わが町の有形文化財、「久地円筒分水」にある桜が満開になるのを毎年楽しみにしています。水辺にあるので気温が低いからか,ここの桜はわりと長いこと咲いてくれます。
「 円筒分水 」っていうのは人工の分水システムで、独特なデザインはまるでミステリーサークルのようでもありインドのリンガ神のようでもあります。むかし円筒分水がここにあることも知らずに偶然出くわしたので、ものすごくびっくりしました。
昔々このあたりが農村地域で、見渡すかぎりの水田だったころ、村と村の間で川から田んぼにひく水をめぐって、しょっちゅう大バトルがおこっていたそうです。その頃の多摩川沿いにあった農村の暮らしでは、盆と正月にしか白米をお腹いっぱい食べられなかったそうで、白いご飯はごちそうだったんだそうです。稲作といえばお水がなきゃ始まらないので真剣なバトルにもなるわけです。
そこでこのような独特な円形の分水システムをつくり、どの村にも同じ水量が流れるようにした・・・とのこと。まさに「平和的解決」という言葉をカタチにしたようなデザインです。
円筒分水の中心部分の底は川とつながっていて、そこに水が流れ込む仕組みになってます。
川から流れ込んだ水が中心からあふれでて、さらに外側の円から360度、同じ水量がながれでて支流へと平等に分配されてたそうです。
これは水耕栽培システムにも応用できそうだと、いつも思います。
よく晴れた日には、分水の水面に満開の桜が映って、とてもきれいです。桜が咲くと、たくさんの人たちが花見にきますが、おひとりさんやご夫婦が多く、思い思いに桜を愛でています。
円筒分水は「二ヶ領用水」という川に流れこんでます。二ヶ領用水の浄化のためにコイがいっぱい住んでいますが、最近ではナマズがグングン増えてるようでユラユラと泳いでるのをよく見かけます。
昔いちめんの水田だった二ヶ領用水沿いは、いまでは住宅地へと変わりましたが、この川沿いには、いろんな野良動物が出現します。冬にはカモがたくさん渡来するし、人通りのすくない夜に散歩すると、ハクビシンやタヌキの家族なんかとも出くわします。