2010年4月2日金曜日

ホワイトハウスのオーガニック菜園

昨日、こんな記事を見つけました。


〜 ミシェル・オバマ大統領夫人の要望で、現在ホワイトハウスにあるオーガニック菜園を春の作付けにむけて、さらに500平方フィート(約50㎡)ほど、拡張することになりました。

2010年、豪雪に見舞われたにもかかわらず、ホワイトハウスのオーガニック菜園の作物はとても生育がよく、3月上旬まで収穫がつづきました。

「この菜園では、レタスにホウレンソウ、カブ、ニンジン、サラダ菜などのコンスタントな収穫が楽しめました。そもそもこの菜園をはじめたきっかけは、シーズンを通して収穫を楽しめる菜園が、ワシントンD.C.でも実現できるっていうデモンストレーションを兼ねていたんです。」と、ホワイトハウスのシェフ、サム・カスさんは言います。 

〜 省略 〜



ホワイトハウスのあるワシントンD.C.は、日本だとちょうど宮城県の仙台市と同じくらいの緯度です。あ〜冬は寒そうだな、畑は大変だ。と思いました。

シェフのサム・カスさんは、厳しい冬対策にHoop House、日本でいうビニールハウスを建てて野菜たちを育てたそうです。Hoop Houseのなかで野菜たちは、思いのほかスクスクと順調に育ち、厳冬のなかでもトータルで22Kgほどの収穫高が実現したので、うれしいやらびっくりやらだったそうです。それでも夏の間の収穫量には及ばないそうですが,寒さにあたった野菜は甘みがまして、おいしくなりそうですね。

去年の春、オバマ大頭領婦人は「ローカルフード=地産地消」の大切さと、安全な食材への関心を高めてもらいたいと、ホワイトハウスに1100立方フィート(約100㎡)のオーガニック菜園をつくっちゃったそうです。この菜園では、ホワイトハウスの厨房からのリクエストされた野菜をだいたい55種類、オーガニック種子から実生で育てているそうです。



もともとアメリカでは、健康や食の安全にたいして関心が高く、「有機農法」で育てられた野菜や果物はもちろんとても人気があります。日本でもオーガニックブームなのは同じですが、アメリカで化学肥料の多施肥が起こした災難は、日本よりも遥かに深刻な事態だったようです。

18世紀から「無機肥料=化学肥料」が急激に使われるようになり、そのころのアメリカ南部ではコットン栽培がさかんでメインの稼ぎ頭でしたが、化学肥料の過剰施肥のせいで土壌がどんどん酸化し、連作障害を起こし収量がどんどん減ってしまっていたそうです。

それを救ったのが皮肉なことに、アフリカから奴隷として連れてこられた先祖をもつ黒人の「ジョージ・ワシントン・カーヴァー農業博士」だったそうです。

カーヴァー博士は、肥料食いのコットン栽培から、当時見向きもされなかったピーナッツやサツマイモの栽培を提案してアラバマの農業を救いました。ピーナッツにいたっては、はじめは家畜のエサにしか利用されていませんでしたが、今では日本にさえピーナッツバターがあるくらいです。これはカーヴァー博士のおかげだったんです。

博士は子どもの頃から植物と会話したり、近所の人から萎れてしまいそうな植物をあずかっては元気にしてあげる才能があったそうです。

カーヴァー博士の偉大な貢献で、いったんは化学肥料の入れ過ぎをなくして有機肥料をつかい土壌を健全に保つ農法が広がりましたが、第二次世界大戦後には、ふたたび収量と効率を重視した化学肥料の過剰施肥と農薬の過剰散布が当たり前となり、このときは飲料水に硝酸窒素が大量に流れ込んだり、作物の残留窒素がハンパなく過剰になり、赤ちゃんや家畜の亜硝酸窒素による突然死や、硝酸窒素が揮発してサイレージが爆発しちゃったりもしました。なにより畑の収量はどんどん減少してひどいことになったそうです。有機農法の大切さを訴える学者さんもいらっしゃいましたが、化学肥料や農薬メーカーの圧力で「うそつき」のレッテルを貼られつづけてしまったそうです。


そんなこんなで今日では、当たり前のように有機農法は高い評価を得ていますし、完全な有機農法ではなくても、化学肥料にしろ有機肥料にしろ、やみくもに土壌にぶち込めばいいものではない、農薬を使いすぎると害虫に効かなくなってくる、ということが常識になりつつあります。
日本の昔ながらの民間有機農法は、ものすごくレベルが高く世界中で起きている土壌汚染問題も解決できてしまうかもしれないので、これからドンドン世界に向けて発信されていくといいなぁと思っています。