2012年10月3日水曜日

室内栽培 〜 幼苗期の管理の基本 2 〜

秋の室内育苗シーズンは、温度/湿度メーターから目が離せません。


歩くだけで汗ばむような日には、グロウルーム内の温度が、ギュ〜ンと30℃ちかくにもなってしまいます。急いでファンをフル回転にすれば湿気がみるみる下がって空気が乾燥してしまいます。

蛍光灯タイプのグロウランプでも、夏のような暑さの日には、あっというまに29℃になってしまいます。
もし、これがメタルハライドランプなんかだったら、グロウルーム内は、息ができない灼熱地獄と化します。

幼苗期や挿し木の発根するまでの期間は、その植物にベストとされる光量よりも、室温と湿度が適度な範囲におさまるようにランプの位置を決めたほうが、カシコイといえます。






夏のような日には、すかさずグロウランプの位置を高めにして、ランプから苗たちへの距離を離してあげたほうがいいし、温度が22℃ほどにさがった日は、ランプの位置も下げた方がいいです。










室内の温度が29℃にもなってしまったこの日は、ランプの位置を高くしました。この後、グロウルーム内の温度は26℃、湿度は69%ほどになりました。めでたしめでたし。














ほとんどの植物にとって、一番生長しやすい日本の気候は春と秋です。つまり真夏や真冬のような極端な気温にならないように温度管理すればOKということになります。

そして最適な湿度は、生長段階で変わります。

【発芽/挿し木/幼苗期】湿度 : 70%〜85%(90%以上はNG!)

【生長期】湿度 : 60%〜70%(40%以下と85%以上はNG!)

【開花〜収穫期】湿度 : 40%〜60%(40%以下はNG!)


※気をつけたいことは、湿度のある空気と、ムレた空気はちがうということです。空気に動きのない空間は、いくら湿度が最適範囲だとしても苗もまた息苦しくなります。( 植物にはCO2だけでなく、酸素も必要です。)
温度計や湿度計を見るまでもなく、ガーデナーがグロウルームのなかの空気を「さわやかで快適!」と感じられないのなら、それは植物も同じなので、新鮮な空気を取りこむ工夫をしたほうがよいといえます。

(ただしCO2ガスを添加しているのなら、かならずCO2濃度をチェックしながら植物の世話をしてあげないと・・・いつのまにか気を失って天国に行ってしまいます! ジョークではなく、欧米ではその事例が少なからずあります。)



ワタシのお気に入り加湿器のひとつ「ミスティー・ガーデン」です。不織布にしみ込んだ水分が少しずつ蒸発して加湿してくれるので、電気もいりません。
自作炭酸水をしみ込ませたミスティー・ガーデンにファンをあてて、グロウルームへ風を送り込むとCO2と湿度が添加できます。ミスティー・ガーデンの不織布には定期的に黒カビがはえるので、ハイターでガンガンに漂白して、しっかり乾かして塩素を蒸発させてから、繰り返し使っています。







同じグロウスペースで、背丈や生長段階がちがう苗を育てる場合のベタな工夫です。
背丈の小さな苗にも満足な光が行きとどくように、そのへんの資材を駆使して底上げしてあげました。こんなふうに高さを揃えてあげれば、光も風も全体にムラなく行き渡ります。














最後に、苗の「植えかえ、植え増し」していくときのポイントですが、植物の根っこは培地や土壌の性質に合わせて、伸ばす根の性質を変えます。これは植物が生存競争に勝っていくための知恵ですが、例えば窒素が足りない土なら窒素をたくさん吸える根、リン酸が足りないならリン酸がたくさん吸える根、乾いた土なら根を長く長く伸ばす etc・・・

なので、根がいっぱいに張ったあとに、たとえば水耕だったのを土耕に・・・などの極端に栽培方法や栽培培地をガラッと変えてしまうのはNGです。( COCO培地で発芽や挿し木の発根をさせて、本葉が出たら幼苗のうちにTERRA培地へ植え込むのはOKです。)


例えば、根っこがいっぱい生えた生長期に、COCO培地からとつぜんハイドロ・システムに植えかえてしまう、なんてことをすると、いままで酸素が豊富だったCOCO培地から、酸素少なめ+水分多めのハイドロ・システムに突然かわってしまうので、根っこがその環境に適応するまでロスが出ます。



これはあくまでも、ガーデニングビギナーから中級者向けのノウハウなので、経験豊富なガーデナーさんで独自のノウハウがあるならば、もちろん当てはまりません。実際、トマトや稲、果物で付加価値の高い農作物を育てられるカリスマ農家さんのノウハウは、一人一人まったく違ったりします。味を濃くするために水分は極力やらないほうがいい、というヒトもいれば、水分も養分も切らさずにやさしくおだやかに育てた方がオイシいのがたくさん穫れる、というヒトもいます。収穫物のクオリティーをあげるために、砂糖がいい!というヒトもいれば、いやゼッタイ塩だ! というヒトもいます。

結局、「 どの栽培方法がイチバン正解! 」というのはないと思うのですが、ヒトとちがった栽培方法でみごと成功している農家さんの共通点は、植物の生長の仕組みと気持ちが理解できていることかな? と思いました。

いずれにしても、栽培スキルの上達は、基礎 + 基礎 + 基礎 ! の積み重ねしかありません。それしかないんです! と最近フタバをイジケさせたワタシ自身に言い聞かせる今日この頃です。