスタートさせたハイドロ・システムのトマトたちですが、やっぱり生長が早いです。苗の生長の早さは、根っこの生長の早さに比例します。電磁弁付きレギュレーターとタイマーで、1時間毎に10分ほどCO2を吹き込んでpH値を5.5〜6.5の間に調整するようにしてから、さらに根っこの生長が早くなりました。


培養液の適正pH値範囲は5.5〜6.5ほどですが、各肥料要素の溶け具合はpH値で変わるので、このゼンブのpH値を一巡させる必要があります。つまり、新しくつくった培養液のpH値を5.5ほどに調整したら、pH値が6.5以上になるまではpH値を下げない方がいい! ということです。

さて、今回の自作Sodaponicsシステムは、ヤッツケ気味でつくったので、サラッとふれます・・・

ガーデニング用の電磁弁つきCO2レギューレーターでこさえた自作カーボネーターを5Kgミドボンにくっつけて、耐圧ホースの先に「ベンチュリ」取り付け、パイプを巡っている培養液に直接CO2ガスを吹き込んでいます。
「ベンチュリ」については、また今度!








ミドボンと自作カーボネーターで、培養液にCO2を吹き込むSodaponicsのメリットですが、なんといってもCO2(=炭酸ガス)のムダが少ないのと、肥料の効きがよくなることです。

CO2は培養液に100%溶け込んでくれるわけではないので、密閉できるグロウルーム内ならば、Sodaponicsのシステムをファンの風上に置いておけば、グロウルーム全体にCO2が行き渡り、ムダがありません。また、CO2を培養液に吹き込めば、もちろん炭酸水培養液となるわけですが、炭酸水でつくる培養液のメリットは以前ご紹介したことがあります。


http://desktopfarmer.blogspot.jp/2011/11/1.html

ミドボン5Kgなら炭酸ガスのコストは、なんとたったの2,000円+消費税で数ヶ月はもちます。ミドボン本体には保証代5,000円ほどかかりまして、お店に返す時に保証代は返してもらえます。(ミドボンのコストは、苗の数や養液タンクのサイズで大分変わります。なので、大きなハイドロ・システムには不向きかもしれませんし、水温が高くなる夏場はガスが溶け込みにくくなるのでムダが大きくなると思います。)




そんなこんなで、いよいよ初挑戦のSodaonicsトマトたちなので、多少鼻息を荒くして日々見守っています。ひとまず、根っこの伸びがとってもいいので、安心してます。


2012年10月12日金曜日

「室内栽培 」〜生長期のセッティング 〜

やっとのことで、DR240の生長期用セッティングがほぼ完了しました。後々になって実がついて根が張って培地が乾く速度が早くなったら、底面給水で管理する予定です。

種子からスタートさせたトマト3種、「アイコ」「レッド・オレ」「イエロー・ミミ」は、定番のTERRA培地、COCO培地・・・
そして今年は炭酸ガスでpH値をコントロールするハイドロ・システムの3種類の栽培方法で室内秋冬トマト栽培にトライします。














まだ2号鉢でじゅうぶんな丈のTERRA栽培とCOCO栽培のトマトたちです。左側のハイドロ・システムは、自作カーボネーターでCO2をダイレクトに培養液に吹き込んでpH値を5.5〜6.5ほどにおさまるようにした、いわば本来の「Sodaponics」です。ハイドロ・システムのトマトたちは、たった一週間前から循環式システムにセットしましたが、ヤッパリ生長速度が早いです。アレヨアレヨという間に、新芽が展開してきます。
















ちなみにTERRA培地、COCO培地、ハイドロ・システムのうち、ダントツに生長がはやく大きく育ってるのがTERRA(左と後方まん中)です。COCO(右と前方まん中)のトマトたちは普通の生長です。TERRA、COCOの有機培地に共通しているのは、「節間が間延びせず、ガッチリとブッシィな理想的な苗に育ってる」ってことです。














「あかねっ娘」たちです。アブラムシが出てきてる苗もありますが、とってもゲンキです。イチゴの方もTERRA培土で育ててる方が新葉の展開が早く、茎が太くなってます。















いまのところ、トマトもイチゴもTERRA培土の苗が、もっとも生長がはやく、いい感じで育ってます。その理由はハッキリしていて、「ガーデン・ピートがベース原料のTERRA培土は植物にとって、ものすごく根っこが張りやすい!」というメリットのおかげです。COCO培地は、後半根っこがびっしり張ってからが本領発揮!となります。くわしくは、トマトたちの生長とともに、おいおい説明していきます。

現在グロウルーム内の室温は、ピーク時に25℃程度になります。湿度は60%を切らないように管理しています。今後、グロウルーム内の温度が22℃以上にならなくなったら、本格的な植物育成ランプのMHランプかHPSランプにチェンジしていこうと思っています。

今週から、ハイドロ・システムの培養液に1時間毎に10分ほどCO2を吹き込むようにして、そこからもれただようCO2がグロウルーム内全体に流れるようにファンをまわしてみました・・・そのおかげなのか、TERRA培土のトマトたちの生長がさらに早くなったので、とっとと6Lポットに植えかえることにしました。


2012年10月5日金曜日

「室内栽培」生長期への準備Secret Jardin組み立ての日

10月に入っても、まだまだ暑い日がブリ返したりします。トマトとイチゴを育てているグロウルームの室温が暑くなりすぎないようにハラハラしつつ、仕事のあいまに様子を見にいく日々です。

夏野菜のトマトは気温が下がりすぎると生長がキョクタンに遅くなります。本格的に夜の気温が下がりはじめる前にとっとと大きく育ててしまった方が、時間も経費も節約できるので、ソロソロ本格的なグロウルームをセッティングすることにしました。

今年は、ホビー用グロウルームでは大きめな「Secret Jardin DRW240II」にしてみました。

タテ2メートル、ヨコ2.4メートルあります。ここまで組み立てるのに大人2人で約10分ほど、ワクワクしながらやりました。(組み立てになれてしまえば、大人1人数分で組み立てられるそうですが・・・)










サイドの壁部分をグルッとまいて、組み立て終わりました。

かなり引いて撮影しているので、たいしてデカクもなさそうですが、大柄の男性でもラクラク横になれます。














DR240を組み立てた後、グロウランプや苗をセッティングしていきますが、組み立ててでクタクタになったうえ、室内のトレイスタンドなどはすべてDIYしていくので、そのプロセスはまた次回・・・


ちなみに、現在仕事場でトマトとイチゴの室内栽培をしていますが、オフィスでの室内栽培は、なかなか合理的でおススメです。

ほぼ毎日決まった時間にヒトがいるので、水やりなどの定期的にせねばならない管理もスムーズにできると思います。

また、蛍光灯などの照明である程度の光量はかならず確保できるかと思いますし、事業所では単相200Vが引き込まれている場合がほとんどかと思います。

高圧ナトリウム灯など本格的なグロウランプを点灯させても単相200Vのほうが電気効率がいいので、ランプ機器も故障が少なく長持ちしますし、100Vよりも使用電力のロスがへるので結果的に電気代も安くなります。ちなみに最近はご家庭でも、単相200Vが引かれている家屋が多くなってますが、電化製品と電源コードが200Vに対応していないと使用できません。


なによりも、仕事のあいまに生長している植物たちをみていると、ちょっとした息抜きもできるし、大きく育てばモチロンお昼ゴハンにみんなで食べることもできます。(虫がでることもあるので、苦手なヒトには苦痛かもしれませんが。)

とくにこれから冬場の閉め切った空間では、人々の息でCO2濃度は1500ppmほどにもなってしまうので、オフィスの片隅でレタスやハーブなどカンタンな野菜を育てれば、それはそはれよく育つのではないでしょうか?

オフィスでの室内栽培の問題点は、まず夏や冬、ゴールデンウィークなどヒ長期休暇なので、私達の場合は、水切れしやすい夏には夏期休暇にはいるまえに栽培を終わらせています。冬の年末年始休暇は、休み前に水をたっぷりとあげておけば、水切れで枯れるということはほとんどありません。ゴールデンウィークは、地域やその年の気温にかなり左右されますが、休み前に水やりをたっぷりやって光をやや弱めにしておけば、植物たちは、毎年ほぼ間違いなく無事にゲンキにそだっています。




2012年10月3日水曜日

室内栽培 〜 幼苗期の管理の基本 2 〜

秋の室内育苗シーズンは、温度/湿度メーターから目が離せません。


歩くだけで汗ばむような日には、グロウルーム内の温度が、ギュ〜ンと30℃ちかくにもなってしまいます。急いでファンをフル回転にすれば湿気がみるみる下がって空気が乾燥してしまいます。

蛍光灯タイプのグロウランプでも、夏のような暑さの日には、あっというまに29℃になってしまいます。
もし、これがメタルハライドランプなんかだったら、グロウルーム内は、息ができない灼熱地獄と化します。

幼苗期や挿し木の発根するまでの期間は、その植物にベストとされる光量よりも、室温と湿度が適度な範囲におさまるようにランプの位置を決めたほうが、カシコイといえます。






夏のような日には、すかさずグロウランプの位置を高めにして、ランプから苗たちへの距離を離してあげたほうがいいし、温度が22℃ほどにさがった日は、ランプの位置も下げた方がいいです。










室内の温度が29℃にもなってしまったこの日は、ランプの位置を高くしました。この後、グロウルーム内の温度は26℃、湿度は69%ほどになりました。めでたしめでたし。














ほとんどの植物にとって、一番生長しやすい日本の気候は春と秋です。つまり真夏や真冬のような極端な気温にならないように温度管理すればOKということになります。

そして最適な湿度は、生長段階で変わります。

【発芽/挿し木/幼苗期】湿度 : 70%〜85%(90%以上はNG!)

【生長期】湿度 : 60%〜70%(40%以下と85%以上はNG!)

【開花〜収穫期】湿度 : 40%〜60%(40%以下はNG!)


※気をつけたいことは、湿度のある空気と、ムレた空気はちがうということです。空気に動きのない空間は、いくら湿度が最適範囲だとしても苗もまた息苦しくなります。( 植物にはCO2だけでなく、酸素も必要です。)
温度計や湿度計を見るまでもなく、ガーデナーがグロウルームのなかの空気を「さわやかで快適!」と感じられないのなら、それは植物も同じなので、新鮮な空気を取りこむ工夫をしたほうがよいといえます。

(ただしCO2ガスを添加しているのなら、かならずCO2濃度をチェックしながら植物の世話をしてあげないと・・・いつのまにか気を失って天国に行ってしまいます! ジョークではなく、欧米ではその事例が少なからずあります。)



ワタシのお気に入り加湿器のひとつ「ミスティー・ガーデン」です。不織布にしみ込んだ水分が少しずつ蒸発して加湿してくれるので、電気もいりません。
自作炭酸水をしみ込ませたミスティー・ガーデンにファンをあてて、グロウルームへ風を送り込むとCO2と湿度が添加できます。ミスティー・ガーデンの不織布には定期的に黒カビがはえるので、ハイターでガンガンに漂白して、しっかり乾かして塩素を蒸発させてから、繰り返し使っています。







同じグロウスペースで、背丈や生長段階がちがう苗を育てる場合のベタな工夫です。
背丈の小さな苗にも満足な光が行きとどくように、そのへんの資材を駆使して底上げしてあげました。こんなふうに高さを揃えてあげれば、光も風も全体にムラなく行き渡ります。














最後に、苗の「植えかえ、植え増し」していくときのポイントですが、植物の根っこは培地や土壌の性質に合わせて、伸ばす根の性質を変えます。これは植物が生存競争に勝っていくための知恵ですが、例えば窒素が足りない土なら窒素をたくさん吸える根、リン酸が足りないならリン酸がたくさん吸える根、乾いた土なら根を長く長く伸ばす etc・・・

なので、根がいっぱいに張ったあとに、たとえば水耕だったのを土耕に・・・などの極端に栽培方法や栽培培地をガラッと変えてしまうのはNGです。( COCO培地で発芽や挿し木の発根をさせて、本葉が出たら幼苗のうちにTERRA培地へ植え込むのはOKです。)


例えば、根っこがいっぱい生えた生長期に、COCO培地からとつぜんハイドロ・システムに植えかえてしまう、なんてことをすると、いままで酸素が豊富だったCOCO培地から、酸素少なめ+水分多めのハイドロ・システムに突然かわってしまうので、根っこがその環境に適応するまでロスが出ます。



これはあくまでも、ガーデニングビギナーから中級者向けのノウハウなので、経験豊富なガーデナーさんで独自のノウハウがあるならば、もちろん当てはまりません。実際、トマトや稲、果物で付加価値の高い農作物を育てられるカリスマ農家さんのノウハウは、一人一人まったく違ったりします。味を濃くするために水分は極力やらないほうがいい、というヒトもいれば、水分も養分も切らさずにやさしくおだやかに育てた方がオイシいのがたくさん穫れる、というヒトもいます。収穫物のクオリティーをあげるために、砂糖がいい!というヒトもいれば、いやゼッタイ塩だ! というヒトもいます。

結局、「 どの栽培方法がイチバン正解! 」というのはないと思うのですが、ヒトとちがった栽培方法でみごと成功している農家さんの共通点は、植物の生長の仕組みと気持ちが理解できていることかな? と思いました。

いずれにしても、栽培スキルの上達は、基礎 + 基礎 + 基礎 ! の積み重ねしかありません。それしかないんです! と最近フタバをイジケさせたワタシ自身に言い聞かせる今日この頃です。